●12月4日(木)9-00 六本木<FOX映画試写室>
M-134『きっと、星のせいじゃない』 " The Fault in Our Stars " (2014) 20th Century Fox
監督・ジョッシュ・ブーン 主演・シャイリーン・ウッドリー <126分> 配給・20世紀フォックス映画 ★★★☆
むかしライアン・オニールとアリ・マッグローの主演で大ヒットした、若いカップルの難病ラブストーリー『ある愛の詩』があった。しかも今回は、恋人二人共に末期ガンだから大変。
このところヒット作の多い難病ラブストーリーだが、全編を通じて、まったく暗い生活臭さがなく、むしろ病を生きるバネにしたタイムリミット・ラブストーリーなのは好感が持てる。
もちろん、現実的には、死を予告された十代の若者同士が、こんなに明るい恋の日々を送れるはずはないが、それを承知で、この作品は終始明るく微笑みを絶やさないのだ。
だから、あちらでは驚異的な大ヒット作品になったという。ま、これも<アリエネー映画>のジャンルだろうが、とにかく誠実に冷静に死の対峙している作為には同感できる。
アメリカの片田舎。17歳のシャイリーンは末期がんで、いつも酸素ボンベを背負い鼻には呼吸補助のパイプを入れているが、性格は明るくて現実を素直に受け止めている。両親も健気に協力的。
とにかく、この長編ドラマの全編を、酸素ボンベと呼吸器をつけてのシャイリーンの熱演は、アカデミー賞の同情ノミネートは可能だろう。
同じ病気を背負っている同世代の集会で、とてつもなく陽気でアグレッシブな青年アンセルと知り合い、同病相哀れむ感情もあって初恋におちていくプロセスを、青春映画のスタンダードとして描いて行く。
たしかに病気はシリアスだが、若過ぎるふたりにとって、悩んでいる時間はない。小説「至高の痛み」に感銘をうけた二人は原作者にメールをして、彼に会う為にアムステルダムに旅行することにした。
生まれて初めての外国への旅は、同時に最期の旅だと悟っているふたりは、街の美しさを楽しみ、美味しいデイトのあとベッドを共にしたが、やっと会えた憧れの作家は、なぜかひどく冷淡で失望する。
しかしその近所にあった「アンネ・フランクの屋根裏部屋」まで自力で登ったふたりは、ある種の達成感を得たのが、この旅の成果だった。
帰国して間もなく、アンセルの容態が急変して死亡した。そして葬儀の日、その埋葬の瞬間に、非情だった作家ウィレム・デフォーがアムステルダムから駆けつけたのだった。????。
葬儀の日時と墓地をメールで知ったので、飛んで来たというが、死人はメールをできない。ま、誰が通知したにしても、このシーンで感動してよ、と言われても困惑してしまう。
ま、それはいいとしても、余命が短いにしては、この映画、かなり長過ぎて後半は退屈してしまった。
■センターを襲ったいい当たりだったが、失速して野手が慌てて前進キャッチ。
●2015年2月20日より、TOHOシネマズ日本橋などでロードショー