さんぽみちプロジェクト

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果実が無い柑橘 切って驚き「仏手柑」

2022-01-23 19:14:24 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、ユニークな形で知られる柑橘「仏手柑(ぶっしゅかん)」が漢方薬として利用され、健康維持に効果があることを取り上げた。
漢方薬としての活用のほか、柑橘としての味わいはどうか。仏手柑を切って中身を見てみることにした。今週は仏手柑の驚きの事実と食し方を紹介したい。


【写真】「仏手柑」の断面

仏手柑は見てのとおり縦長の形をしている。しっとりとした肌触りの外皮と、それなりの重量感から、その中にどのような果実が隠れているのかと期待しながら、包丁を入れることにした。切って驚き。果実が全く無く、綿のような白いものがほとんど。心地よい香りが広がるものの果汁もなく、食用とは言い難いものだった。

仏手柑は「果実が無い蜜柑」と言われ、みかんやレモンのような果汁を含んだ房が無いのが特徴。
食する方法としては、何度も茹でこぼしを行いアクと苦みをとり、シロップで煮詰め、砂糖漬けにした「コンフィチュール」や、スライスしたものに砂糖とレモン汁を加えて煮込んだ「マーマレード」にするなど主に外皮を使ったものとなる。

農水省統計によると2011年時点で、鹿児島県で2t、和歌山県で1tが生産。2012年時点で、鹿児島県で1t生産されていた記録があるが、2013年以降は統計上の記録がなく、1tに満たない生産量になっているものと思われる。

「果実が無い蜜柑」として、観賞用や漢方薬の利用が主のユニークな柑橘である仏手柑。古くから伝わる文化や芸術が徐々に衰退しつつあることが、統計からも見て取れる。

(次田尚弘/和歌山市)

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