さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

8月から「新高速乗合バス」 新制度、事業者の創意工夫が鍵に

2013-07-28 13:32:07 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号より関東方面と和歌山を結ぶ夜行高速バスについて紹介している。

 

現在、夜行高速バスには、乗合バス事業者が道路運送法に基づき利用者を運ぶ「高速乗合バス」と旅行業者が旅行業法に基づき貸切バス事業者のバスを貸切で運行する「高速ツアーバス」の2種類がある。

 

国土交通省は安全対策の強化を目的に、これらを1本化した「新高速乗合バス」という新たな制度を8月1日からスタートさせる。

 

 

午後8時過ぎの和歌山駅東口。駅前から少し離れた歩道に旅行鞄を持った若者が集まり、

ツアーバスの到着を待っていた。東京方面行きでこの日の設定料金は片道約4千円。

 

 

【写真】和歌山駅東口を発着する「高速ツアーバス」

 

新制度への移行で変わる大きな違いは2点。利用者は道路運送法に基づき乗合バス事業者へ運賃を支払う(旅行業者へ料金を支払うツアーバス制度は廃止)。

乗合バス事業者はバス停留所を設置する(適当な路上で乗降させてはならない)。

 

従来の乗合バス事業者の制度を踏襲する形だが、運行計画や運賃・料金の事前届出期間が30日前から7日前へ短縮。

固定運賃から、需要予測により運賃を変動できる幅運賃の設定など、ツアーバスの長所とされた供給量の調整や価格設定の柔軟性を残している。

従来の貸切バス事業者も、安全面の要件を満たし国土交通大臣の許可を得れば、一定割合で乗合バス事業者から運行を受託することもできる。

 

しかし8月以降に運行される高速乗合バスの本数は、現在のツアーバスの本数と比べ大幅に減少。

小規模な貸切バス事業者の廃業も少なくない。最安の運賃も現在より2割程度上昇するなど、ツアーバスの利用者にも多少の負担はある。

 

バス事業者は決して揺るいではならない安全性を確保し、定められた制度のなかで、サービス向上や旅の訴求など、創意工夫が必要になるだろう。

容易なことではないが、より安全で快適に多くの旅行者を和歌山へ招き入れて欲しい。

 

(次田尚弘/和歌山)

 

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首都圏と和歌山の交通結節が拡充 南紀白浜=埼玉大宮の夜行高速バス

2013-07-21 13:33:26 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

夏休みの到来。1年で最も来県者が多くなるこの季節、関東方面と和歌山を結ぶ夜行高速バスの存在は、移動時間の短縮、利便性、旅費の節約などに重きを置く旅行者の獲得に頼もしい存在だ。

 

今年3月からは埼玉大宮と池袋、新宿、横浜と南紀白浜を結ぶ新しい路線が開設。旅行者をはじめ地域住民の利用が進む「南紀白浜線ホワイトビーチシャトル」を紹介したい。

 

 

午後9時過ぎ。海南駅前のバス停に、ひときわ明るいヘッドライトをつけた大型バスが滑り込んできた。

 

 

【写真】海南駅前を発車する「ホワイトビーチシャトル」

 

南紀白浜線ホワイトビーチシャトル」は今年3月29日より明光バス(白浜町)と西武観光バス(埼玉県所沢市)が共同で1日1往復を運行。

白浜町の新湯崎を発着点とし、白浜、田辺、南部、印南、御坊、有田川、海南の各停留所を経由。

和歌山を縦断し沿岸の観光地をもれなく通る魅力的な路線だ。新湯崎=大宮営業所の大人運賃は最安の日(オフ運賃)で9000円。

同区間の所要時間は約12時間。

 

海南駅前でこのバスの到着を待っていた海南市在住の男性(25)は「今までは和歌山駅から夜行高速バスを利用していたが、近所の海南駅に停車してくれるのは有り難い。時間はかかりますが快適ですよ」と話し、地域住民にも好評。

 

この路線の開設により和歌山県内を発着する関東方面行きの夜行高速バス(高速ツアーバスを除く乗合バス)は、和歌山市内(2路線)と新宮・勝浦(1路線)の計4路線に。

紀北、紀中、紀南、それぞれの地域と関東方面を交通で結節することで、首都圏在住者に、より和歌山を近く感じ、気軽に訪れてもらうきっかけになる。

恵まれた環境を活かし和歌山の楽しみ方を広く発信していきたい。

 

(次田尚弘/和歌山)

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あなたの知らない和歌山を再発見 加太線沿線のガイドマップ

2013-07-14 23:45:56 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

和歌山へ行こらよ」。ここは南海電鉄難波駅。2階中央改札口から和歌山市方面行きのホームへ向かうコンコースに、和歌山への始発駅にふさわしく楽しい掲示物がある。

 

     

 

昨年の加太線開業100周年を記念し、地元大学生のグループが作成した「和歌山おもしゃいマップ」。

和歌山市から加太までの各駅とその周辺にある名所・旧跡やお店の情報が細かく書かれている。

コンセプトは「あなたの知らない和歌山を再発見」。

 

ガイドブックには載っていない、極めてローカルでかつ大学生の目線で作られたガイドマップは、列車待ちの時間を退屈にさせない。

 

このようなガイドマップをどこかで見たことがある。

神奈川県の藤沢鎌倉を走る江ノ島電鉄(通称・江ノ電)だ。江ノ島電鉄線加太線と同様に沿岸の街を走り路線距離は10㎞。

加太線9.6㎞とほぼ同じ。沿線には小さな店が建ち並び、大勢の観光客で賑わう風情のある街であることをご存知だろう。

観光地と住宅地が融合でき、それぞれの価値を高め合っている。

 

加太線は新日鐵住金等への通勤路線で、かつ、夏のシーズンには二里ヶ浜磯ノ浦加太への海水浴客を運ぶ行楽路線。藤沢鎌倉と同様、都心部から約1時間と立地は同じ。

 

かつてから存在する名所・旧跡、観光地などの地域資源に差があることは否めないが、田舎に帰ったような気持ちになれる、港町を感じられる、などの共通項はたくさんある。

何気ない日常の風景を魅力的な街に見せるには、まずは身近な街に何があるかを知り、その情報を発信する。知ることで街をもっと好きになる。

大学生グループの試みは、加太を「関西の湘南」と言わしめる程にまで発展させるかもしれない無限大の可能性を秘めている。

(次田尚弘/大阪)

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故郷の歴史的魅力に触れられる 六義園の「吹上浜」・「吹上松」

2013-07-07 13:34:47 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号より「和歌浦」や「藤代峠」など和歌山の景観が映し出された庭園「六義園(りくぎえん)」を紹介している。

 

 

 

【写真】六義園の「吹上松」

 

万葉集や古今和歌集の時代を映し、今では想像のつかない景観が見られるスポットが「吹上浜(ふきあげのはま)」だ。

 

和歌山市の吹上にちなんで造られ、古今和歌集にも詠まれた「秋風にふきあげにたてる 白菊は 花かあらぬか 波のよするか」(秋風の吹く、吹上の浜に立っている白菊は、花なのか、それとも波が寄せているのか、見間違えるほどだ)にあるよう、かつて、和歌山城がある虎伏山の南に連なり、白菊の花が咲き乱れていたという砂丘(吹上浜)を表現している。

 

砂丘の傍では松林が広がっていたことから、同園では「吹上松(ふきあげのまつ)」として再現。案内板では、根本の幹が宙に浮いた形が珍しい「根上り松」について紹介され、今も和歌山大学附属中学校の校庭に残る「岡山(奥山)の根上り松」が、砂丘という吹上独特の地形に由来することがよくわかる。

 

今や吹上は住宅地となりその面影はほとんどない。

しかし、先日創立140周年を迎えた吹上小学校の校歌「松風清き 吹上の 浜に栄えし 昔より 名もかぐわしく 伝われる 白菊の花 ゆかしやな」という詩として今なお地域の子供たちに歌い継がれ、「根上り松」と「吹上の白菊」が附属小学校の校章の由縁であることも確か。都心のど真ん中にある六義園もまた、和歌山の和歌の世界を人々に伝え続けている。

 

故郷の歴史的な魅力に触れられる。とくに修学旅行の生徒たちに訪れてもらいたい。山手線・東京メトロ南北線「駒込駅」下車徒歩約10分。

 

(次田尚弘/東京)

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