細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『エンド・オブ・ステイツ』で、黒人大統領がドローン暗殺の標的に。

2019年10月30日 | Weblog

10月17日(木)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>

M-085『エンド・オブ・ステイツ』"Angel has Fallen"<End of States> (2019) Lionsgate and Millenium Media / G Base Productions 

監督・リック・ローマン・ウォー 主演・ジェラルド・バトラー、モーガン・フリーマン <121分・シネマスコープ>配給・クロックワークス 

このところ、ハリウッドのメジャー会社の新作試写がなくて、独立プロダクションの作品試写ばかりで、フォックスやワーナー、パラマウント社などが懐かしい。

という意味では、これは独立プロダクションながら、久しぶりにハリウッド・スターの主演する新作で、またしても大統領の身辺危機を狙ったポリティカル・サスペンス。

しかも、以前に直接にお会いした事のあるモーガン・フリーマンが、何とあのオバマ大統領のような黒人アメリカ大統領に扮している、というから嬉しいのだ。

さすがに数多くのサスペンス映画に出演した時代から見ると、モーガンもすっかり老人になったが、それでもあのオバマが今ならこのように老けちゃったか・・と思わせる表情。

休暇中の大統領の暗殺を狙ったと思われる複数のドローンによる攻撃があり、老練の大統領補佐ボディガードのジェラルドが窮地を救うのだが、なぜか暗殺疑惑の濡れ衣を着せられる。

頑丈な体格のジェラルド・バトラーだが、そろそろSPからのリタイアを考えている・・という「エンド・オブ・ホワイトハウス」「エンド・オブ・キングダム」の流れ。

しかし突然のドローンによる攻撃を大統領から身を呈して逃れて、さすがに重傷を負った彼も、ドローンによる暗殺陰謀の嫌疑をかけられている手前、その解明に奮起する。

という・・ま、毎度の<大統領暗殺計画>ものの陰謀を、ジェラルド捜査官は単身で捜査して、この国際的な組織犯罪の摘発に乗り出していくという、毎度のパターン。

監督のリックは、「オーバードライブ」や「ブラッド・スローン」などのアクション系で、「トランスポーター」などの脚本作なので、まさにおなじみの歯切れの良さでテンポ快調。

とくに真新しい展開はないが、いかにもメジャーなハリウッド・エンタメ作品としては、昨今、すこぶる貴重なハリウッド原産による男性サスペンス映画だ。

3度もオスカー・ノミネートの実績を持つ、あの「48時間」「ケープ・フィアー」などの硬派なニック・ノルティが、すっかり白髪のジーサンで、サポートしている。

 

■左中間に抜ける低いライナーで、ツーベース。 ★★★☆+

◎11月15日より、全国ロードショー


●『ジェミニマン』引退エージェントと新人エージェントの相続スパイ・バトル。

2019年10月28日 | Weblog

10月17日(木)10-00 半蔵門<TOMA映画試写室>

M-084『ジェミニマン』"Gemini Man " (2019) Paramount Pictures / Sky Dance Productions. Fosun Pictures

監督・アン・リー 主演・ウィル・スミス、クライブ・オーウェン <ビスタサイズ・アイマックス対応・116分> 配給・東和

只でさえ複雑難解になってきたスパイ・アクションの新作だが、引退を表明していたCIA特殊スナイパーだったウィル・スミスが、突然、とんでもない窮地になる。

というのも、ラスト・ミッションに挑む凄腕ウィルの前に、彼を狙う若いスナイパーが現れるが、その姿は、23歳の時の彼にそっくりの青年スナイパーだった。

スナイパーが、最期のジョブに挑むのは、2010年のジョージ・クルーニーがスナイパーとして<ラスト・ミッション>に挑んだ傑作『ラストターゲット』があった。

しかし、この新作は、その任務を阻止しようと、ウィルの23歳の時のクローン・スナイパーが現れて、先人スナイパーの命を狙って来る、というヤッカイな設定だ。

この宣伝でウィル・スミスは来日して、披露試写で作品の宣伝をしていたが、当然、あくまで50代で引退を決めた方のスナイパーの立場で作品のPRをしていた。

つまり、23歳の時のウィルを再現する特殊技術は、メイクによる若返りだけでなく、ウィル当人が演じている<二人のスナイパー>を、別の人間としてクリエイト。

確かに、かなりヤヤコしい設定なのだが、自分の若い青春時代の男が命を狙って現れる、という設定はSFミステリーならともかく、それを映画にしてしまう呆れた企画。

ま、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のスパイ・アクション新作だと思えばいいのだが、この発想そのものが、かなり飛躍していて、アタマの整理が必要になる。

たしかに、もし、自分の若い時代にそっくりな奴に、渋谷のスクランブル交差点ですれ違ったとしたら、かなり気味の悪い設定であり、そいつには会いたくない。

という意味では、ダブル・ミッションのスパイ映画なのだが、肝心の標的よりも、そのそっくりサンに追われる、という設定を理解できないままにクライマックス。

100%をコンピューター・グラフィックの特殊処理で製作されたというが、そのうち、ジェームズ・ディーンとスティーブ・マックイーンの共演が見れる・・・かも。

 

■左中間への低いライナーをセンターとレフトが接触して落球、ヒット。 ★★★☆☆

●10月25日より、全国で公開中。


●『燃えろスーリア!』で甦る、あのブルース・リーのカンフー魂。

2019年10月26日 | Weblog

10月15日(火)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>

M-083『燃えろスーリア!』"The Man Who Feels No Pain" (2018) RSVP Presents, Brain on Rent, Panorama Studios, India

監督・脚本・ヴァーサン・バーラー 主演・アビマニュ・ダサーニー、ラーヂィカー・マダン <138分・ビスタサイズ>配給・ショウゲート

あの、ブルース・リーの「燃えろドラゴン」から、半世紀も経っただろうか、と思いつつ、まったく当時のデザインそのままのヴィジュアルは笑える。

しかしこれはホンコン映画ではなく、インド生まれのカンフー・アクション映画で、「デッドプール」へのアンサーなのだ、という。

トロント映画祭では「グリーンブック」が大好評の最中に、<ミッドナイト・マッドネス部門>というセクションで上映されて評判になったという。

普通の人間よりも、痛みを感じない特異体質のインド少年のスーリアは、祖父から貰ったブルース・リー映画で、カンフーに夢中になり、それを体得。

幼なじみだった旧友が、インドの都会ムンバイを悪徳組織で支配していることに反発して、アビマニュ少年は単身で、その組織壊滅に挑んで行く。

主演のアビマニュ青年は、いかにもインドの好青年で、かつての名優<サブウ>ほどにハリウッドに進出していくかは、まだ未知数だろうが・・。

たしかに、ブルース・リーやジャッキー・チェンのカンフー映画は、正に痛みも知らずの驚異的な空手アクションで、悪徳組織をやっつける娯楽作品。

一応は、ラブシーンもあるものの、10分おきに展開していくカンフーの連発で、この映画は、あの「燃えよドラゴン」へのオマージュと評された・・とか。

こうしてブロギングしながらも、そのストーリー展開などは忘れてしまっているほどに、まさに長い上映時間を気にするヒマもないような珍品。

 

■痛烈なサード・ゴロを野手が弾いてセーフ。 ★★☆☆

●12月27日より、TOHOシネマズ・シャンテなどでお正月ロードショー


●『テッド・バンディ』天使の顔をした悪魔のシリアルキラー実話。

2019年10月24日 | Weblog

 

 

10月11日(金)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-082『テッド・バンディ』"Extremely Wicked:Shockingly Evil and Vile" (2018) Voltage Pictures, a Cota Films, Voltage Pictures

監督・ジョー・バリンジャー 主演・ザック・エフロン、ジョン・マルコヴィッチ <101分・ビスタサイズ>配給・ファントム・フィルム

実在した極悪非道の犯罪者を描いた映画はザラにあるが、家庭の不幸な事情とか、衝動的な邪道とか、極度の精神傷害とか、いろいろと犯罪者には要因はある筈だが、

この<テッド・バンディ>という美青年は、そうした<転落の要因>などはなく、むしろ殺人や悪事に心から快感を感じる・・・という超・異常精神の青年だ。

1970年代のシアトル。あのイチロー選手の所属した<マリナーズ>の本拠地で、坂道の多く、自然の海と山脈に囲まれた、じつにさわやかな街だ。

フォルクスワーゲンに乗るハンサムな青年テッドは、コロラド州で起きていた殺人事件を捜査していた刑事に尋問を受けて、重要参考人として拘束された。

映画はクライム・ストーリーだが、ハンサムな青年テッドの多くの殺人現場を描くのではなく、刑事の捜査と尋問で、少しずつ明らかにされていく青年の素顔を描く。

子持ちの女性を妻にしたテッドは、ごく普通で良心的な好青年なのだが、コロラド州で起きた殺人事件の捜査官に逮捕されて、刑事の尋問を受けてから、ドラマは急転。

さらにフロリダ州でも過去に起きていた若い女性殺しの容疑もかかり、次第に<シリアル・キラー>としての素顔が暴かれて行く・・という<化けの皮矧ぎ>サスペンス。

俗悪な殺し屋映画と違って、容疑者の殺人現場は描かないで、警察の捜査が全米各地で起きていた若い女性だけの殺人事件に、共通点があることから、テッドの疑惑が膨らむ。

という犯罪ドラマではあるものの、この実在のシリアル・キラーの善良な家庭人としての<おもて面>を見せつつ、その犯罪の実態が現れて来る・・・というドラマだ。

悪人が好漢である必要はないが、<ベビーフェイス・ネルスン>とか<ボニー・アンド・クライド>のような、映画的な魅力では、ちょっと寂しいヒーローだった。

 

●レフトに抜けそうなゴロだが、イレギュラーしてアウト。 ★★★

■12月20日より、TOHOシネマズ・シャンテなどで、お正月ロードショー

 


●『ラストムービー』で懐かしいデニス・ホッパーの映画魂が甦る。

2019年10月22日 | Weblog

10月9日(水)13-00 渋谷<映画美学校B-1試写室>

M-081『ラストムービー』"The Last Movie" (1971) Hopper Art Trust, 2018 Arbelos Film

監督・出演・デニス・ホッパー、ドン・ゴードン <108分・ビスタサイズ> 配給・コピアポア・フィルム

1969年に友人のピーター・フォンダと共演、脚本を手がけて監督もしたデニス・ホッパーは、その一作でハリウッドに革新の風を送ったものだった。

それまではパラマウントやフォックスやMGMのような、歴史的な大手の映画スタジオで量産されていたスター大作主義の伝統に陰りが見え出していた時代。

テレビの人気が軌道に乗って、スタジオでのドラマ作品にも観衆の飽きが見え出していた時代、スターや監督の世代交代にも、ファンの趣向にも亀裂が生じていた。  

そんな時代に登場した「イージー・ライダー」は、名優ヘンリー・フォンダの息子のピーターと、『OK牧場の決闘』などの脇役だったデニス・ホッパーが結託。

その大ヒットは、ヒッピーの市民権やロック音楽の台頭などの時代のバックアップで、映画史にエポックを築いてしまったほどの事件で、大手スタジオ時代は終わった。

確かにそれを発火点にして、ジャック・ニコルソンという俳優も登場して「ファイブ・イージー・ピーセス」のヒットで、ハリウッドの映画製作の基本を替えたのだった。

しかし、その火付け役だったピーターもデニスも、その後は企画に恵まれずに自然消滅したかに見えたが、この作品は、あの時代のデニスの姿が見られる貴重作。

なぜか40年もの、かなり長い空白があり、友人のヴィム・ヴェンダース監督の「アメリカの友人」などには出演していたデニス本人も10年前に亡くなってしまった。

だから、なぜ今になって、この作品が発掘上映されるのか、その背景はともかく、南米ペルーの山岳地方で、予算の少ない自主映画を製作している彼の姿がまた見られた。

たしか15年ほど前に、デニスが来日したときに、渋谷でお会いして「イージーライダー」の写真にサインをして貰ったとき、少年のような笑顔を見せてくれたことを思い出した。

それは、まさに<映画少年>のような、はにかんだ微笑だった。

 

■ショート後方にポトリのヒット。★★★☆

●12月20日より、新宿シネマカリテなどでロードショー


●『ジョン・ウィック*パラベラム』は復讐の鬼として必殺のリベンジ・アクション連発。

2019年10月20日 | Weblog

10月5日(土)10-30 二子玉川<109シネマズ・IMAXスクリーン

M-080『ジョン・ウィック*パラベラム』"John Wick:Parabellum" (2019) Summit Entertainment LLC. TM&.llc.

監督・チャド・スタエルスキ 主演・キアヌ・リーブス、ハル・ベリー <アイマックス・122分>

要するに、ジェームズ・ボンド氏が定年退職したあとに、2014年に登場した、あのイギリスの諜報局ではなくて、フリーランスの殺し屋として忙しい第二作。

ラブ・ストーリーやヒューマン・ドラマでは、どうもいまいちヒットのでないキアヌの、これはアクション満載の銃撃作品で、ボルテージを上げての新作だ。

前作では、愛犬を殺された復讐で、ロシアン・マフィアを壊滅させたキアヌこと、<ジョン・ウィック>は、自宅を爆破された怒りで、またもブチ切れ大暴れ。

この作品では、新しい標的のイタリアン・マフィアをハチャメチャの逆襲でやっつけていくが、もちろんジョンをバックアップするメンバーもグレイドアップ。

あのボンド氏と同様で、なぜか丸の内のサラリーマンのようにホワイトカラーでグレイの無地のタイに、グレイ・スーツは前作同様の着の身着のままの汚れ知らず。

妻との新居を爆破され、愛犬も失ったジョンは、ボンドのように公的なサラリーマンではないが、今回は家を焼かれたイタリアン・マフィアへの復讐にキレた。

とにかく、ほとんど全編、銃撃アクションの連続なので、アイマックスの巨大スクリーンを見ていると、こちらも銃撃音の凄まじさで、難聴になりそうだ。

それでも、今回は、オスカー女優のハル・ベリーを助っ人に迎えて、「マトリックス」で息の合ったチャド監督と、ほとんど休憩なしのアクションを展開。

作品的にも、前作をブローアップして、キャスティングもロケも、サハラ砂漠まで出かけたりして、まずはボンド氏の長期休暇の間は、このジョンにお任せだ。

これだけ、まさにあの<バスター・キートン>のように、連続してアクションに挑むキアヌは、すっかり<連続死闘俳優>というブランドを作ったようだ。

 

■セカンド強襲のヒットで、セカンド滑り込みセーフ。 ★★★☆

●全国で公開中


●『ある女優の不在』で見える、イランの映画製作のテーマと現状。

2019年10月18日 | Weblog

10月4日(金)12-30 六本木<KINO試写室>

M-079『ある女優の不在』"3 Faces" (2018) Jafet Panahi Film Productions Iran.

監督・脚本・主演・ジャファル・パナヒ 共演・ベーナーズ・ジャファリ <100分・ビスタサイズ>配給・キノフィルムズ

イランの映画を見る、というチャンスは、国際映画祭以外では、あまりないが、この新作はイランの映画事情を察知するうえでも、興味深いミステリー。

いきなり、スマホを手にした少女が、『これから、わたしは死にます』と言って大きな樹の枝に吊っていた縄にクビをくくり、スマホの映像は切れる。

その映像を見た映画監督のパナヒは、一応、その事情を確認するために、映像が発信されたと思われる村の、その風景の背景を探したが、遺体はない。

監督のパナヒご自身が、その少女の行方を探した結果、自殺を予言していた洞窟にはいなくて、捜索の結果、彼女はかつてのイラン映画の大女優だった。

おそらくは、将来への映画女優への夢が行き詰まり、狂言自殺を映像にしてスマホで監督に送る、という行為を通じて、様々な閉鎖的な実情を訴えようとしたのか。

映画は、その少女の行方不明の現実を通じて、イランの国内での<映画製作事情>の混難な実情を、こうして少女の失踪ミステリーとして描こうとしたのか。

数々の映画祭で多くの受賞を果たしているパナヒ監督は、とくに大きなメッセージ性はないが、イランの映画事情の現実を、世界に見てもらおう・・・としたのか。

ま、あまり大袈裟に解釈する必要はなく、ひとりの映画好きの少女と、消えた大女優との交友をドラマにした軽い作品と、好感を持って見るべきだろう。

 

■三遊間をゴロで抜けるワザありのシングル。 ★★★☆☆

●12月13日より、ヒューマントラストシネマ渋谷他でロードショー


●9月は老P・マーロウ探偵の『転落した女』が、ニコタマ・サンセット座上映ベスト。

2019年10月16日 | Weblog

9月のニコタマ・サンセット傑作座(自宅)上映ベストテン

 

*1・『転落した女』89(監督・ウィリアム・へイル)ロバート・ミッチャム・VHS ★★★★

   あのメル・ファーラーが製作したノワールで、リタイアしている探偵が、ビルから転落死した美女の死因を追求していくノワール傑作。

 

*2・『逃亡特急』98(監督・ペーター・リヒテフェルト)ヨアヒム・クロル・DVD ★★★☆☆☆

   ドイツに住む鉄道オタク青年が殺人事件に巻き込まれ、鉄道時刻表国際大会がフィンランドで開催される僻地まで、迷路のような逃走を果たす。

 

*3・『砂の器』74(野村芳太郎)加藤 剛・LD ★★★☆☆

   松本清張原作のミステリーで、警視庁刑事と新人捜査官が、過去の迷宮入り殺人事件の真犯人を探すうち、いま活躍中の有名ピアニストの背景が浮かぶ。

 

*4・『プードルスプリングス』98(ボブ・ラフェルソン)ジェームズ・カーン VHS ★★★☆

   巨匠シドニー・ポラックが製作したミステリーで、リタイアしていた老探偵が、美女失踪の捜索依頼を受けて、アリゾナの保養地に赴くマーロウの残像。

 

*5・『デッドラインUSA』52(リチャード・ブルックス)ハンフリー・ボガート DVD ★★★

   新聞社社会部の事件記者が取材で遭遇した難解な殺人事件の捜索と記事掲載の件で、社内でも揉め事が連発していくという、締め切り時間サスペンス。

 

*このところ、4、50年代のミステリーが、ムックにまとめられて発売されているのに魅了されて、古典ハードボイルド探偵ミステリーに連日どっぷり。


●9月に見た新作試写では、『The Informar/三秒間の死角』が、ベストな思考サスペンスでした。

2019年10月14日 | Weblog

9月に見た新作試写ベスト・3

 

*1・『The Informer/三秒間の死角』監督・アンドレア・デステファ 主演・ジョエル・キナマン ★★★★☆☆☆

    獄中の情報屋が、刑期を返上して裏情報を提供する筈が、FBIに裏切られ、マフィアやNY市警にまで追われるが・・という究極の逆転サスペンス秀作。

 

*2・『残された者・北の極地』監督・ジョー・ペナ 主演・マッツ・ミケルセン ★★★★

    探索で北極圏を飛んでいたマッツは、飛行機事故でひとり生き残り、救援機も悪天候で不時着するという最悪のピンチを脱出するまでのワンマン・アドヴェンチャー。

 

*3・『マイ・フーリッシュ・ハート』監督・ロルフ・ヴァン・アイク 主演・スティーヴ・ウォール ★★★☆☆

    1988年5月13日に、アムステルダムのホテルの窓から墜落死した、ジャズ・トランぺッターでヴォーカリスト、チェット・ベイカーの謎の死の周辺を再現。

 

*その他に見た新作で、印象的だった作品は

★『ベル・カント*とらわれのアリア』出演・渡辺 謙

★『クロール・凶暴領域』製作・サム・ライミ

★『楽園』監督・瀬々敬久 出演・綾野 剛

★『英雄は嘘がお好き』監督・ローラン・ティラール

★『アド・アストラ』主演・ブラッド・ピット


●和田誠さん、ありがとうございました。みんなお元気ですか?

2019年10月12日 | Weblog

和田誠さん、<天国は待ってくれる>

 

亡くなられたというニュースを今朝の新聞で知って、とても寂しくなりました。

上野毛の多摩美術大学の図案科で2年先輩の和田さんとは、よく校内で会いましたが、

初めてお話をしたのは、当時、映画雑誌「映画の友」の編集長の淀川長治さんが、毎月、銀座東4丁目のパルプビルで、

映画ファンのための「友の会」を開かれていて、そこでは淀川さんの毎月の新作情報の話しが聞けるので通い、学校で

見かけていた<先輩>が和田誠さんであることは、淀川さんの雑談と紹介で知る様になりました。

同じ様に、「映画の友」の誌上では<読者のスター・カリカチュア>というページがあって、その応募ページには和田

誠さんは常連で、わたしはたまに掲載される程度の後輩でした。

それでも、淀川さんのご紹介で、和田誠先輩とはお話するようになり、BARをご一緒したのも、彼が銀座西7丁目にあ

った広告代理店<ライト・パブリシティ>に務められていて、すぐ近くの資生堂に入社したわたしは、お昼休みのランチ

に、近くの<いわしや>や<三亀>で、よくお会いして映画の話しをしたものでした。

2000年の頃に、故郷の盛岡市で<ミステリー映画祭>で、ゲストで和田さんをお招きした時も、行きの新幹線の中で

映画とシナトラの話しをしっぱなしで、車掌さんも呆れていました。

菜園のBARでは、日付が変わる迄、カウンターで映画とジャズの話しはつきませんでした。

「おれが細越くんが羨ましいのは、ヒッチコックと会ってツーショットしたことだけだ、オレが自慢できるのは・・」

と、ポケットから、ジョン・ウェインとのツーショット写真を出して見せてくれたものでした。

それからは、よく上北沢の和田さんのご自宅にお邪魔しては、エミさんの手料理をごちそうになり、終電まで話し込み、

2002年に自費出版された「和田誠・鉛筆映画館」というカリカチュアのラフ・デッサン画集にサインも貰いました。

豊富な映画の資料などを見ながら、・・「これって、どうするんですか?」と尋ねたら・・・。

「そんなこと、知るかよ・・、」と笑っていましたが、・・・。

 

まさかの訃報を今朝の新聞で知り、あーー、いまごろは、大好きなルビッチや、ワイルダーとお会いしているでしょう。

「いや。細越くん、いま、オレは、ヒッチコックと会っているよ、ザマー見ろ、じゃ、またね」・・と、笑っている。

<★10月12日>