さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

江戸の街で親しまれ続ける 「コウヤマキ」の魅力と歴史

2014-02-23 20:18:57 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号に続き、私たちにとって身近な植物であるコウヤマキについて紹介したい。

 

コウヤマキの美しい立ち姿がイメージとされる東京スカイツリー

 

 

【写真】コウヤマキとスカイツリー(岸村敏充さん撮影)

 

島根県吉賀町から移植された3本のコウヤマキを間近で見ると外観だけでなくツリーの内部に入り組む細い柱が、コウヤマキの特徴ともいえる美しい枝葉に見える。

 

北へ約5キロの所に「千住大橋」がある。

足立区と荒川区を結ぶ隅田川にかかる橋で国道4号線(日光街道)が通る交通の要所だ。

最初にこの橋が架けられたのは文禄3年(1594)のこと。

隅田川で初めての橋で、難工事であったという。

 

橋枕材として採用されたのが耐水性に優れたコウヤマキだった。

これには伊達正宗が陸中南部からコウヤマキの材木を寄進したという。

明治18(1885)の洪水で流されたが、約300年を生き抜いた橋として、古い川柳に「伽羅よりもまさる、千住の槇の杭」と詠まれるほど、強くたくましい木として親しまれた。

現在も一部の橋枕が千住大橋の下に残っている。

 

当時、架橋工事を指揮した伊奈忠次(いな・ただつぐ)は橋から程近い「熊野神社」へ祈願に訪れたという。

熊野神社熊野三山の祭神の勧請を受けた神社のひとつ。

無事に工事を成し遂げた忠次は、橋の残材を使い社殿の修理を行ったという。

 

忠次がコウヤマキの名の由来を意識し、熊野神社の参拝に強い思いがあったか定かではないが、遠い昔から現代まで東京・江戸の街でコウヤマキが親しまれ続けていることに違いはない。

 

(次田尚弘/和歌山)

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東京スカイツリーの原点に 注目を受ける「コウヤマキ」

2014-02-17 11:58:08 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号では京奈和自動車道の開通による高野山観光振興への期待について紹介した。

 

高野山に古くから伝わるコウヤマキ(高野槙)は読者の皆様にも馴染みのある植物だろう。

近年、このコウヤマキが注目を受けている。

コウヤマキが秋篠宮家の悠仁(ひさひと)さまのお印に選ばれたことをご存知の方も多いと思うが、2012年5月に開業した東京スカイツリーのデザインの原点であることをご存知だろうか。

今週は私たちにとって身近な植物であるコウヤマキについてクローズアップしたい。

 

 

【写真】和歌山県産のコウヤマキ

 

コウヤマキ高野山周辺真言宗を信仰する寺や家庭で仏前の切り枝として使われてきた。

仏前の切り枝となった由来は、かつて高野山にあった「禁忌十則」という慣習的に禁止する規律や規則の中に「禁植有利竹木」という、果実が生る木や観賞用の花が咲く植物、竹や漆等を高野山に植えることを禁じたことにある。

仏前に供える花の代わりが必要となり、年間を通して美しい光沢があり、よい香りがするコウヤマキが選ばれたという。

 

福島県以西の本州と九州に分布。

成長が遅い反面、繊維が緻密であることから抗菌性や耐水性があり、桶などの日用品から、風呂、船、橋に至るまで高級木材として使用されてきた。

 

東京都墨田区の東京スカイツリーのデザインを監修した彫刻家・澄川喜一さんの故郷、島根県吉賀町にもコウヤマキの自生林があり、スカイツリーのイメージは故郷のコウヤマキの美しい立ち姿にあるといわれ、東京スカイツリーが構成される3本脚にちなみ、3本の島根県産コウヤマキが同敷地内のソラマチひろばに植樹されている。

 

近年注目を受けるコウヤマキ

県外の多くの方々に、名前の由来と関係する高野山へ来て欲しい。

 

(次田尚弘/和歌山)

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3月30日 紀北東道路が開通 京奈和道・観光振興にも期待

2014-02-09 13:31:38 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号より京奈和自動車道について取り上げている。

今週は京都・奈良・和歌山がつながることによる効果について観光振興や地域活性の観点から紹介したい。

 

既に開通している「紀北かつらぎIC」は高野山への最寄口。

車道の案内板には「世界遺産 高野山金剛峰寺・丹生都比売神社」の表示もある。

 

 

【写真】世界遺産の案内板が目立つ、紀北かつらぎIC

 

現在、高野山を訪れる観光客は年間約126万人(平成24年度)。

和歌山河川国道事務所によると、そのうち、約6割が自動車やバスを利用しており、さらにそのうち約8割が3時間圏域からの来訪だという。

 

現在、3時間圏域とされるエリアは、南端が白浜町付近、西端は神戸市付近、北端は京都市付近、東端は伊賀市付近だ。

京奈和自動車道が整備されることにより、県内全域はもとより三重県、大阪府の全域、西端は高松市付近、北端は敦賀市付近、東端は名古屋市付近までエリアが広がる。

それに伴い、観光客が現在の約4割増の年間約175万人が期待されている。

 

さらに、京都・奈良・和歌山が道路でつながることにより、「古都京都の文化遺産」「古都奈良の文化財」「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産を巡る人の流れができる。

世界遺産登録10周年を迎える和歌山県にとって、次の10年は観光振興においてさらなる飛躍を期待できそうだ。

 

3月30日(日)には、紀北東道路の紀北かつらぎIC-紀の川ICが開通。

沿線の主要農産物である柿や桃の出荷においても、物流効率の向上が図られる。

平成27年度に紀北西道路(和歌山JCT-紀の川IC)が開通し阪和自動車道と接続すれば、その効果は計り知れないものになりそうだ。

 

(次田尚弘/和歌山)

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整備進む京奈和自動車道 紀北地域の「命の道」に

2014-02-02 13:40:47 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

本コーナーは読者の皆様に支えられ4年目を迎えることができた。

地域活性や文化・観光振興に関する県内外の事例をもとに中長期的に私たち県民が意識して取り組みたい事柄の紹介や、各種イベント、和歌山県とのつながりに関するリポートなど、ワクワクするような情報を取り上げるよう心掛けてきたつもりだ。

 

今回は、数年先の私たちの生活に変化をもたらすであろう「京奈和自動車道」について紹介したい。


 

京奈和自動車道」は京都・奈良・和歌山を結ぶ延長120km高規格幹線道路

全線が開通すれば、和歌山市から奈良市まで約60分、京都市まで約100分で移動できる。

県内では既に橋本道路(橋本IC-高野口IC)と紀北東道路の一部(高野口IC-紀北かつらぎIC)が開通済。

 

 

【写真】開通済の高野口IC

     

国土交通省によると残る紀北東道路(紀北かつらぎIC-紀の川IC)の年度内全線開通に向け工事を推進。

紀北西道路(紀の川IC-仮称・和歌山JCT)も平成27年度の開通予定。

 

県内全線開通により、紀北地域、いわゆる紀ノ川筋の移動が格段に容易になる。

効果のひとつとして、第3次医療施設(日赤医療センター、県立医大病院)への30分圏域の人口比率が現在の75%(約51万人)から99%(約67万人)への増加が挙げられる。

 

心筋梗塞や頭部外傷などの重篤患者にとって同施設への30分以内の搬送は50%以上の生存率を望めるといい、新たに紀の川市、かつらぎ町、橋本市、九度山町がそのエリアに加わり、高野町も60分圏域となる。

また、東南海・南海地震発生時の交通確保としての役割もあり「命の道」として期待されている。

 

京都・奈良・和歌山がつながることによる観光振興への期待も大きい。次週に続き紹介したい。

 

(次田尚弘/和歌山)

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