さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

おもてなし日本一への挑戦 「いばらき観光マイスター」

2020-02-23 13:32:28 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、水戸市民の憩いの場として知られる「千波湖」と湖畔の公園を取り上げた。
水戸市内を散策すると、土産店や宿泊施設等で「おもてなし」日本一への挑戦と書かれた幟を目にする。
今週は茨城県が進める「いばらき観光マイスター」の取り組みを紹介したい。

いばらき観光マイスターは、平成26年に施行された県の「いばらき観光おもてなし推進条例」をふまえ、県民の観光への知識や接遇のスキル向上を目的に試験を実施し、個人を認定するというもの。

マイスターの認定区分は、観光マイスターと観光マイスターS級の2段階。
観光マイスターはガイドブックから出題される筆記試験に合格することで認定。
S級はマイスター認定者に対し模擬面接や接遇面接を実施し合格することで認定される。

平成27年度から毎年試験が実施され、平成30年度時点の認定者数はマイスターが1139名、S級は268名という。
認定試験の受験料は無料で4択問題50問を60分の制限時間で回答。令和元年度は昨年10月に県内6つの会場で実施された。

この制度の特徴は単なるご当地検定ではなく、認定後のスキルアップの仕組みや認定者間の交流、培った知識を観光産業における実務やボランティア活動の場で実践されていること。
例えば、県内の生涯学習センターで開催される「おもてなし講座」は、S級認定試験の対策を兼ね、県内の魅力的な観光資源の発信力を高めるというもの。
また、S級認定者の紹介や、おもてなし好事例集と題した各施設での取り組みをウェブサイトで紹介。


【写真】スローガンが掲げられた幟(中央)

学んだことを実践しさらにレベルアップする。よい事例を共有し常に学ぶことを忘れない。
水戸藩9代藩主・徳川斉昭の生涯学習の教えが受け継がれている。

(次田尚弘/水戸市)
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深い歴史を超えた親善の地 水戸市民の憩いの場「千波湖」

2020-02-16 16:45:12 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、8代将軍・吉宗の四男・宗尹を祖とする「一橋家」からの寄贈品を収蔵する、茨城県立歴史館を取り上げた。
今週は、15代将軍・慶喜とその父である斉昭の像が建ち、水戸市民の憩いの場として知られる
「千波湖(せんばこ)」を紹介したい。


【写真】市民が集う「千波湖」の湖畔

千波湖は偕楽園や常盤神社の南側にある湖。湖といえど水深が1m程度と浅く、周囲は約3km。近隣に県立近代美術館や県民文化センター等の公共施設があり「千波公園」を形成する。
千波公園と偕楽園などの周辺エリアの総称を偕楽園公園とし、都市公園としてセントラルパーク(ニューヨーク)に次ぐ世界で2番目の広さを誇ることは前述のとおり。

水戸市政120周年を記念し、偕楽園に近い湖の西側エリアを「黄門像広場」として整備。
光圀像や斉昭・慶喜像などの銅像が建つほか、案内所や飲食店、売店が入るガラス張りのデザインが特徴の「好文cafe」や、湖に張り出す形で設けられた、幅約30m、奥行約10mの木製デッキ(親水デッキ)、水質浄化を目的に作られ夜は幻想的なライトアップがされる大型の噴水設備があり、観光客のみならず市民の憩いの場として賑わう。

水鳥の生息地としても知られ、コブハクチョウなどが飼育されている。斉昭を蟄居に追い込んだ安政の大獄や、水戸藩からの脱藩者による桜田門外の変など、水戸と彦根はわだかまりがあるといわれてきたことから、昭和43年(明治元年から100年)、両市は親善都市の盟約を結び、それを契機に有効のしるしとして彦根市から贈られたもの。

深い歴史を超え、憩いの場として世界に誇る公園がここにある。

(次田尚弘/水戸市)
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吉宗の四男・宗尹が祖 「一橋家」の史料を展示、歴史館

2020-02-09 17:30:44 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、水戸徳川家の数々の史料を所蔵する「徳川ミュージアム」と、光圀の隠居の住まいとして知られる常陸太田市の「西山御殿」を取り上げた。

今週は、一橋徳川家から寄贈された史料をはじめ、茨城県の歴史に関する展示を行う「茨城県立歴史館」を紹介したい。


【写真】茨城県立歴史館 正門

茨城県立歴史館は昭和49年に開館した文化施設で水戸市に位置する。
旧県立水戸農業高校の敷地に建設され、同校の本館が保存されている。
文書館と博物館の2つの機能をもち、古文書などが収蔵されていることも特徴のひとつ。

敷地内には移築された江戸時代の建築物や、明治時代の洋風校舎「旧水海道小学校本館」が建つ。
同校舎は常総市から昭和46年に移築されたもので建築されたのは明治14年。
明治から昭和初期にかけての教育に関する資料や、日本最古級とされる1865年製のグランドピアノなどが展示されている。

特筆すべきことは歴史館内にある「一橋徳川家記念室」。
同家から寄贈された約6000件に及ぶ美術品や古文書等を収蔵し、昭和62年に開館。
一橋徳川家は、11代将軍・家斉や、15代将軍・慶喜を出したことで知られるが、徳川将軍家の親族にあたる御三卿(ごさんきょう)のひとつ。
一橋家は8代将軍・吉宗の四男・宗尹(むねただ)を祖とする。
享保20年(1735年)に元服した宗尹は徳川を名乗り、元文5年(1740年)江戸城一橋門内(現在の東京都千代田区大手町1丁目付近)に屋敷を与えられたことから、一橋家と呼ばれるようになったという。

記念室は3月中旬まで調査・研究のため休室。開室後の展示物に期待したい。

(次田尚弘/水戸市)
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水戸徳川家を知る 数々の史料「徳川ミュージアム」

2020-02-02 20:26:53 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、安政の大獄を機に水戸での永蟄居を命ぜられた徳川斉昭の最期と、斉昭を祭る常盤神社を取り上げた。
今週は水戸徳川家代々の歴史を現代に伝える施設「徳川ミュージアム」を紹介したい。


【写真】徳川ミュージアム(水戸市)

徳川ミュージアムは、光圀以来編さんを続けていた歴史書「大日本史」を完成させ、明治天皇に献上したことで知られる徳川圀順氏(1886-1969)が設立した財団法人の博物館として昭和52年に開館した施設。
家康の遺品を中心に初代藩主・頼房、2代藩主・光圀をはじめ歴代藩主やその家族の3万点もの什宝の数々が所蔵されている。

また、光圀が大日本史編さんのために全国から集めた文書約3万点も所蔵。
国指定の重要文化財となるカトリック教会の教理本である「ドチリーナ・キリシタン」をはじめ、大名物の茶入や数々の日本画の名画など、歴史的価値の高い品々がコレクションされている。

分館として常陸太田市にある「西山御殿」は光圀が家督を3代藩主・綱條に継いだ隠居後の住まいとして、亡くなるまでの10年間を過ごした場所。
光圀にとっては世俗から離れた別世界とされ、水戸の黄門様として穏やかな日々を過ごしたといわれる。

文化14年(1817年)に焼失しているが8代藩主・齊脩により再建され現在に至る。国指定の史跡・名勝に指定。程近くに水戸徳川家墓所がある。

水戸徳川家の史料に触れられる徳川ミュージアム。水戸観光の際はぜひ訪れてほしい。
水戸駅北口から車で約10分。分館は車で1時間程度。

(次田尚弘/水戸市)
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