さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

都心で和歌山を感じられる 特別名勝・六義園

2013-06-30 13:36:11 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

 東京都文京区本駒込。ここに特別名勝に指定された「六義園(りくぎえん)」という庭園がある。

枝垂桜や紅葉のライトアップが有名でニュース番組で紹介されることも多い有名な庭園。実は和歌山と深い関係がある。

 

 

 

 【写真】六義園の園内(吹上浜から妹背山を望む)

 

六義園1695(元禄8年)徳川五代将軍・徳川綱吉の側用人・柳沢吉保が造営した大名庭園で、約2万7千坪の平地に丘を造成するなど7年の歳月をかけて築かれた。

名称は和歌における六つの分類法である「誌の六義(和歌の六体)」に由来。

 

園内は万葉集や古今和歌集に詠まれた「和歌の浦」をはじめとした紀州の景勝地や中国の故事にちなんだ景観が映し出され、和歌浦、紀ノ川、藤代峠、妹背山、吹上浜など、和歌山の地名が続く。

一説には徳川綱吉が生涯で58回、徳川家宣や徳川吉宗も度々訪れたという。

現在は都立庭園として整備され一般公開されている。

 

筆者が訪れた6月上旬、和歌山市の花でもあるツツジが見頃を迎え、どこか故郷の和歌山を思い出させてくれた。

交通網の発達で東京と和歌山は近くなったが、先人方の時代ではそうはいかない。

遠く離れた土地で小さな和歌山を感じられるスポットとして、筆者が感じた以上の安らぎや喜びを感じていたに違いない。

 

(次田尚弘/東京)

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「紀州」=「わかやま」を大々的にPR 有楽町の「わかやま紀州館」

2013-06-23 15:48:53 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

首都圏で和歌山県の観光情報や特産品を扱う県観光連盟のアンテナショップ「わかやま紀州館(東京都千代田区)」は、開設10周年を機に、それまで使用されていた当て字の「喜集」を「紀州」に改めた。

 

  

 

【写真】わかやま紀州館の店頭

      

 

同館は平成1629日、有楽町駅近くの東京交通会館の地下1階にオープン。有楽町駅とは地下通路で直結するなど東京の一等地でアンテナショップとしての役割を発揮してきた。

この程、「紀州」=「わかやま」を大々的にPRしようと改名された。

 

直売コーナーでは和歌山から直送した農作物や冷凍加工品、湯浅醤油や銘酒、パンダやたま駅長のグッズ販売など、紀州を凝縮した店になっている。

 

観光情報を扱うコーナーでは各市町村や観光協会のパンフレットが並べられ、カウンターで詳しい説明が受けられるほか、本紙をはじめ地方新聞を閲覧できる。

また、都内の大学と提携した講習会の企画、旅行エージェントやマスコミへの広報活動が積極的に行われるなど、和歌山の魅力を広めるチャンスを創出している。

 

同館のプロジェクトリーダーを務める菊本さんは、首都圏から和歌山までのアクセスを紹介した「東京方面から行くわかやま アクセスガイド&時刻表」という小冊子を見せてくれた。

「ここで和歌山の魅力に触れ、そこからいかに来県してもらえるかが重要です。紀州館のスタッフの思いが詰まっています」と話し、和歌山の情報発信基地をスタッフの方々が一丸となり、新しい「紀州館」が創り上げられていることを強く感じた。

 

(次田尚弘/東京)

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ゆとりある豊かな旅づくり 高齢者向けツアーの魅力

2013-06-16 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前々号よりフランスを旅した岸村さんのリポートを紹介している。岸村さんは祖母と共に高齢者向けのツアーに参加し、様々な気づきを持ったという。

 


 

今回、私は83歳になる祖母に付き添い、ニッコウトラベル(東京都中央区)が企画・実施する高齢者向けの旅に参加した。

同社のこだわりは1日のバス乗車時間を3時間までに設定していること。バリアフリー化された特別車を導入し、一般的に約10日間の行程を14日間かけて巡る。

 

この旅を企画し添乗員を務めた同社の辻井麻里さんは「身体への負担を少なくすることによって実現するゆとりのあるスケジューリングで、観光地の魅力に深く触れてもらえるように心がけています」と話していた。

また、高齢者でも食べやすい食事を選び、旅の中盤では御粥の提供、観光地ではトイレの位置を頻繁に案内するなど、嬉しい気配りがたくさんあった。

 

観光バスの専属運転手のアルフレッドさんは現地で選りすぐり方。運転はもちろん、乗降者の介助など、きめ細やかなサービスが印象的だった。

 

 

【写真】左から、岸村さん、アルフレッドさん、辻井さん

 

旅の参加者は19名。ほとんどが70歳以上の方々だが、誰一人として体調を崩すことはなく満足度も上々。

従来のツアーの枠を超え、あえて時間をかけ、旅行社のホスピタリティにより生まれる旅の価値を強く感じた。

 

(岸村敏充/フランス)

 


 

では公衆トイレの整備や観光案内板の多言語化など、おもてなし体制の充実と情報発信を図ろうとしている。滞在時間をより長く、地域の魅力に触れてもらえるという、ゆとりあるツアーを多く迎え入れる準備が、和歌山でも進んでいる。

 

(次田尚弘)

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アートと身近に触れられる 世界屈指の文化都市・パリ

2013-06-09 13:36:51 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

今週もフランスを旅した岸村さんのリポートを紹介したい。

 


 

フランス・パリにあるルーヴル美術館。年間8百万人以上の観覧者を誇り、美術品約3万5千点が総面積約6万平方メートル(甲子園球場約1.5個分)という広大なスペースに展示されている。

長期滞在が叶わない限り、目当ての作品を効率的に巡らなければならない。

 

 

【写真】美術館の中庭から旧凱旋門を望む

 

今回、私は83歳になる祖母とここを訪れた。健脚ではない祖母にとってそれを可能にするのは車椅子。そこでは車椅子の利用者に対する配慮と支援体制があたりまえに行われている。

 

車椅子利用者向けの館内見取り図。通常のものと比べ、エレベーターやスロープの位置が追記。館内でもそれらがわかりやすくサインされており、スムーズに目的の作品までエスコートしてくれる仕組みが確立。

観覧者が多く集まる「モナ・リザ」では最前列を車椅子利用者のために確保するなど、ハード・ソフトの両面からサポートされているという印象を受けた。

 

また、EU圏に居住する26歳未満の者や、18歳未満の者は観覧料がいつでも無料。

アートが身近な存在となり、教育の一環として位置づけられていることに強い魅力を感じた。

 

(岸村敏充/フランス・パリ)

 


 

パリは「芸術の都」「華の都」と呼ばれる文化都市。全ての人が分け隔てなくアートに触れられる環境が整えられたことも一因し、世界屈指の観光都市にもなった。

 

和歌山県も多くの文化・観光資源を持つ。訪れる人々に親切でわかりやすく、かつ、地域の宝として受け継がれるか。

文化都市の在り方を考えさせられた。

 

(次田尚弘)

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トラムと融合した中心市街地 フランス・ボルドーのまちづくり

2013-06-02 13:32:53 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

さんぽみちプロジェクト副代表の岸村敏充さんは、慶応大学に在学し地方都市の活性化について研究している。

その彼がフランスを旅し、欧州のまちづくり、公共施設、旅づくりについて様々なことに気づいたという。

聞けば和歌山をさらに元気な街にするために参考となるエッセンスが詰まっている。

今週は岸村さんのリポートを紹介したい。

 


 

 ここはフランスの南西部に位置する都市、ボルドー。人口約23万人、アキテーヌ地域圏ジロンド県の県庁所在地にあたり、ワインの産地として有名。役所や教会が建ち並ぶ中心市街地では、トラム(路面電車)がまるでミミズのように身をくねらせ走っている。

歴史の趣のある教会に整備された石畳。そこに多重連結のトラムが走る。それでいて違和感が無いのはなぜか。

 

  

 

【写真】中心市街地を走るトラム(平成25517日午後3時頃撮影)

 

それは架線を張らず地表集電方式(APS)を採用していることに起因している。

当初、地下鉄建設が検討されたがコストが高いこともあり、街や市民との親和性を重視しトラムが採用。

歴史地区の景観を乱さぬよう配慮されたトラム2003年の開業以来、大勢の市民が利用し都市圏へと路線を拡大させている。

 

トラムを実際に利用してみたが極めて便利。数分間隔で運行され、立ち客が多数出るほどの乗車率だ。

ビジネス客、観光客、都市圏からの買い物客など、用途は様々。平日の午後にもかかわらず沿線のオープンカフェで談笑する人々で溢れ、どこか落ち着いた、その街の魅力が集積された中心市街地がここにあった。

 

(岸村敏充/フランス・ボルドー)

 


 

 和歌山市に例えれば本町公園前にあたるような場所。人口密度は1平方キロメートルあたり約8千5百人と、和歌山市に比べて約5倍のコンパクトシティ

郊外や市外からも訪れたくなる中心市街地づくりが、電車や駅と連携して行われているモデルケースとして紹介させていただいた。

 

(次田尚弘) 

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