細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『コールドマウンテン』の山中で、下山道に迷った3人の恋人たち。

2021年09月29日 | Weblog
●9月28日(火)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
M-148ー56『コールド・マウンテン』"Cold Mountain" (2003) Miramax Entertainment,BuenaVista Picture GAGA Presents
監督・アンソニー・ミンゲラ 主演・ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガー <ビスタサイズ・155分>ブエナビスタ・ホームエンターテイメント
オスカー受賞作「イングリッシュ・ペイシェント』(96)で、一躍、ハリウッドのトップ監督に伸し上がったミンゲラ監督の新作で、期待された大作だが・・。
南北戦争の末期で、敗色濃厚になってきた南軍は、ワイオミングを追われてコロラド州の山中を敗走していたが、周辺の民家から食材を強奪して移動していた。
ゲイリー・クーパー主演で、ウィリアム・ワイラー監督の名作「友情ある説得」なども、その南軍撤退の時代を描いたヒューマン・ドラマの名作だったが・・。
その同じ時代の南軍の描いたジュード・ロウと、ニコール・キッドマン共演の期待された大作で、アカデミー賞でも7賞のノミネートになった、当時は評判の大作。
結局は、多くのノミニーの中で、ひとり受賞したのは、田舎の鉄火娘を演じたレニー・ゼルウィガーだけで、ジュード・ロウも他の7賞の候補作は全滅に終わった失敗作。
ま、あの「風と共に去りぬ」と同じようなシチュエーションを再現しても、ハリウッドの視線は冷たくて、たしかにスケールのデカい超大作なのだが、ネタには新鮮味が薄い。
にわか無宿者のジュードは、折から混戦中の南軍に入るが、敗色濃厚の南軍は敗走を続けて、連隊とはハグレてしまい、農家の納屋を寝床にして食料はつまみ食いの日々。
その経過で、あのカラミテイ・ジェーンのような鉄火娘のレニーと知り合い、まさにあのレット・バトラーのような恋の三角関係に呑み込まれて、戦争どころじゃない。
おそらくミンゲラ監督は、またスカーレットの別伝を描こうとしたのだろうが、やたら会話の多いラブストーリーなのだが、ニコールの嫉妬で三角関係もバラバラ。
公開当時は「プライベート・ライアン」や「パール・ハーバー」と互角の話題を集めた大作なのだが、ミンゲラ監督の演出も、戦渦にまみれてフォーカスを見失ったようだ。

■高く上がったレフトフライだが、風に戻されたショートフライ。 ★★☆☆
●ブエナビスタVHSテープでの鑑賞
●9月28日(火)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
M-148ー56『コールド・マウンテン』"Cold Mountain" (2003) Miramax Entertainment,BuenaVista Picture GAGA Presents
監督・アンソニー・ミンゲラ 主演・ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガー <ビスタサイズ・155分>ブエナビスタ・ホームエンターテイメント
オスカー受賞作「イングリッシュ・ペイシェント』(96)で、一躍、ハリウッドのトップ監督に伸し上がったミンゲラ監督の新作で、期待された大作だが・・。
南北戦争の末期で、敗色濃厚になってきた南軍は、ワイオミングを追われてコロラド州の山中を敗走していたが、周辺の民家から食材を強奪して移動していた。
ゲイリー・クーパー主演で、ウィリアム・ワイラー監督の名作「友情ある説得」なども、その南軍撤退の時代を描いたヒューマン・ドラマの名作だったが・・。
その同じ時代の南軍の描いたジュード・ロウと、ニコール・キッドマン共演の期待された大作で、アカデミー賞でも7賞のノミネートになった、当時は評判の大作。
結局は、多くのノミニーの中で、ひとり受賞したのは、田舎の鉄火娘を演じたレニー・ゼルウィガーだけで、ジュード・ロウも他の7賞の候補作は全滅に終わった失敗作。
ま、あの「風と共に去りぬ」と同じようなシチュエーションを再現しても、ハリウッドの視線は冷たくて、たしかにスケールのデカい超大作なのだが、ネタには新鮮味が薄い。
にわか無宿者のジュードは、折から混戦中の南軍に入るが、敗色濃厚の南軍は敗走を続けて、連隊とはハグレてしまい、農家の納屋を寝床にして食料はつまみ食いの日々。
その経過で、あのカラミテイ・ジェーンのような鉄火娘のレニーと知り合い、まさにあのレット・バトラーのような恋の三角関係に呑み込まれて、戦争どころじゃない。
おそらくミンゲラ監督は、またスカーレットの別伝を描こうとしたのだろうが、やたら会話の多いラブストーリーなのだが、ニコールの嫉妬で三角関係もバラバラ。
公開当時は「プライベート・ライアン」や「パール・ハーバー」と互角の話題を集めた大作なのだが、ミンゲラ監督の演出も、戦渦にまみれてフォーカスを見失ったようだ。

■高く上がったレフトフライだが、風に戻されたショートフライ。 ★★☆☆
●ブエナビスタVHSテープでの鑑賞

●『アルバレス・ケリー』が、数百頭の牛の群れを大陸横断移動していたワケ。

2021年09月26日 | Weblog
●9月25日(土)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-147『アルバレス・ケリー』"Alvarez Kelly" (1966) Columbia Pictures. A.Sol.C.Siegel Productions.
監督・エドワード・ドミトリク 主演・ウィリアム・ホールデン、リチャード・ウィドマーク <110分・シネマスコープ>発売・ソニー・ピクチャーズ
このところ、DVDコレクションなどを処分しているが、この作品は公開時に見た筈なのに、あまり記憶がなく、おいおい、ウィドマークが出ていたじゃないか、と再見。
ホールデンが主演した末期ウェスターンとしては見たが、大ファンの彼が絡んでいた、という認識がなくて、あわや、中古ショップに処分する寸前だった。
たしかに、あの西部劇ブームのピークは、60年代にハリウッドでもスタジオは製作もやめて、ほとんどはテレビの現代劇の連続探偵ドラマなどに意向していた時代。
スティーブ・マックイーンの「拳銃無宿」や、「ガン・スモーク」のシリーズ連続テレビ・ウェスターンの放映などで、劇場用ウェスターン映画は自然消滅しつつあった。
この作品も当時、劇場で見た筈なのだが、あのジミー・スチュワートとリチャード・ウィドマーク共演した1961年作品の「馬上の二人」ほどの印象がなかった。
というのも、ストーリーも煩雑で、南北戦争の末期で、戦況の不利な南軍の大佐のウィドマークは、カウボーイのホールデンが数百頭の牛の群れを移動中に遭遇。
南軍が不利な戦況の下で、2,500頭ともいわれる牛を群れを、メキシコから大陸縦断移動中のカウボーイ、ホールデンと知り合い、北軍の食料としての牛を強奪。
その背景には、あのスカーレット家のような南部の旧家も絡んでいて、やっぱり、当時のアメリカ南北戦争の背景をよく知らないと、かなりややこしいのだ。
あのゲイリー・クーパーが主演した名作「友情ある説得」の南北戦争の背景も同時代の歴史的な内戦なのだが、英国監督のドミトリクは、どうも明解でない。
片目にアイパッチをしたウィドマークなのだが、どうもあの佳作「襲われた幌馬車」で主演のあとだったのか、ホールデンに遠慮してか、助演の存在となっている。

■ショート頭上を襲ったライナーだが、失速してシングル。 ★★★
●コロムビア・トライスター・クラシック・ウェスターンDVD・BOX

●『レミニセンス』は、殺人容疑者の頭脳に僣入して真相を探る、科学サスペンス?

2021年09月22日 | Weblog
●9月22日(水)二子玉川<109シネマズ>シアター7/IMAX(アイマックス)スクリーン
M-022『レミニセンス』"Reminiscence" (2021) Warner Brothers Studio, Film nations . Kilter Films Productions
監督・脚本・リサ・ジョイ 主演・ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガスン, タンディ・ニュートン <116分・アイマックス>
人間の、それも犯罪容疑者の頭脳に僣入して、事件の真相を探る・・・という、近未来のフロリダを舞台に、科学犯罪捜査官のヒューが、記憶に僣入するという。
一応は犯罪捜査官の、ミステリー・サスペンスのプロットで、ちゃんとアシスタント捜査官も同時に、その迷宮犯罪の捜査に協力していくという話し。
ま、とにかく、犯罪捜査を容疑者の頭脳に入って、その真相を探ろうという、とんでもない発想なのだが、古くはハンフリー・ボガートの犯罪推理の老舗ワーナーの新作。
水没の危機に侵されて行くマイアミは、1メートル位の海水が街を呑み込んでいて、それだけでも街中は膝まで水浸しの水害なのだが、これはSFという訳ではない。
あのクリント・イーストウッド監督の「ヒア・アフター」(2010)というオムニバス作品で、街中が津波の浸水の被害になるエピソードがあったが、その後みたいな街。
それだけでも<ヤバい>設定なのに、ワーナー・ブラザースは、その浸水都市を設定したような、異様な光景のなかで複雑な僣入サスペンスを展開しようという狙いだ。
捜査官のヒューは、頭脳僣入捜査官でもあって、殺人事件の容疑者の頭脳に隠されていた真相を探ろうという設定は、ひとつの近未来科学捜査の映像化なのだろうか。
あの「TENETテネット」や「インターステラー」などのクリストファー・ノーラン監督の映像感覚は、知的ながら明解だったが、その実の弟ジョナサンが製作。
たしかに水没しつつあるマイアミの映像はリアリティがあって、あのシナトラの「波も涙も暖かい」のような陽気で健康なマイアミの光景からは、地獄絵のような世界。
しかも容疑者の頭脳に僣入して捜査するので、異様な水槽に浸かっての科学捜査となるので、普通の犯罪サスペンスというよりは、複雑な近未来SFの様相で、どうも不可解だ。
演出のリサは、女性監督のようで、とくにレベッカやタンディの演出はいいが、主演のヒューが、どんな根拠で捜査していくのか、どうも????なのだった。

■高く上がったセカンドフライを、ファーストとショートも取ろうとして、ポトリ。 ★★★??
●全国で公開中 

●『MIKI IMAI * Peace Clips』 あの時代のピース・クリップの甘さ。

2021年09月16日 | Weblog
●9月15日(水)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
0V-146-55『MIKI=IMAI* Peace Clips* 今井美樹*ピース・クリップ』(1996・VHS)For Life Video (VHS)
ふと、あの90年時代に、お仕事で、歌手の<Miki Imai*今井美樹>とスタジオでご一緒したときに、頂いたサンプルVHSを、勝手に処分しようか、と思いつつ。
やはり久しぶりに見てみると、やはり<バブル後期>のいい時代に、彼女の唄を聞けて、どれだけ元気を頂戴したことか・・・という一種の追想のアルバムだ。
いまのコロナ混乱時代には、とても信じられないほどに<ハッピーすぎる>時代だったことか・・、を、まるで嘘だったみたいな、時代感覚に困惑してしまう。
<ユーミン時代>の、あのとてつもなくハッピーだった時に、そのサイドウォークを、勝手に、陽気に、元気に唄いまくっていたのが、<今井美樹>だった。
お仕事の関係といっても、わたしはミュージシャンでも、音楽関係の仕事をしていたわけではないのだが、ただのファンとして、ご一緒した時代があったことは奇跡。
サンプルCDを、発売するたびに頂戴していたのも10枚を越えて、最近、いろいろとCDやDVDを処分していたなかに、彼女のCD発売プロモ・ビデオが残っていたのだ。
<アムール・ウ・チョコラ><Bluebird >、<Blue Moon Blue>・・・などのサンプルVHSは、実は彼女から、お仕事の際に頂いたものだったが、埋もれていたもの。
捨てるのも失礼だと思って、久しぶりに見てみて、ああああーーー、これは、あの90年代の、一番ゆるやかな幸福の最中にあった至福の産物だったのが・・これ。
貿易センター・ビルにジャンボが突っ込むなんて、悲惨なことの起こる前の、実にのびやかで、透明な幸福感の時代にドップリの、あの香りが、ここには残っていた。
だから、どうした・・と言われても反論の気力もないが、彼女と数回スタジオでお会いして、コンサートにも忍び込んで、ただのファンとしての記憶が、ふと甘く甦った。

■ライト・フェンス際のツーベース。 ★★★★
●フォーライフ・レコード・VHSサンプルビデオ 

●かなりスリップしたホプキンスの、自作倒錯パラレル・ミステリー。

2021年09月12日 | Weblog
●9月11日(土)21-30 <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-145『スリップ・ストリーム』"Slip Stream" (2007) Samson Films LLC.
監督・脚本・+主演アンソニー・ホプキンス 共演・クリスチャン・スレイター、ジョン・タトゥーロ、<シネマスコープ・96分>ポニー・キャニオン提供
 これまた不思議な作品で、あの「羊たちの沈黙」のアカデミー賞名優の、アンソニー・ホプキンスが脚本を書いて、演出と出演までした異色作品だ。
多くの映画監督たちは、カメラの前で一生懸命に演技している役者に、あーだ、こーだ、と文句をつけている間、おそらく俳優たちは、不満も持っている筈。
ウディ・アレン、オーソン・ウェルズ、ケヴィン・コスナーなどは、俳優である以前にも、監督として数多くの作品を残していたが、このホプキンスも同様だったようだ。
ジョン・カサヴェティスや、デニス・ホッパーなども、その夢と野望を作品に叩きつけたが、あのヒッチコック監督は、自作に必ずワンカット出演したのは有名。
この作品も、多くの作品に出演していたイギリスの名優アンソニーが、その自己満足の夢のために、自国のイギリスではなく、アメリカの荒野で夢をドラマ化した。
しかも、まさに彼自身の<個人的な映画夢>シネマティック・ドリームを、一本の作品に仕上げたのは、やはり、ひとりの映画俳優としては、自身の責務だったのだろう。
普通なら、本来のルーツである、イギリスを舞台にして重厚なミステリーでも撮ると思うのだが、これは乾ききったアメリカ西部の荒野を舞台にしたミステリアス・ウェスターン。
たしかに、あのデヴィッド・リンチを思わせる心理的な倒錯世界は、役の上で作家として書いている殺人ミステリーと、現実の背景がパラレルに交錯していく。
だから、ちょっとウトウトして見ていると、どちらが現実で、あれれ・・・いまは創作の世界だったのかが、ちょっと1回見ただけでは理解しきれなかった。
ただ、彼の地元のイギリスの陰湿な背景でなく、あくまでカラリとした乾いたアメリカ西部が舞台なので、アントニオーニの「砂丘」も思い出してしまったが・・。

■左中間に抜けたと判断してセカンドを狙ったが、惜しくもタッチアウト。 ★★★☆
●ポニー・キャニオンDVDでの鑑賞

●『モンタナの目撃者』の山火事は、ノンCGの迫力だ。

2021年09月07日 | Weblog
●9月6日(月)9-10am。二子玉川・<109シネマ・シアター6>
M-020 『モンタナの目撃者』"Those Who Wish Me Dead" (2021) Warner Brothers<ワーナー・ブラザース・シネマスコープ・100分> 
監督・脚本・テイラー・シェリダン 主演・アンジェリーナ・ジョリー、ニコラス・ホルト  
趣味の問題だが、わたしはハリウッド映画を見てから、<映画好き>な人間になってしまったので、一昨年あたりから、メジャー作品がなくて寂しかった。
これは、コロナ時世のせいか、久しぶりに見た純正ハリウッド映画で、昨年3月に見たハリソン・フォード主演の「野性の叫び」以来の記憶の気がする。
ウディ・アレンの「レイニー・デイ・イン・ニューヨーク」は、ハリウッド製ではないのだから、「ワンダーウーマン」や「ワイルド・スピード」だけとなるが。
つまり、<ハリウッド・ブランド>というのも変だが、やはり昔から見慣れた<ワーナー・ブラザース>のマーク入りというのはフォックスやパラマウントのような親しみだ。
いまや独立プロによる<一発映画>が多いのは、時代だからしょうがないが、わたしのようなオールドファンには、このような老舗スタジオのマークは嬉しいのだ。
たしかカナダの国境に近い印象のある<モンタナ州>は、北の国境に近いアメリカ・インディアンの居住地区で、ゲイリー・クーパーの「北西騎馬警官隊」があった。
しかも、あのエロール・フリン主演のB級ウェスターンで、ずばり『モンタナ』という、森林地帯開拓をベースにした開拓時代の活劇もあって、地名は知っていた。
ついでに思い出したが、スペンサー・トレイシー主演の「北西への道」というのも、たしかモンタナ州の辺りの話しだったと思うが、要するにあの辺の話し。
アンジェリーナは家族のトラブルなどがあって、そのモンタナ州の森林地帯の大規模な山火事などの監視官で、四方を身渡す高い塔のような監視所に終日勤務している。
ところが、都会で犯罪を犯した悪人たちが、カナダへの逃亡の道を探して森林を抜けて来たり、その事件に巻き込まれた少年もアンジーの監視の目に止まってしまう。
いまや、<ハリウッド女優>という名声は、フランシス・マクドーマンドがオスカーを受賞した記憶くらいしかないが、アンジェリーナも貴重な<大女優>の残党。
原題の<わたしの死を願う者たち>というのは、アンジェリーナの過去をめぐるトラブルの意味だろうが、作品は少年と彼女の再起への奮闘ドラマ、だろうか。

■ダブル・スチールを狙ったが、たろうじて判定セーフ。 ★★★☆
●全国で公開中・・・・追悼、ああ、ジャン=ポール・ベルモンド、どうもありがとう。
●9月6日(月)9-10am。二子玉川・<109シネマ・シアター6>
M-020 『モンタナの目撃者』"Those Who Wish Me Dead" (2021) Warner Brothers<ワーナー・ブラザース・シネマスコープ・100分> 
監督・脚本・テイラー・シェリダン 主演・アンジェリーナ・ジョリー、ニコラス・ホルト  
趣味の問題だが、わたしはハリウッド映画を見てから、<映画好き>な人間になってしまったので、一昨年あたりから、メジャー作品がなくて寂しかった。
これは、コロナ時世のせいか、久しぶりに見た純正ハリウッド映画で、昨年3月に見たハリソン・フォード主演の「野性の叫び」以来の記憶の気がする。
ウディ・アレンの「レイニー・デイ・イン・ニューヨーク」は、ハリウッド製ではないのだから、「ワンダーウーマン」や「ワイルド・スピード」だけとなるが。
つまり、<ハリウッド・ブランド>というのも変だが、やはり昔から見慣れた<ワーナー・ブラザース>のマーク入りというのはフォックスやパラマウントのような親しみだ。
いまや独立プロによる<一発映画>が多いのは、時代だからしょうがないが、わたしのようなオールドファンには、このような老舗スタジオのマークは嬉しいのだ。
たしかカナダの国境に近い印象のある<モンタナ州>は、北の国境に近いアメリカ・インディアンの居住地区で、ゲイリー・クーパーの「北西騎馬警官隊」があった。
しかも、あのエロール・フリン主演のB級ウェスターンで、ずばり『モンタナ』という、森林地帯開拓をベースにした開拓時代の活劇もあって、地名は知っていた。
ついでに思い出したが、スペンサー・トレイシー主演の「北西への道」というのも、たしかモンタナ州の辺りの話しだったと思うが、要するにあの辺の話し。
アンジェリーナは家族のトラブルなどがあって、そのモンタナ州の森林地帯の大規模な山火事などの監視官で、四方を身渡す高い塔のような監視所に終日勤務している。
ところが、都会で犯罪を犯した悪人たちが、カナダへの逃亡の道を探して森林を抜けて来たり、その事件に巻き込まれた少年もアンジーの監視の目に止まってしまう。
いまや、<ハリウッド女優>という名声は、フランシス・マクドーマンドがオスカーを受賞した記憶くらいしかないが、アンジェリーナも貴重な<大女優>の残党。
原題の<わたしの死を願う者たち>というのは、アンジェリーナの過去をめぐるトラブルの意味だろうが、作品は少年と彼女の再起への奮闘ドラマ、だろうか。

■ダブル・スチールを狙ったが、たろうじて判定セーフ。 ★★★☆
●全国で公開中・・・・追悼、ああ、ジャン=ポール・ベルモンド、どうもありがとう。

●『マグノリア』の大きな白い花びらは朽ちている。

2021年09月05日 | Weblog
●9月4日(土)21-00 <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-144 『マグノリア』"Magnolia" (1999) MGM XCIX/NewLine Productions.
監督・脚本・ポール・トーマス・アンダーソン 主演・トム・クルーズ、フィリップ・ベイカー・ホール<ヴィスタサイズ・189分>DVD
ビバリーヒルズの北に広がるサン・フェルナンド・ヴァレーは、ロサンゼルスとは対照的な新興住宅地は、マッチ箱のような新築住宅の広がる地域だ。
あの「E.T.」の舞台にもなったエリアだが、恐らくはクルマ社会で生まれた木造平屋住宅街で、ご主人は毎朝、マイカーでフリーウェイ通勤なのだろう。
東京のように、郊外住宅地からも、スピーディな電車通勤の出来る東京とは違って、電車のない大都会は、すべてが<クルマ社会>なのだ。
わたしも一度、サンフェルナンド・ヴァレーに行ったことがあるが、広いロサンゼルスの街は、南に広がった宅地はメキシカンや黒人が多いフラットな宅地。
ビバリーヒルズには住めない中流サラリーマン達は、中古車で移動する生活圏の、このエリアに多く住み,トラブルも多くて、当然、犯罪も多いという。
従ってそこのエリアに住んでいる住人たちも、大きな夢は諦めたアメリカンや移住者が多く、不思議な新興宗教によるモラル差での犯罪も多発している。
この作品は、そこに住む人々の多発するトラブルを描いていて、とくに主役のヒーローもいなくて、トム・クルーズも怪しげな住民のひとりとして描かれていて奇妙。
あの「トップガン」のヒーローではなくて、ここではそのフラットな住宅地に住み、一体何をして生活しているのかも不明な、<ハンサムなET>のようなのだ。
昔は、あの「人生模様」のような、小市民のオムニバス映画の傑作があって、大いに感動したものだが、どうもストーリーも理解しきれない3時間。
マグノリアという花は見た事はないが、ジャケットによると、白い大輪の花びらのようだが、恐らくこの作品はその美醜を、人々の暮らしぶりとを凝視したのだろう。
いかさま師のようなトム・クルーズは、あのバート・ランカスターの異色作『雨を降らす男』の雄弁な口調で、ストーリーを拡散する。

■ショートゴロをファンブルする間に、セカンド狙いタッチアウト。 ★★☆☆
●角川ヘラルド映画、ポニーキャニオンDVD

●8月のサンセット傑作座は、真夏の夜のクラシックばかり。

2021年09月01日 | Weblog
●8月に見た<ニコタマ・サンセット傑作座ベスト・7>

*1・『BARに灯がともる頃』(1989・VHS)監督・エットーレ・スコラ 主演・マルチェロ・マストロヤンニ ★★★★
    イタリア東海岸の漁港で暮らす一人息子に、ローマの老父が遺産のことなど相談に来るが、会話は交わらぬままに最終列車で帰る父。

*2・『逃走特急』(1996・DVD)監督・ピーター・リヒテフェルト 主演・ヨアヒム・クロール ★★★☆☆☆
    ミラノに住む若いサラリーマンのヨアヒムは、北欧最北端への列車旅の最短ルート・コンクールに参加して、賞金と恋人をゲットしてしまう。

*3・『パンドラ』(1951・DVD) 監督・アルバート・リューイン 主演・エヴァ・ガードナー ★★★☆☆
    スペインの神話に描かれたという、恋人たちを狂わせてしまう美女と、<さまよえるオランダ人>の神秘的なラブストーリー。

*その他に見た印象的な作品は
●『暴力行為』48・ロバート・ライアン
●『生まれながらの悪女』50・ジョーン・フォンティーン
●『スイミング・プール』03・シャーロット・ランプリング
●『ラヴレター』45・ジョセフ・コットン
●『二重結婚者』51・エドマンド・オブライエン
●『ピットフォール・落とし穴』48・ディック・パウエル・・・・などのクラシックばかりでした。