細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『男と女:2』の、永遠に平行線な愛するふたり。

2021年07月30日 | Weblog
●7月29日(木)21-30 ニコタマ:サンセット傑作座
0V-131-52『男と女Ⅱ』"A Man and A Woman 20 Years Later" (1986) A Films 13 Productions, Warner Brothers Company.
製作・監督・脚本・撮影・クロード・ルルーシュ、主演・アヌーク・エーメ、ジャン・ルイ・トランティニアン <カラー・ワイド・113分>ワーナー・ホームビデオ
われわれの世代というか、5、60歳前後の人は、ほとんどは60年代の大ヒット作、あの<ダヴァダヴァだ~~>の「男と女」は見ていただろう。
わたしも、第1作「男と女」は、たまたま67年の春に、長期ニューヨーク出張の際に、セントラルパーク脇のプラザホテル横の名画座で、見て、感動した。
映画も変革の時代を迎えていたときで、このほとんど手持ちのカメラで撮りまくった<ノン・スタジオ>によるお手軽ラブストーリーには感動したものだ。
あの北フランス、ドウヴィル海岸での、ハンディ・カメラによる本邦な動きと、フランシス・レイの<ダヴァダヴァ・ダーーー>のメロディは革命的にヒットした。
ラストシーンで印象的な、あの回転式のハグをした恋人たちは、ハッピーな人生を送っていただろう・・・と思っていたら、実は結婚はしていなかったのだった。
この作品は、あのラストシーンから、20年後のふたりの再会を描いていて、案の上、かなり評判は失墜していて、わたしは見ていなかったのだが・・・。
1998年の春だったか、故郷の盛岡市で、恒例の<みちのく国際映画祭>が開催されていて、わたしも関わりを持っていて、銀座の会社をさぼって帰省したのだった。
新幹線からタクシーと駆け足で、わんこそば屋の2階に急ぎ、対談予定のフランス俳優の、ジャン=ルイ・トランティニアンが待っている、というので、慌てた。
しかし彼は、そばやの座敷の畳の上で、ごろりと横になって、日本庭園を眺めてくつろいでいる。多くのシリアスな名作で見ていた名優は、ただの旅するおじさんだった。
あの名作「暗殺の森」「バンカーパレス・ホテル」「フリック・ストーリー」などの印象とは、まったく別人のように明るくて気さくな普通のフランスからの旅人。
この作品でも、まさに素顔のジャン=ルイのままで、このふたりは恋というよりは、孤独な人間関係をお互いに愛護しているような、ノン・アルコールのカクテル風味。

■ショートへのライナーだが、タイミングが遅くてヒット。 ★★★☆☆☆
●1992・ワーナー・ホームビデオ・VHS

●『波も涙も暖かい』は、アタマに空いた穴、という原題。

2021年07月27日 | Weblog
●7月27日(火)10-00 <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-131-52『波も涙も暖かい』" A Hole in the Head" (1959) Sincap Productions, United Artists, MGM/UA Presents.
製作・監督・フランク・キャプラ 主演・フランク・シナトラ、エリノア・パーカー <シネマスコープ・121分>配給・MGMーUA
2年前の夏に、突然に<フランク・シナトラ・ファン・クラブ・ジャパン>が消滅してからは、個人的にはファンで集っているものの、このコロナ渦。
これはそのシナトラの作品の中でも、かなり趣味的なホーム・コメディで、公開当時は築地の松竹セントラル劇場で見たが、閑散としていたものだ。
「スミス都へ行く」「群衆」「素晴らしき哉、人生」などの名作を連発していたキャプラ監督は、ヒッチコックとは違って、人情味のある名作が多かった。
この作品は、アカデミー賞も受賞して、自分の<リプリーズ・レコード>まで創設した歌手のフランク・シナトラの、一種の<バカンス映画>とも言うべき軽コメディ。
フロリダの大型ビル街のホテル街から外れた、かなり運河から外れの方にある3階建て程度の<エデンの園>というプチ・ホテルの経営者が、遊び人のシナトラなのだ。
別れた妻との間の一人息子は、もう小学校に通っているのだが、オーナーのシナトラはグータラで、いまだに若い女性と夜な夜な遊び歩いているのも、マイアミの風景。
そんなシナトラの自堕落な、競馬や賭ポーカー三昧の生活を見かねて、ニューヨークから老オヤジ夫婦がやってきて、一人孫の将来を心配して、引き取りにやってきたのだ。
その親父は、あのギャング・スターのエドワード・G・ロビンスンで、母親を「裏窓」のセルマ・リッターが固めているという、上質ホームドラマ。
しかも美貌未亡人のエリナー・パーカーまで紹介して・・・という、実に美しい<アメリカン・ハッピーエンディング>をプレゼントしようというのである。
老人オヤジの計画は当然で、とうとうひとり息子をリッチな祖父夫婦の手元に預けることになり、別れてから、シナトラはひとりビーチに佇んでいると、息子が・・・。
何と車から降りて、そのビーチにいたシナトラの背中に抱きついた・・・それで、ひとりのダメ親父とひとり息子は押し寄せる波に流されてズブヌレとなり・・・ああ。
こうして涙の感動は、さすがは往年の<キャプラ・タッチ>で、こちらも思わずもらい泣き・・・という、実に嬉しくもクラシックなハートウォーミングなエンドマークだ。

■左中間へのフライだが、フェンスに当たってのスリーベース。 ★★★★

●『抱擁』のジョーカーは、シナトラの実像にダブるのだ。

2021年07月27日 | Weblog
●7月26日(月)21-00 ニコタマ・サンセット傑作座<自宅>
0V-130-52『抱擁』"The Joker is Wild" (1957) Paramount Pictures
監督・チャールズ・ヴィダー 主演・フランク・シナトラ、ジーン・クレイン <ヴィスタサイズ・112分> VHS
この作品を最初に見たのは、1958年頃に、大学生の時代に、有楽町の朝日新聞ビルの7階にあった、パラマウント映画の試写室だった。
わたしは多摩美の学生だったが、当時のハリウッド映画に狂って、ほとんど上野毛の校舎よりも、パラマウント映画ファンクラブの幹事をして、
新作の団体チケットを丸の内の有名会社の人事厚生課に、新作映画のロードショー団体優待券を社内販売してもらう為に、チケットを配っていたものだ。
この作品の邦題は、揉めに揉めて、シナトラの人気などは、一部のボーカル・ファンだけのもので、結局は「旅情」や「慕情」などのようなイメージで「抱擁」と決まった。
まだ原題の「ジョーカー・・」も、トランプ・カードの認知しかなくて、わたしも大不満だったが、宣伝部会議で、この不思議な邦題に決まったのだった、
シカゴのギャング時代の取り締まりが強化された朝鮮戦争の時代か、バンド歌手のシナトラは、同僚の伴奏ピアノのエディ・アルバートと共に、出演クラブを替えた。
そのことでギャングの報復を受けて、喉を切られたシナトラは唄うことは出来なくなり、数年後にはクラブのステージで前座の漫談をして生き延びていたのだ。
そのジョークの中で、「それならば、ミカドにでも出ていろ」という部分があるが、当時シナトラは赤坂のクラブ・ミカドで初来日公演をしていたのだ。
わたしはアルバイトで工面した、当時としては超高額な15,000円の入場料をゲットして、ホンモノのシナトラのステージを見たのは、人生最高の時間だった。
ドラマでは、喉を切られたシナトラが、カスレ声で唄った「オール・ザ・ウェイ」がアカデミー歌曲賞を受賞して、フランク・シナトラは人気の絶頂期を迎えていた。
大富豪の娘のジーン・クレインの愛情と婚約の夢を捨てて、ダンサーのミッチー・ゲイナーとの邪恋の末に、一人きりになって深夜のシカゴの裏町を歩くシナトラに、
ショウウィンドウに反射している自身の影が、「おいおい、お前さんよ、そろそろ自分自身を幸せにしたら、どうだ!!」と声をかけて来る。
「地上より永遠に」でオスカーを受賞したシナトラの、これは本業の歌手としての名演を見せた、いかにもフランク・シナトラらしいアウトローな体臭が最高だ。

■VHSビデオ・テープでの鑑賞。 ★★★★++

『影裏』の、その影の裏側は、見るたびに謎めいてくる。

2021年07月22日 | Weblog
●7月22日(木)20-20 『影裏』EIRI<2020>Aniplex Inc.・トラスト・エンターテイメント・テレビ岩手
監督・大友啓史 脚本・澤井香織 主演・綾野 剛、松田龍平 <ビスタサイズ・134分> 配給・アニプレックス
原作は沼田真佑の中編小説で、あの三陸海岸での地震による津波の日を、ひとつの分岐点にした青春ミステリーともいえる作品。
監督の大友啓史さんは、盛岡一高卒業の、わたしの後輩に当たるひとだが、テレビ岩手が作品の製作を手がけているので<ご当地>映画ともいえるだろうか。 
運送会社新入社員の綾野は、はじめての盛岡支所に赴任になって、平屋のアパートを借りてゴロゴロしていたら、会社の先輩の松田龍平が訪ねて来た。
多少は盛岡のことに詳しい松田につき合って盛岡市内の桜山神社界隈の飲み屋や、ジャズ・バーなどを遊び歩いていたが、突然、松田は退社してしまった。
わたしもサラリーマンを定年退職までしてたので、こうゆう不思議な奴はいるもので、とくに独身生活の時代には、そういう奴とはよく飲み歩いたものだ。
おそらく北上川の上流の支流なのだろうが、渓流釣りの好きな松田の誘いで、休日には綾野も釣りにつき合わされて、あの「リバー・ランズ・スルー・イット」のような生活。
ところが、突然に松田は退職してしまい、ある日には保健のセールスでやってきて、強引にひとくち保健に加入させられたりして、綾野も盛岡の生活に慣れて来た矢先。
あの大地震で三陸海岸の津波の被害が甚大だったあとに、テレビの報道などでは500人もの行方不明者が出たというが、そのなかに、なぜか、松田の名前があったのだ。
そこで、綾野は盛岡市内にいる彼の兄や、父親に会いに行ったのだが、一様に、龍平の挙動や消息には無関心で、多くの借金を抱えての行方不明とも思われていた。
つまり、その「影裏」のような消息不明には、誰も興味を持っていないのも、不思議で不透明な<事実>らしく、その曖昧な真相こそが「影裏」なのだろうか。
エンディング・クレジットが消えた瞬間に、唐突に、あの盛岡の夏祭り<さんさ踊り>が、大音響で鳴り響く、・・・これも大友監督らしい<オチ>なのだろう。
ヒット作の「るろうに剣心」シリーズの、劇画コミック風の時代劇ヒット・シリーズにはない、この<盛岡弁ミステリー>には、まさに謎めいた影と、その裏が潜む。

■レフトライナーだが、イレギュラーして、フェンス転々のツーベース。 ★★★☆☆
●アニプレックスDVD

●『片方のハイヒール<堕ちて来た女』は、マーロウ探偵後日談だ。

2021年07月22日 | Weblog
●7月21日(水)20-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-127-52『転落してきた女』"One Shue Makes It Murder" (1989) Rolimer Productions, 
製作・ジョン・ファーラー 監督・ウィリアム・へイル 主演・ロバート・ミッチャム、アンジー・ディキンスン<92分・ビスタサイズ・VHSテープ>
あのオードリー・ヘプバーンとメル・ファーラーの息子のジョンが、父と共にプロデューサーとなって製作した、テレビ映画の珍品ミステリー。
当然のように、メル・ファーラーが出演していて、探偵をリタイアしていた旧友のフィリップ・マーロウを、保養地レイク・タホの別荘に呼びつけたのだ。
依頼要件というのが、別荘の所有者で富豪のメルの愛妻が失踪していて、事件性はないが、どこに消えたか,5万ドル報酬で探してくれ・・・という。
さっそく古巣のロスに戻り、ビバリーヒルズの高層アパート最上階にいた失踪妻を発見して、メルに下の公衆電話から連絡していたら、ビルの上から女性が降って来た。
転落死したのは、その数分前に話ししていたメルのワイフで、墜死した片足のハイヒールは脱げていて、現場には見当たらない。
市警の刑事と、また最上階に戻ると、ベランダに、そのハイヒールの片方が落ちていたので、これは自殺ではなく、殺人事件だ、とマーロウは断言したのだ。
もし、自殺なら、両方のハイヒールを脱ぐが、片方だけベランダに残っているのは「殺人事件だろう・・」と、マーロウは不審な刑事に諭し、メルにも通報した。
という導入で、さっそく失踪事件ではなくて、マーロウお得意の殺人事件として捜査することになったのだ。
地下の駐車場には、彼女の白いロールスのオープンカーがあり、駐車係をメルの電話で代わってもらい、またも老探偵はレイク・タホの主人のメルの別荘に戻る。
ジェームズ・カーンがマーロウ探偵を演じた「プードルスプリング」も、どうも陽光燦々の美しい保養地が背景では、あのダークな夜のビル裏道のマーロウ探偵の気分が出ない。
とはいえ、あの「さらば愛しき女よ」で、当たり役のロバート・ミッチャムが探偵マーロウを演じているのだから、・・あのドスの効いた、ミッチャムの声。
風光明媚なタホ湖で、トレンチコートなしのマーロウでも、文句を言ったらバチが当たる・・という、貴重な珍品、でもある。

■さすがは老練の左中間へのゴロで抜けるツーベース。 ★★★☆☆☆
●もしかしたら、VHSで見つかる・・かも。
●7月21日(水)20-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-127-52『転落してきた女』"One Shue Makes It Murder" (1989) Rolimer Productions, 
製作・ジョン・ファーラー 監督・ウィリアム・へイル 主演・ロバート・ミッチャム、アンジー・ディキンスン<92分・ビスタサイズ・VHSテープ>
あのオードリー・ヘプバーンとメル・ファーラーの息子のジョンが、父と共にプロデューサーとなって製作した、テレビ映画の珍品ミステリー。
当然のように、メル・ファーラーが出演していて、探偵をリタイアしていた旧友のフィリップ・マーロウを、保養地レイク・タホの別荘に呼びつけたのだ。
依頼要件というのが、別荘の所有者で富豪のメルの愛妻が失踪していて、事件性はないが、どこに消えたか,5万ドル報酬で探してくれ・・・という。
さっそく古巣のロスに戻り、ビバリーヒルズの高層アパート最上階にいた失踪妻を発見して、メルに下の公衆電話から連絡していたら、ビルの上から女性が降って来た。
転落死したのは、その数分前に話ししていたメルのワイフで、墜死した片足のハイヒールは脱げていて、現場には見当たらない。
市警の刑事と、また最上階に戻ると、ベランダに、そのハイヒールの片方が落ちていたので、これは自殺ではなく、殺人事件だ、とマーロウは断言したのだ。
もし、自殺なら、両方のハイヒールを脱ぐが、片方だけベランダに残っているのは「殺人事件だろう・・」と、マーロウは不審な刑事に諭し、メルにも通報した。
という導入で、さっそく失踪事件ではなくて、マーロウお得意の殺人事件として捜査することになったのだ。
地下の駐車場には、彼女の白いロールスのオープンカーがあり、駐車係をメルの電話で代わってもらい、またも老探偵はレイク・タホの主人のメルの別荘に戻る。
ジェームズ・カーンがマーロウ探偵を演じた「プードルスプリング」も、どうも陽光燦々の美しい保養地が背景では、あのダークな夜のビル裏道のマーロウ探偵の気分が出ない。
とはいえ、あの「さらば愛しき女よ」で、当たり役のロバート・ミッチャムが探偵マーロウを演じているのだから、・・あのドスの効いた、ミッチャムの声。
風光明媚なタホ湖で、トレンチコートなしのマーロウでも、文句を言ったらバチが当たる・・という、貴重な珍品、でもある。

■さすがは老練の左中間へのゴロで抜けるツーベース。 ★★★☆☆☆
●もしかしたら、VHSで見つかる・・かも。
●7月21日(水)20-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-127-52『転落してきた女』"One Shue Makes It Murder" (1989) Rolimer Productions, 
製作・ジョン・ファーラー 監督・ウィリアム・へイル 主演・ロバート・ミッチャム、アンジー・ディキンスン<92分・ビスタサイズ・VHSテープ>
あのオードリー・ヘプバーンとメル・ファーラーの息子のジョンが、父と共にプロデューサーとなって製作した、テレビ映画の珍品ミステリー。
当然のように、メル・ファーラーが出演していて、探偵をリタイアしていた旧友のフィリップ・マーロウを、保養地レイク・タホの別荘に呼びつけたのだ。
依頼要件というのが、別荘の所有者で富豪のメルの愛妻が失踪していて、事件性はないが、どこに消えたか,5万ドル報酬で探してくれ・・・という。
さっそく古巣のロスに戻り、ビバリーヒルズの高層アパート最上階にいた失踪妻を発見して、メルに下の公衆電話から連絡していたら、ビルの上から女性が降って来た。
転落死したのは、その数分前に話ししていたメルのワイフで、墜死した片足のハイヒールは脱げていて、現場には見当たらない。
市警の刑事と、また最上階に戻ると、ベランダに、そのハイヒールの片方が落ちていたので、これは自殺ではなく、殺人事件だ、とマーロウは断言したのだ。
もし、自殺なら、両方のハイヒールを脱ぐが、片方だけベランダに残っているのは「殺人事件だろう・・」と、マーロウは不審な刑事に諭し、メルにも通報した。
という導入で、さっそく失踪事件ではなくて、マーロウお得意の殺人事件として捜査することになったのだ。
地下の駐車場には、彼女の白いロールスのオープンカーがあり、駐車係をメルの電話で代わってもらい、またも老探偵はレイク・タホの主人のメルの別荘に戻る。
ジェームズ・カーンがマーロウ探偵を演じた「プードルスプリング」も、どうも陽光燦々の美しい保養地が背景では、あのダークな夜のビル裏道のマーロウ探偵の気分が出ない。
とはいえ、あの「さらば愛しき女よ」で、当たり役のロバート・ミッチャムが探偵マーロウを演じているのだから、・・あのドスの効いた、ミッチャムの声。
風光明媚なタホ湖で、トレンチコートなしのマーロウでも、文句を言ったらバチが当たる・・という、貴重な珍品、でもある。

■さすがは老練の左中間へのゴロで抜けるツーベース。 ★★★☆☆☆
●もしかしたら、VHSで見つかる・・かも。
●7月21日(水)20-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-127-52『転落してきた女』"One Shue Makes It Murder" (1989) Rolimer Productions, 
製作・ジョン・ファーラー 監督・ウィリアム・へイル 主演・ロバート・ミッチャム、アンジー・ディキンスン<92分・ビスタサイズ・VHSテープ>
あのオードリー・ヘプバーンとメル・ファーラーの息子のジョンが、父と共にプロデューサーとなって製作した、テレビ映画の珍品ミステリー。
当然のように、メル・ファーラーが出演していて、探偵をリタイアしていた旧友のフィリップ・マーロウを、保養地レイク・タホの別荘に呼びつけたのだ。
依頼要件というのが、別荘の所有者で富豪のメルの愛妻が失踪していて、事件性はないが、どこに消えたか,5万ドル報酬で探してくれ・・・という。
さっそく古巣のロスに戻り、ビバリーヒルズの高層アパート最上階にいた失踪妻を発見して、メルに下の公衆電話から連絡していたら、ビルの上から女性が降って来た。
転落死したのは、その数分前に話ししていたメルのワイフで、墜死した片足のハイヒールは脱げていて、現場には見当たらない。
市警の刑事と、また最上階に戻ると、ベランダに、そのハイヒールの片方が落ちていたので、これは自殺ではなく、殺人事件だ、とマーロウは断言したのだ。
もし、自殺なら、両方のハイヒールを脱ぐが、片方だけベランダに残っているのは「殺人事件だろう・・」と、マーロウは不審な刑事に諭し、メルにも通報した。
という導入で、さっそく失踪事件ではなくて、マーロウお得意の殺人事件として捜査することになったのだ。
地下の駐車場には、彼女の白いロールスのオープンカーがあり、駐車係をメルの電話で代わってもらい、またも老探偵はレイク・タホの主人のメルの別荘に戻る。
ジェームズ・カーンがマーロウ探偵を演じた「プードルスプリング」も、どうも陽光燦々の美しい保養地が背景では、あのダークな夜のビル裏道のマーロウ探偵の気分が出ない。
とはいえ、あの「さらば愛しき女よ」で、当たり役のロバート・ミッチャムが探偵マーロウを演じているのだから、・・あのドスの効いた、ミッチャムの声。
風光明媚なタホ湖で、トレンチコートなしのマーロウでも、文句を言ったらバチが当たる・・という、貴重な珍品、でもある。

■さすがは老練の左中間へのゴロで抜けるツーベース。 ★★★☆☆☆
●もしかしたら、VHSで見つかる・・かも。

●酷暑お見舞い申し上げます。

2021年07月22日 | Weblog
★ロバート・アルトマン監督「ロング・グッドバイ」に関して、
原作は、「長いお別れ」として出版されましたが、映画は原題で公開されましたが、
ダブってブログに掲載して失礼しました。このコロナ渦の酷暑でボケましたか、
マーロウ探偵に変わって、お詫び申し上げます。


●『ロング・グッドバイ』の70年代、探偵マーロウも、もっと見たかった。

2021年07月22日 | Weblog
●7月21日(水)21-40 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-70『ロング・グッドバイ』(1973)ユナイテッド・アーティスト、MGM-UA・1973作品
監督・ロバート・アルトマン 主演・エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン <シネスコサイズ・112分>DVD鑑賞
これもまた、レイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いた作品だが、本格ロバート・ミッチャムのイメージとは激変。
ま、チャンドラーのストーリーを、70年代流行のギミック解釈をした、という、あの「マッシュ」の監督、主演コンビなのだから、皮肉なコミック色も強い異色作。
1973年当時、新橋の試写室で見たときは、偶然、隣の席に渥美清サンがいて、終わった途端に「変なマーロウだねーー」と苦笑していたのを思い出した。
たしかに、過去にディック・パウエルや、ロバート・ミッチャムが演じた探偵マーロウは寡黙で、トレンチコートにソフト帽を被った夜の大都会の裏道が似合っていたものだが。
ロスでもサンタモニカの丘陵にある高層アパートに、猫を飼っていたマーロウ探偵は、夜中の3時に猫の空腹で起こされて、近くのコンビニにキャットフードを買いに出る。
そこに旧友テリーが尋ねて来て、カミサンとのトラブルで、車で3時間くらいのメキシコ国境のティワナまで送ってくれないか、というので、ヒマなマーロウはドライブした。
ところが、自宅に戻ると、テレビではそのテリーのカミサンが惨殺されていて、警官がやってきて需要参考人として警察に連行されて、執拗に尋問されてしまったのだ。
しかし、その後に、テリーが自殺した、という報道があって、マーロウは釈放されるのだが、どうも事件の裏にはカラクリがあるようで、名探偵は独自捜査を始める。
一方では、老練小説家の失踪捜査事件を捜査依頼があって、その事件を探って行くうちに、テリーの失踪が関係ありそうだ・・・と、マーロウは単身メキシコに行く。
案の上、遺跡都市メリダの奥地の隠れ家を探り当てたマーロウは、寂れた山荘の庭でハンモックで昼寝していた友人を発見して、そのまま無言で射殺してしまう。
複雑な人間関係と、犯罪都市ロス郊外の空気が、原作よりも70年代に変えられた分、探偵マーロウの常時タバコを離せない悪癖と似て、クレイジーな探偵戯画だ。
これだけ探偵マーロウを茶化した作品はないが、それでも、ちゃんとワルはやっつける、という気概の激しさは、後味として強く残るという彼の後ろ姿が、いい。

■ショート・ゴロをトンネルしたあと、レフトもお手玉のツーベース。 ★★★☆*
●20世紀フォックス・エンターテイメントDVD
●7月21日(水)21-40 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-70『ロング・グッドバイ』(1973)ユナイテッド・アーティスト、MGM-UA・1973作品
監督・ロバート・アルトマン 主演・エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン <シネスコサイズ・112分>DVD鑑賞
これもまた、レイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いた作品だが、本格ロバート・ミッチャムのイメージとは激変。
ま、チャンドラーのストーリーを、70年代流行のギミック解釈をした、という、あの「マッシュ」の監督、主演コンビなのだから、皮肉なコミック色も強い異色作。
1973年当時、新橋の試写室で見たときは、偶然、隣の席に渥美清サンがいて、終わった途端に「変なマーロウだねーー」と苦笑していたのを思い出した。
たしかに、過去にディック・パウエルや、ロバート・ミッチャムが演じた探偵マーロウは寡黙で、トレンチコートにソフト帽を被った夜の大都会の裏道が似合っていたものだが。
ロスでもサンタモニカの丘陵にある高層アパートに、猫を飼っていたマーロウ探偵は、夜中の3時に猫の空腹で起こされて、近くのコンビニにキャットフードを買いに出る。
そこに旧友テリーが尋ねて来て、カミサンとのトラブルで、車で3時間くらいのメキシコ国境のティワナまで送ってくれないか、というので、ヒマなマーロウはドライブした。
ところが、自宅に戻ると、テレビではそのテリーのカミサンが惨殺されていて、警官がやってきて需要参考人として警察に連行されて、執拗に尋問されてしまったのだ。
しかし、その後に、テリーが自殺した、という報道があって、マーロウは釈放されるのだが、どうも事件の裏にはカラクリがあるようで、名探偵は独自捜査を始める。
一方では、老練小説家の失踪捜査事件を捜査依頼があって、その事件を探って行くうちに、テリーの失踪が関係ありそうだ・・・と、マーロウは単身メキシコに行く。
案の上、遺跡都市メリダの奥地の隠れ家を探り当てたマーロウは、寂れた山荘の庭でハンモックで昼寝していた友人を発見して、そのまま無言で射殺してしまう。
複雑な人間関係と、犯罪都市ロス郊外の空気が、原作よりも70年代に変えられた分、探偵マーロウの常時タバコを離せない悪癖と似て、クレイジーな探偵戯画だ。
これだけ探偵マーロウを茶化した作品はないが、それでも、ちゃんとワルはやっつける、という気概の激しさは、後味として強く残るという彼の後ろ姿が、いい。

■ショート・ゴロをトンネルしたあと、レフトもお手玉のツーベース。 ★★★☆*
●20世紀フォックス・エンターテイメントDVD
●7月21日(水)21-40 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-70『ロング・グッドバイ』(1973)ユナイテッド・アーティスト、MGM-UA・1973作品
監督・ロバート・アルトマン 主演・エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン <シネスコサイズ・112分>DVD鑑賞
これもまた、レイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いた作品だが、本格ロバート・ミッチャムのイメージとは激変。
ま、チャンドラーのストーリーを、70年代流行のギミック解釈をした、という、あの「マッシュ」の監督、主演コンビなのだから、皮肉なコミック色も強い異色作。
1973年当時、新橋の試写室で見たときは、偶然、隣の席に渥美清サンがいて、終わった途端に「変なマーロウだねーー」と苦笑していたのを思い出した。
たしかに、過去にディック・パウエルや、ロバート・ミッチャムが演じた探偵マーロウは寡黙で、トレンチコートにソフト帽を被った夜の大都会の裏道が似合っていたものだが。
ロスでもサンタモニカの丘陵にある高層アパートに、猫を飼っていたマーロウ探偵は、夜中の3時に猫の空腹で起こされて、近くのコンビニにキャットフードを買いに出る。
そこに旧友テリーが尋ねて来て、カミサンとのトラブルで、車で3時間くらいのメキシコ国境のティワナまで送ってくれないか、というので、ヒマなマーロウはドライブした。
ところが、自宅に戻ると、テレビではそのテリーのカミサンが惨殺されていて、警官がやってきて需要参考人として警察に連行されて、執拗に尋問されてしまったのだ。
しかし、その後に、テリーが自殺した、という報道があって、マーロウは釈放されるのだが、どうも事件の裏にはカラクリがあるようで、名探偵は独自捜査を始める。
一方では、老練小説家の失踪捜査事件を捜査依頼があって、その事件を探って行くうちに、テリーの失踪が関係ありそうだ・・・と、マーロウは単身メキシコに行く。
案の上、遺跡都市メリダの奥地の隠れ家を探り当てたマーロウは、寂れた山荘の庭でハンモックで昼寝していた友人を発見して、そのまま無言で射殺してしまう。
複雑な人間関係と、犯罪都市ロス郊外の空気が、原作よりも70年代に変えられた分、探偵マーロウの常時タバコを離せない悪癖と似て、クレイジーな探偵戯画だ。
これだけ探偵マーロウを茶化した作品はないが、それでも、ちゃんとワルはやっつける、という気概の激しさは、後味として強く残るという彼の後ろ姿が、いい。

■ショート・ゴロをトンネルしたあと、レフトもお手玉のツーベース。 ★★★☆*
●20世紀フォックス・エンターテイメントDVD
●7月21日(水)21-40 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-70『ロング・グッドバイ』(1973)ユナイテッド・アーティスト、MGM-UA・1973作品
監督・ロバート・アルトマン 主演・エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン <シネスコサイズ・112分>DVD鑑賞
これもまた、レイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いた作品だが、本格ロバート・ミッチャムのイメージとは激変。
ま、チャンドラーのストーリーを、70年代流行のギミック解釈をした、という、あの「マッシュ」の監督、主演コンビなのだから、皮肉なコミック色も強い異色作。
1973年当時、新橋の試写室で見たときは、偶然、隣の席に渥美清サンがいて、終わった途端に「変なマーロウだねーー」と苦笑していたのを思い出した。
たしかに、過去にディック・パウエルや、ロバート・ミッチャムが演じた探偵マーロウは寡黙で、トレンチコートにソフト帽を被った夜の大都会の裏道が似合っていたものだが。
ロスでもサンタモニカの丘陵にある高層アパートに、猫を飼っていたマーロウ探偵は、夜中の3時に猫の空腹で起こされて、近くのコンビニにキャットフードを買いに出る。
そこに旧友テリーが尋ねて来て、カミサンとのトラブルで、車で3時間くらいのメキシコ国境のティワナまで送ってくれないか、というので、ヒマなマーロウはドライブした。
ところが、自宅に戻ると、テレビではそのテリーのカミサンが惨殺されていて、警官がやってきて需要参考人として警察に連行されて、執拗に尋問されてしまったのだ。
しかし、その後に、テリーが自殺した、という報道があって、マーロウは釈放されるのだが、どうも事件の裏にはカラクリがあるようで、名探偵は独自捜査を始める。
一方では、老練小説家の失踪捜査事件を捜査依頼があって、その事件を探って行くうちに、テリーの失踪が関係ありそうだ・・・と、マーロウは単身メキシコに行く。
案の上、遺跡都市メリダの奥地の隠れ家を探り当てたマーロウは、寂れた山荘の庭でハンモックで昼寝していた友人を発見して、そのまま無言で射殺してしまう。
複雑な人間関係と、犯罪都市ロス郊外の空気が、原作よりも70年代に変えられた分、探偵マーロウの常時タバコを離せない悪癖と似て、クレイジーな探偵戯画だ。
これだけ探偵マーロウを茶化した作品はないが、それでも、ちゃんとワルはやっつける、という気概の激しさは、後味として強く残るという彼の後ろ姿が、いい。

■ショート・ゴロをトンネルしたあと、レフトもお手玉のツーベース。 ★★★☆*
●20世紀フォックス・エンターテイメントDVD
●7月21日(水)21-40 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-70『ロング・グッドバイ』(1973)ユナイテッド・アーティスト、MGM-UA・1973作品
監督・ロバート・アルトマン 主演・エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン <シネスコサイズ・112分>DVD鑑賞
これもまた、レイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いた作品だが、本格ロバート・ミッチャムのイメージとは激変。
ま、チャンドラーのストーリーを、70年代流行のギミック解釈をした、という、あの「マッシュ」の監督、主演コンビなのだから、皮肉なコミック色も強い異色作。
1973年当時、新橋の試写室で見たときは、偶然、隣の席に渥美清サンがいて、終わった途端に「変なマーロウだねーー」と苦笑していたのを思い出した。
たしかに、過去にディック・パウエルや、ロバート・ミッチャムが演じた探偵マーロウは寡黙で、トレンチコートにソフト帽を被った夜の大都会の裏道が似合っていたものだが。
ロスでもサンタモニカの丘陵にある高層アパートに、猫を飼っていたマーロウ探偵は、夜中の3時に猫の空腹で起こされて、近くのコンビニにキャットフードを買いに出る。
そこに旧友テリーが尋ねて来て、カミサンとのトラブルで、車で3時間くらいのメキシコ国境のティワナまで送ってくれないか、というので、ヒマなマーロウはドライブした。
ところが、自宅に戻ると、テレビではそのテリーのカミサンが惨殺されていて、警官がやってきて需要参考人として警察に連行されて、執拗に尋問されてしまったのだ。
しかし、その後に、テリーが自殺した、という報道があって、マーロウは釈放されるのだが、どうも事件の裏にはカラクリがあるようで、名探偵は独自捜査を始める。
一方では、老練小説家の失踪捜査事件を捜査依頼があって、その事件を探って行くうちに、テリーの失踪が関係ありそうだ・・・と、マーロウは単身メキシコに行く。
案の上、遺跡都市メリダの奥地の隠れ家を探り当てたマーロウは、寂れた山荘の庭でハンモックで昼寝していた友人を発見して、そのまま無言で射殺してしまう。
複雑な人間関係と、犯罪都市ロス郊外の空気が、原作よりも70年代に変えられた分、探偵マーロウの常時タバコを離せない悪癖と似て、クレイジーな探偵戯画だ。
これだけ探偵マーロウを茶化した作品はないが、それでも、ちゃんとワルはやっつける、という気概の激しさは、後味として強く残るという彼の後ろ姿が、いい。

■ショート・ゴロをトンネルしたあと、レフトもお手玉のツーベース。 ★★★☆*
●20世紀フォックス・エンターテイメントDVD
●7月21日(水)21-40 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-70『ロング・グッドバイ』(1973)ユナイテッド・アーティスト、MGM-UA・1973作品
監督・ロバート・アルトマン 主演・エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン <シネスコサイズ・112分>DVD鑑賞
これもまた、レイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いた作品だが、本格ロバート・ミッチャムのイメージとは激変。
ま、チャンドラーのストーリーを、70年代流行のギミック解釈をした、という、あの「マッシュ」の監督、主演コンビなのだから、皮肉なコミック色も強い異色作。
1973年当時、新橋の試写室で見たときは、偶然、隣の席に渥美清サンがいて、終わった途端に「変なマーロウだねーー」と苦笑していたのを思い出した。
たしかに、過去にディック・パウエルや、ロバート・ミッチャムが演じた探偵マーロウは寡黙で、トレンチコートにソフト帽を被った夜の大都会の裏道が似合っていたものだが。
ロスでもサンタモニカの丘陵にある高層アパートに、猫を飼っていたマーロウ探偵は、夜中の3時に猫の空腹で起こされて、近くのコンビニにキャットフードを買いに出る。
そこに旧友テリーが尋ねて来て、カミサンとのトラブルで、車で3時間くらいのメキシコ国境のティワナまで送ってくれないか、というので、ヒマなマーロウはドライブした。
ところが、自宅に戻ると、テレビではそのテリーのカミサンが惨殺されていて、警官がやってきて需要参考人として警察に連行されて、執拗に尋問されてしまったのだ。
しかし、その後に、テリーが自殺した、という報道があって、マーロウは釈放されるのだが、どうも事件の裏にはカラクリがあるようで、名探偵は独自捜査を始める。
一方では、老練小説家の失踪捜査事件を捜査依頼があって、その事件を探って行くうちに、テリーの失踪が関係ありそうだ・・・と、マーロウは単身メキシコに行く。
案の上、遺跡都市メリダの奥地の隠れ家を探り当てたマーロウは、寂れた山荘の庭でハンモックで昼寝していた友人を発見して、そのまま無言で射殺してしまう。
複雑な人間関係と、犯罪都市ロス郊外の空気が、原作よりも70年代に変えられた分、探偵マーロウの常時タバコを離せない悪癖と似て、クレイジーな探偵戯画だ。
これだけ探偵マーロウを茶化した作品はないが、それでも、ちゃんとワルはやっつける、という気概の激しさは、後味として強く残るという彼の後ろ姿が、いい。

■ショート・ゴロをトンネルしたあと、レフトもお手玉のツーベース。 ★★★☆*
●20世紀フォックス・エンターテイメントDVD

●『ポイント・ブランク=殺しの分け前』は白昼オール・ロケのハリウッド・ノワール。

2021年07月19日 | Weblog
●7月18日(日)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-126-51『殺しの分け前・ポイントブラック』"Point Black" (1967) Metro Goldwyn Mayer, Judd Bernard/Irwin Winkler Production
監督・ジョン・ブアマン 主演・リー・マーヴィン、アンジー・ディキンスン <パナヴィジョン・92分・レーザーディスク>
要するに、中年ヒットマンのリーが、あらぬ容疑を架けられて、サンフランシスコ湾の孤島アルカトラスの刑務所に収容され、脱走して復讐を果たす、というリベンジ。
投獄されたのは麻薬関連の、殺人容疑なのだが、もともと殺しのプロだった男だが、組織の悪徳密売や殺人事件などを肩代わりされて投獄されていたが、単身脱走。
しかし、湾内の孤島は、バート・ランカスター主演「終身犯」にも取りザタされた、重犯罪犯だけを収容する刑務所だけの、例えは悪いが、千代田区くらいの広さの地獄島。
まったく太平洋が流れ込む島で、警備の関係船しか桟橋に入れず、わたしも一度サンフランシスコの湾内の観光船に乗って、ゴールデンゲイト・ブリッジの下を通過したことがある。
ヒッチコックの「めまい」でも、そのアルカトラス島を背景にしたシーンがあったが、とにかく凄い急流で、とても泳いで渡れるような距離ではないのだが、・・・。
リー・マーヴィンは組織の陰謀にハメられた復讐のために、単身で刑務所を脱走して泳ぎ、彼をハメた組織を追求して、キーナン・ウィンの組織のボスに復讐するまでのリベンジ。
「オーシャンと11人の仲間」や「リオ・ブラボー」などにも出演していたアンジーが、ここでは、そのマーヴィンの元カノを演じていて、情報を流す、という算段。
監督は、山岳映画の傑作「脱出」や日米合作の「太平洋の地獄」も撮っていて、男性アクションが得意な個性で、美女とのロマンスなどはそっちのけで荒っぽいのだ。
しかし、肝心の悪役が、コメディアンとしても当時のテレビでも人気のあったキーナン・ウィンでは、とても軽くて、このマーヴィンの怨念の復讐には弱すぎる。
それでもオール・サンフランシスコ・ロケの復讐アクションなので、<ハリウッド・ノワール>の転換期にあったサスペンスとして、まだ切れ味が残っていた。
当時、ハリウッドのハイランダー通りとサンセットの交差点で、偶然にリーの運転するオープンカーと交差点で会い、「あ、リー・マーヴィンだ」と言ったら、
ニヤリとして、ハンドルの右手を離して、指でわたしを撃つ仕草をして走り去った思い出を、ふと、思い出してしまった、傑作サスペンスだ。

■痛烈なゴロがセカンドのグラブを弾いて、右中間に転々のツーベース。 ★★★★
●MGM・UA、輸入版LDディスク

●『堕ちて来た女』は、リタイアしたフィリップ・マーロウ別伝。

2021年07月16日 | Weblog
●7月15日(木)20-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-67-36『転落してきた女』"One Shue Makes It Murder" (1989) Rolimer Productions, 
製作・ジョン・ファーラー 監督・ウィリアム・へイル 主演・ロバート・ミッチャム、アンジー・ディキンスン<92分・ビスタサイズ・VHSテープ>
あのオードリー・ヘプバーンとメル・ファーラーの息子のジョンが、父と共にプロデューサーとなって製作した、テレビ映画の珍品ミステリー。
当然のように、メル・ファーラーが出演していて、探偵をリタイアしていた旧友のフィリップ・マーロウを、保養地レイク・タホの別荘に呼びつけたのだ。
依頼要件というのが、別荘の所有者で富豪のメルの愛妻が失踪していて、事件性はないが、どこに消えたか,5万ドル報酬で探してくれ・・・という。
さっそく古巣のロスに戻り、ビバリーヒルズの高層アパート最上階にいた失踪妻を発見して、メルに下の公衆電話から連絡していたら、ビルの上から女性が降って来た。
転落死したのは、その数分前に話ししていたメルのワイフで、墜死した片足のハイヒールは脱げていて、現場には見当たらない。
市警の刑事と、また最上階に戻ると、ベランダに、そのハイヒールの片方が落ちていたので、これは自殺ではなく、殺人事件だ、とマーロウは断言したのだ。
もし、自殺なら、両方のハイヒールを脱ぐが、片方だけベランダに残っているのは「殺人事件だろう・・」と、マーロウは不審な刑事に諭し、メルにも通報した。
という導入で、さっそく失踪事件ではなくて、マーロウお得意の殺人事件として捜査することになったのだ。
地下の駐車場には、彼女の白いロールスのオープンカーがあり、駐車係をメルの電話で代わってもらい、またも老探偵はレイク・タホの主人のメルの別荘に戻る。
ジェームズ・カーンがマーロウ探偵を演じた「プードルスプリング」も、どうも陽光燦々の美しい保養地が背景では、あのダークな夜のビル裏道のマーロウ探偵の気分が出ない。
とはいえ、あの「さらば愛しき女よ」で、当たり役のロバート・ミッチャムが探偵マーロウを演じているのだから、・・あのドスの効いた、ミッチャムの声。
風光明媚なタホ湖で、トレンチコートなしのマーロウでも、文句を言ったらバチが当たる・・という、貴重な珍品、でもある。

■さすがは老練の左中間へのゴロで抜けるツーベース。 ★★★☆☆☆
●もしかしたら、VHSで見つかる・・かも。

●『ロング・グッドバイ』はネコ好きマーロウ探偵のキャット・ウォーク。

2021年07月14日 | Weblog
●7月13日(火)21-40 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-70『ロング・グッドバイ』(1973)ユナイテッド・アーティスト、MGM-UA・1973作品
監督・ロバート・アルトマン 主演・エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン <シネスコサイズ・112分>DVD鑑賞
これもまた、レイモンド・チャンドラー原作の探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いた作品だが、本格ロバート・ミッチャムのイメージとは激変。
ま、チャンドラーのストーリーを、70年代流行のギミック解釈をした、という、あの「マッシュ」の監督、主演コンビなのだから、皮肉なコミック色も強い異色作。
1973年当時、新橋の試写室で見たときは、偶然、隣の席に渥美清サンがいて、終わった途端に「変なマーロウだねーー」と苦笑していたのを思い出した。
たしかに、過去にディック・パウエルや、ロバート・ミッチャムが演じた探偵マーロウは寡黙で、トレンチコートにソフト帽を被った夜の大都会の裏道が似合っていたものだが。
ロスでもサンタモニカの丘陵にある高層アパートに、猫を飼っていたマーロウ探偵は、夜中の3時に猫の空腹で起こされて、近くのコンビニにキャットフードを買いに出る。
そこに旧友テリーが尋ねて来て、カミサンとのトラブルで、車で3時間くらいのメキシコ国境のティワナまで送ってくれないか、というので、ヒマなマーロウはドライブした。
ところが、自宅に戻ると、テレビではそのテリーのカミサンが惨殺されていて、警官がやってきて需要参考人として警察に連行されて、執拗に尋問されてしまったのだ。
しかし、その後に、テリーが自殺した、という報道があって、マーロウは釈放されるのだが、どうも事件の裏にはカラクリがあるようで、名探偵は独自捜査を始める。
一方では、老練小説家の失踪捜査事件を捜査依頼があって、その事件を探って行くうちに、テリーの失踪が関係ありそうだ・・・と、マーロウは単身メキシコに行く。
案の上、遺跡都市メリダの奥地の隠れ家を探り当てたマーロウは、寂れた山荘の庭でハンモックで昼寝していた友人を発見して、そのまま無言で射殺してしまう。
複雑な人間関係と、犯罪都市ロス郊外の空気が、原作よりも70年代に変えられた分、探偵マーロウの常時タバコを離せない悪癖と似て、クレイジーな探偵戯画だ。

■ショート・ゴロをトンネルしたあと、レフトもお手玉のツーベース。 ★★★☆*
●20世紀フォックス・エンターテイメントDVD