細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『アンコール!!』したいほどの歌ではないな。

2013年05月03日 | Weblog

●5月2日(木)13−00 六本木<アスミック・エース試写室>
M−054『アンコール!!』Song for Marion (2012) steel mill pictures / coolmore production U.K.
監督/ポール・アンドリュー・ウィリアムズ 主演/テレンス・スタンプ <94分>配給/アスミック・エース ★★★
ロンドン郊外のご近所老人合唱団で唄っていたヴァネッサ・レッドグレイブが、ガンの再発で亡くなった。
息子とも折り合いの悪い老父のテレンスは72歳。孤独な趣味のない老人はひとりきりである。
葬式の見舞に来た合唱団「年金ズ」の女性指揮者は、お互いに孤独な生活を癒すために、唄うことを老人にすすめる。
ま、よくあるような老人の生きがい啓発のテーマだが、どうも底が薄い演出で、アイデアがない。
先日見たダスティン・ホフマン監督の「カルテット」は、老人たちと音楽の交流を巧みに描いたが、これは工夫が足りないのだ。
結局は秀作「ブラス!」のように、地域の合唱コンクールに出て、突然、テレンスが唄って入賞する。
しかし、とてもとても「ブラス!」のような、あの素晴らしい感動には、残念ながらほど遠い出来だ。
つまり、テレンスの名優としての異様なキャリアが、突然、ステージでバラードを唄うような柔軟性とは合致しないのだ。
トム・ウィルキンソンか、ジム・ブロードベントだったら、もっと共感が持てたろう。
しかも唄った歌が「シナトラやディーン・マーティンしか知らん」という割には、われわれには馴染みの薄い曲を唄う。
せめて、エルトン・ジョンの「ソング・フォー・ユー」か、ミック・ジャガーの「アンジー」でも唄ってくれたら泣けたのに。
ま、とはいえ、同じようなコーラスを唄うのがお好きな高齢者には、ジーンとくるシニア・メロドラマかも。

■ふらりと上がった平凡なセカンドフライ。
●6月28日より、TOHOシネマズ シャンテなどでロードショウ