●7月25日(金)13-00 半蔵門<東宝東和試写室>
M-080『LUCY / ルーシー』 (2014) Universal International / Europa corp
監督・リュック・ベッソン 主演・スカーレット・ヨハンソン <90分> 配給・東宝東和 ★★☆☆☆
「ルーシー」といえば、我々世代はビートルズの唄ったヤク中「ルーシー・イン・ザ・スカイ・・・」を連想したが、ここでは関係ない。
DNAも含めて人間の知的能力は、まだ未開な部分があって、特殊な新薬によっては、パソコンの機能以上の知性を内蔵クリアする、という発想。
一方では、アインシュタインやダーウィンは天才であって、一般的には能力には平均的な水準と限界があり、突出したひとは、別の常識が失われるという。
つい先日見た「トランセンデンス」は、その個人の知的能力とDNAは保存されて、肉体は死んでも知性は最新PCで保持されて、再現可能なのだという。
しかし現実には、高齢者のみならず、若年アルツハイマー患者も増加していて、人間の知的能力は衰退しつつある、という仮説もある。
ま、たしかに昔はスマホも無かったし、われわれのアタマも二次元だったのが、いまではこうして、勝手に思ったことを即日ブログに書いている具合だ。
これは、たしかに50年前には考えられなかったことで、現実的に知覚的な進化かも知れないが、一方では忘れ去ることの多いのも事実だろう。という持論だから、この作品は参る。
つまり、ヒロインの運び屋スカーレットは、ある薬剤を体内に集中注入されたために、通常の人間の数十倍の知性と肉体的な強靭さが再生可能になるのだ、というのだ。
この発想はコミックの世界では通用するだろうし、そうした<アリエネー>アイデアも最新のCG処理で、多くのSF映画では毎度のように見せつけられてきたので、多少の事では驚かない。
なぜか台湾タイペイのアンダーグラウンド組織が、その知的覚醒剤を大量に国外に輸出するために、数人の運び屋の体内に埋め込み計画を実行しようとして、偶然スカーレットも犠牲になった。
当然、その驚異的な能力が体内で増殖されたために、彼女はまるで忍者のようになって逆ギレして、組織の壊滅のために逆襲する、という呆れた展開となる。
最近「マラヴィータ」で、味のあるアクション作品を手がけたベッソンの新作なので、もしかして「ニキータ」の復活かと期待したのが甘かった。
人間性までも驚異の知的肉体的進化でリッチになるのならいいが、ただ暴力的な行動のみが突出するのだから、科学者のモーガン・フリーマン演じる教授も苦笑する筈だ。
あああ、同じ薬物運び屋でも「ジャッキー・ブラウン」の方が魅力があったなーー、と嘆くこの暑さ。
■飛距離はあるが、ただ高すぎたレフトフライ。
●8月29日より、TOHOシネマ日本橋などでロードショー