最新の映画情報や批評を掲載します。
細越麟太郎 MOVIE DIARY



●4月9日(金)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座<試写用サンプルDVD>
M-010『やすらぎの森』"Il Pleuvait de Oiseaux " <and the Birds Rained Down> (2019) Les Film Insiders Inc. 
監督・ルイーズ・アルシャンボー 主演・アンドレ・ラシャベル、ジルベール・スィコット<126分・シネマスコープ・サイズ>
老齢な人々の、最期の日々を描いた作品は、じつは多く、わたしなどはジェーン・フォンダが名優の父ヘンリー・フォンダに捧げた1981年の「黄昏」を思い出した。
たしか<黄金の湖>という原作で、講演で来日した監督のマーク・ライデルが、青山学院の講堂で、その作品の製作の背景を語った時間を聞きにいったことがあった。
作品については多くを語らなかったが、映画にも出ていた娘のジェーン・フォンダは、父とは長年不仲だったが、父の死期が近いのを気遣って、映画を製作したそうだ。
まさにそれは、この作品と同様に、湖に面したコテージに住む老いた父親に、孫をつれて行き、<旅路の涯て>の数日の黄昏時間を、<お見送りの時間>として描いた。
しかしこの新作は、カナダの作品で、当然のようにフランス語がメインの土地柄もあって、会話は英語ではなくフランス語で、まさに人生の頑固な<たそがれ>の日々を描いて行く。
ケベック州の森林地帯には、小さな湖が箱庭のように多く、わたしも一度、モントリオールに行ったときに、どこにジェット機の滑走路があるのか、不安になるほどの湖面地帯。
家族を離れて、死期の近い老人たちは、ひとつのコミューンのように、その老人部落で静かな余生を過ごしているが、その人生のラストシーンを描いた作品は意外に多い。
フィリップ・ガレル監督の「愛の残像」(08)や、ステファンヌ・プリゼ監督の「母の身終い」(12)、ウンベルト・パゾリーニの『おみおくりの作法』(13)・・。
昨年公開されたハリソン・フォード主演の「野性の叫び」も、愛犬と共に、自分の死に場を探してカナディアン・ロッキーの山中を歩く、老人の最期を描いていた。
それだけ、やはり健康ではあるが高齢な死期の近い老人も多いわけで、あの「黄昏」を公開時に見たときの現役の自分と、いまのリタイアーした感性では、大きく違って見える。
ラストで、ついに自分の死期を覚ったレミ・ジラールは湖の近くに自分の墓穴を掘って、友人たちに別れの挨拶をして死の床に入る、という自決シーンには感動した。
ひとそれぞれに、こうした時間は、いずれは訪れるわけで、その瞬間を見つめた、この作品には<死>も、自己終焉の幕引きだという大きな責任感に、敬服するのだ。

■平凡なセンター前のゴロを野手が後逸のツーベース。 ★★★☆☆+
●5月21日より、シネスイッチ銀座ほかでロードショー
●4月9日(金)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座<試写用サンプルDVD>
M-010『やすらぎの森』"Il Pleuvait de Oiseaux " <and the Birds Rained Down> (2019) Les Film Insiders Inc. 
監督・ルイーズ・アルシャンボー 主演・アンドレ・ラシャベル、ジルベール・スィコット<126分・シネマスコープ・サイズ>
老齢な人々の、最期の日々を描いた作品は、じつは多く、わたしなどはジェーン・フォンダが名優の父ヘンリー・フォンダに捧げた1981年の「黄昏」を思い出した。
たしか<黄金の湖>という原作で、講演で来日した監督のマーク・ライデルが、青山学院の講堂で、その作品の製作の背景を語った時間を聞きにいったことがあった。
作品については多くを語らなかったが、映画にも出ていた娘のジェーン・フォンダは、父とは長年不仲だったが、父の死期が近いのを気遣って、映画を製作したそうだ。
まさにそれは、この作品と同様に、湖に面したコテージに住む老いた父親に、孫をつれて行き、<旅路の涯て>の数日の黄昏時間を、<お見送りの時間>として描いた。
しかしこの新作は、カナダの作品で、当然のようにフランス語がメインの土地柄もあって、会話は英語ではなくフランス語で、まさに人生の頑固な<たそがれ>の日々を描いて行く。
ケベック州の森林地帯には、小さな湖が箱庭のように多く、わたしも一度、モントリオールに行ったときに、どこにジェット機の滑走路があるのか、不安になるほどの湖面地帯。
家族を離れて、死期の近い老人たちは、ひとつのコミューンのように、その老人部落で静かな余生を過ごしているが、その人生のラストシーンを描いた作品は意外に多い。
フィリップ・ガレル監督の「愛の残像」(08)や、ステファンヌ・プリゼ監督の「母の身終い」(12)、ウンベルト・パゾリーニの『おみおくりの作法』(13)・・。
昨年公開されたハリソン・フォード主演の「野性の叫び」も、愛犬と共に、自分の死に場を探してカナディアン・ロッキーの山中を歩く、老人の最期を描いていた。
それだけ、やはり健康ではあるが高齢な死期の近い老人も多いわけで、あの「黄昏」を公開時に見たときの現役の自分と、いまのリタイアーした感性では、大きく違って見える。
ラストで、ついに自分の死期を覚ったレミ・ジラールは湖の近くに自分の墓穴を掘って、友人たちに別れの挨拶をして死の床に入る、という自決シーンには感動した。
ひとそれぞれに、こうした時間は、いずれは訪れるわけで、その瞬間を見つめた、この作品には<死>も、自己終焉の幕引きだという大きな責任感に、敬服するのだ。

■平凡なセンター前のゴロを野手が後逸のツーベース。 ★★★☆☆+
●5月21日より、シネスイッチ銀座ほかでロードショー


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●4月6日(火)二子玉川<109シネマズ・①スクリーン・10;50a、m、>
M-009『ノマドランド』"NOMADLAND" (2020) 20th Century Studio, Searchlight Pictures. Walt Disney Japan Presents.
製作・監督・脚色・編集・クロエ・ジャオ 主演・フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン<108分・ワイドスクリーン>
ジェシカ・ブルーダー原作「ノマド;漂流する高齢労働者たち」の映画化で、ある意味では、現代の自立した激辛女性西部劇のように見えた。
というのも、1951年に『女群西部へ!』というウィリアム・ウェルマン監督で、ロバート・テイラー主演の西部劇があって、それを思い出したのだ。
50年代には、MGMのミュージカルと同時に、多くのウェスターン映画が公開されて、多くは無法者や、男達の決闘とか友情でのアメリカ開拓史がベースだった。
しかし、その男達の多くの作品にも、もちろん、女性たちのヒロインものもあり、「アニーよ銃をとれ」とか「カラミティ・ジェーン」というミュージカルもあった。
失業や離婚などで、ひとりで生きる中年女性は多いだろうが、それは西部開拓者時代のヒロイズムとは別に、とくにいまの時代でも、大都会を離れる女性は多いだろう。
先日見たばかりの「ミナリ」も、韓国人一家が、西部で移民生活をしていく労苦をテーマにしていたが、この作品も北京生まれの女性の脚本・監督による現代ウェスターン。
ご主人が病死したあとに自活をするフランシスは、<アマゾン>の発送業をしながらも、あのラスベガスのあるネバダ州の荒野で、キャンピングカー生活をしている。
親戚の知人や友人たちはそれぞれの自宅に招いて、食事をしたり宿泊もすすめるのだが、フランシスは夫との生活臭の残る、オンボロなスペースが<息ができる>のだ。
たしかにあの名作「アバウト・シュミット」でも、ジャック・ニコルソンが、奥さんの突然死のあとは、自宅を捨ててキャンピング・カーで西部に向かった。
土台や地下室のある、ごく普通の木造二階建ての家には住まないで、こうしてキャンピング・カーで暮らす人種も、アメリカでは多いのは、日本人感覚ではないが・・。
一応の定職収入もあり、食材はスーパーマーケットで調達する、というライフスタイルは、やはり異邦人の移民の多い<ヴァガヴォンド精神>なのだろうか。
つい2年前に「スリー・ビルボード」でアカデミー賞を受賞したフランシスは、またしてもこうした現代のアメリカで生きる女性の苦汁を吐き捨てている。

■左中間へのライナーの長打でフェンスの上部にあたるスリーベース。 ★★★★☆☆
●全国で公開中


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●4月3日(土)10-20a.m. <二子玉川・109シネマズ・シアター9スクリーン>
★M-009『劇場版・シグナル(長期未解決事件捜査班)』(2021)関西テレビ放送、フジテレビ、トライストーン・ピクチャーズ
監督・橋本一 主演・坂口健太郎、北村一輝、吉瀬美智子 <122分・ワイドスクリーン>
自分のパトカーの中にあった通信用トランシーバーが点滅し、若手捜査官の坂口が応答すると、それは2009年に事件を追っていた北村一輝捜査官の声だった。
それは過去に起こった政府高官の、未解決交通事故死の捜査をしている北村捜査官の担当事件で、高官の運転操作による事故死ではなくて、計画された暗殺計画だったという。
当然、過去の事件は事故死として報道されて、そこには<事件性>はなかったのだが、トランシーバーからの通信は、同様の事件がまだ画策されている、という注意報。
現在の2021年に起こったばかりの、この同様の政府高官の高速道路からの転落による、深夜の交通事故死は、ただの運転ミスの事故死として解決されていたが、
過去からの電話の声は、これも<暗殺>だというのだ。
その旧式のトランシーバーは電池切れか、旧式の器機のせいか、よく聞き取れないのだが、坂口捜査官だけには、いま起こっている類似事故も、暗殺計画らしいのだ。
もともとは韓国で製作された犯罪サスペンスの連続ドラマだったテーマを、現在の東京湾岸警察の新進捜査官の坂口を中心にして展開する、<事件捜査官>もの。
テレビではシンプルな構成で製作放映された<事件捜査官>もののようだが、こうしてワイドスクリーンで目まぐるしく展開していくテンポは、さすがにフォローに疲れる。
という具合で、このテのサスペンスものが好きな当方としては、大きなスクリーンでの事件解明サスペンスは退屈しないで見たが、ま、テレビドラマの拡大上映の印象。
それならば、うちにも捜査官が来た事のある、あの<世田谷一家殺人事件>なども、この旧式トランシーバーを捜査して、解決してほしいものだが・・・。
一応、美人捜査官として吉瀬美智子が帆走してはいるものの、どうもテレビのサスペンス番組を、ビッグスクリーンにブロウアップしている、という印象に留まるかな。
ラストの夜道で、坂口捜査官の反対側を、過去の北村捜査官がすれ違うが、せめて、チラリとでも、視線を交差させて欲しかったな・・映画なんだから。

■高く上がったショートフライを、野手がポロリ。 ★★★
●109シネマなど、全国で公開中


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●4月1日(木)20-30 <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-79『エイプリルフールズ・幸せはパリで』"The April Fools"(1970) Paramount Pictures, A Cinema Center Films, a Jalem Productions 
監督・スチュワート・ローゼンバーグ 主演・ジャック・レモン、カトリーヌ・ドヌーブ、ピーター・ローフォード<95分・シネマスコープ>DVD
そのむかし、<パラマウント・タッチ>という業界称号があって、ハリウッドの古参スタジオの<パラマウント映画>は、おしゃれなコメディを量産していた。
これは戦前の<ルビッチ・コメディ>を主軸にした、ドタバタではなくて、おしゃれなジョークを効かせた、ニューヨークなどの都会を舞台にしたコメディ。
60年代の頃には、ケラーク・ゲイブルの「先生のお気に入り」や、ケイリー・グラントの「月夜の出来事」、ダニー・ケイの「5つの銅貨」などなど。
あのドタバタ・コンビによる、アクション・コメディではなくて、若いカップルの軽妙な会話を軸にしたモダーンな大都会ラブ・ストーリーが多かった。
もともとはウィリアム・パウエルとマーナ・ロイの、ニューヨークの恋愛喧嘩での、壮絶な会話の面白さを軸にした恋愛を軸にした<漫才コメディ>だったのだが・・。
この作品も、あのパラマウント名産のソフィスティケイテッド・コメディを狙ったもので、フランスで人気急上昇だったカトリーヌ・ドヌーブをハリウッドに輸入。
「ミスター・ロバーツ」や「おかしな二人」のヒットで人気の出た、オスカー受賞のジャック・レモンを、フレンチ美女と組ませた、ニューヨーク・コメディ。
狙いはいいのだが、シナリオが常套なうえに、演出も冴えなくて、・・・あのパラマウント・コメディの先輩<ビリー・ワイルダー>のようにはいかなかった。
ま、タイトルが<エイプリル・フールズ>なので、軽いジョークのホラ話し、かと思えば憎めないが、あの「アパートの鍵貸します」のような洗練さは不発だった。
これは、いかにジャック・レモンが味を出しても、言葉の違うフレンチ美女のカトリーヌには、ストレートには通じない<バッド・ジョーク>で、惜しまれた。

■センター横に抜けたヒットも、セカンドでアウト。 ★★★
●NBCユニヴァーサル・エンターテイメント・DVD


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●3月に見た、新作試写と、ニコタマ・サンセット傑作座DVD、VHS回顧ベスト

★試写用サンプルDVDで見た新作
*『ドリームランド』監督・マイルズ・ジョリス=ベイラフィット 主演・マーゴット・ロビー
*『海辺の家族たち』監督・ロベール・ゲディギャン 主演・アリアンヌ・アスカリッド

★劇場ロードショウで見た新作
*『ミナリ』製作・ブラッド・ピット 監督・リー・アイザック・チョン 主演・スティーブン・ユアン

★自宅・ニコタマ・サンセット傑作座
1・『追憶」73・監督シドニー・ポラック 主演・バーブラ・ストライサンド、ロバート・レッドフォード<DVD>
2・『ガルボ・トークス』84・監督・シドニー・ルメット 主演・アン・バンクロフト<VHS>
3・『ロスト・ハイウェイ』00・監督・デヴィッド・リンチ 主演・ビル・プルマン <DVD>
4・『冬の華』02・監督・降旗康男 主演・高倉 健 <DVD>
5・『ラスト・シューティスト』76・監督・ドン・シーゲル 主演・ジョン・ウェイン <VHS>
6・『ヒア・アフター』10・監督・クリント・イーストウッド <DVD>
7・『ロング・グッドバイ』73・監督・ロバート・アルトマン <DVD>
8・『転落した女』89・監督・ウィリアム・へイル 主演・ロバート・ミッチャム <VHS>
9・『ボガートの顔を持った男』80・監督・ロバート・デイ 主演・ロバート・サッチ <VHS>
10『復讐の涯に』56・監督・主演・マーク・スティーブンス 共演・マーサ・ハイヤー <VHS>


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●3月28日(日)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-77-39『山』"The Mountain" (1956) Paramount Pictures Corporations. All Rights Reserved.
製作・監督・エドワード・ドミドリク 主演・スペンサー・トレイシー、ロバート・ワグナー <ビスタビジョン・105分> CIC/ビクター・VHSテープ
たしか、1957年か、今も築地にある松竹映画の本社ビルの1階に出来た、<松竹セントラル劇場>のオープン記念に上映された、おめでたい作品だ。
名優スペンサー・トレイシーは、「招かれざる客」や「花嫁の父」などの、老父役でもまだまだ活躍していた時代で、この作品でもマッターホルン登りに挑戦している。
老齢のスペンサーは、すでに引退していたスイスの登山ガイドで、山麓のロッジに住み、弟のワグナーは遊び盛りの不良青年で、ふたりは父と息子のような年齢差の関係。
ところがインド航空のジェット旅客機が、悪天候でスイス・アルプスの山頂付近に墜落して、気温の低さと急勾配の岩山には、救助隊のスタッフも登れない惨状。
救助要請の緊急入電もなく、墜落した旅客機のパイロットなど登乗者や、多くの乗客全員が零下の悪天候で死亡だろうと報道されて、関係者も尻込みしていたが・・。
それで捜査隊も好天の時期を待とうというニュースが報じられたが、どん欲なワグナーは遭難者の貴金属などを収得しようと、山頂への登山を企てて勝手に出発。
兄のスペンサーは、そのムチャな登山には反対だったが、たったひとりの弟が登り出したので、放ってはおけないので、ヤムヤムその登山に同行することにしたのだ。
スイス側の岸壁は、ほぼ直角な岩肌で、あの西部劇でよく見たグランドキャニオンの岸壁の、その巨大な高山であり、そのシーズンは雪もあって誰も登らない。
ロック・クライミングには、優秀な登山家にしか出来ないテクニックと体力があるが、プレイボーイのワグナーには、その技術もなく、兄スペンサーが先導するしかない。
当時は、ハリウッドは<ワイドスクリーン戦争>が激化していて、フォックス、ワーナー、MGMなどはシネマスコープ起用だったが、パラマウント社は画質の鮮明度を追求。
そこでフィルムを2コマ分、水兵に回転させる<ビスタビジョン>を開発したメンツもあり、重いカメラをアルプスの岸壁に運び込み、決死の撮影をしたのだ。
というワケで、スタジオではない、実際のスイス・アルプスの岸壁の鋭い美しさは撮影できたが、兄弟ドラマは「エデンの東」には及ばない出来だったが・・・。

■左中間への大飛球でフェンス直撃だが、鈍足ランナーで、ツーベース。 ★★★☆+
●CICビクタービデオ・VHS
●3月28日(日)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-77-39『山』"The Mountain" (1956) Paramount Pictures Corporations. All Rights Reserved.
製作・監督・エドワード・ドミドリク 主演・スペンサー・トレイシー、ロバート・ワグナー <ビスタビジョン・105分> CIC/ビクター・VHSテープ
たしか、1957年か、今も築地にある松竹映画の本社ビルの1階に出来た、<松竹セントラル劇場>のオープン記念に上映された、おめでたい作品だ。
名優スペンサー・トレイシーは、「招かれざる客」や「花嫁の父」などの、老父役でもまだまだ活躍していた時代で、この作品でもマッターホルン登りに挑戦している。
老齢のスペンサーは、すでに引退していたスイスの登山ガイドで、山麓のロッジに住み、弟のワグナーは遊び盛りの不良青年で、ふたりは父と息子のような年齢差の関係。
ところがインド航空のジェット旅客機が、悪天候でスイス・アルプスの山頂付近に墜落して、気温の低さと急勾配の岩山には、救助隊のスタッフも登れない惨状。
救助要請の緊急入電もなく、墜落した旅客機のパイロットなど登乗者や、多くの乗客全員が零下の悪天候で死亡だろうと報道されて、関係者も尻込みしていたが・・。
それで捜査隊も好天の時期を待とうというニュースが報じられたが、どん欲なワグナーは遭難者の貴金属などを収得しようと、山頂への登山を企てて勝手に出発。
兄のスペンサーは、そのムチャな登山には反対だったが、たったひとりの弟が登り出したので、放ってはおけないので、ヤムヤムその登山に同行することにしたのだ。
スイス側の岸壁は、ほぼ直角な岩肌で、あの西部劇でよく見たグランドキャニオンの岸壁の、その巨大な高山であり、そのシーズンは雪もあって誰も登らない。
ロック・クライミングには、優秀な登山家にしか出来ないテクニックと体力があるが、プレイボーイのワグナーには、その技術もなく、兄スペンサーが先導するしかない。
当時は、ハリウッドは<ワイドスクリーン戦争>が激化していて、フォックス、ワーナー、MGMなどはシネマスコープ起用だったが、パラマウント社は画質の鮮明度を追求。
そこでフィルムを2コマ分、水兵に回転させる<ビスタビジョン>を開発したメンツもあり、重いカメラをアルプスの岸壁に運び込み、決死の撮影をしたのだ。
というワケで、スタジオではない、実際のスイス・アルプスの岸壁の鋭い美しさは撮影できたが、兄弟ドラマは「エデンの東」には及ばない出来だったが・・・。

■左中間への大飛球でフェンス直撃だが、鈍足ランナーで、ツーベース。 ★★★☆+
●CICビクタービデオ・VHS


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●3月26日(金)21-30 <ニコタマ・サンセット傑作座>
0V-71-37『ボギーの顔を持った男』"The Man with Bogart's Face" (1980) Simon Film Production, CBS FOX Productions, Key Video
監督・ロバート・デイ 主演・ロバート・サッチ、フランコ・ネロ、ミッシェル・フィリップス <カラー・VHS・111分>
ハリウッド、ハイランドのビデオ店で買って来たVHSビデオテープで、最近、VHSのハードを新調したので見てみたが、これがなかなか面白い。
冒頭に、男が手術台で顔中に白い包帯を、まるで死人のように撒いていたが、ドクターが入念に巻き取り、手鏡でチェックして、患者も覗き込む。
それが、あのハンフリー・ボガートのそっくりさんで、これだけ似ているのなら、もっと「カサブランカ」や「裸足の伯爵夫人」もリメイクしてほしい。
あのトレンチ・コートを羽織り、ソフト帽を被ると、まったくボガートで、自分の探偵事務所に帰る階段をすれ違った人は、みんな立ち止まって硬直してしまう。
ハリウッド大通りのワックス・ミュージアムには、いまでも、このボギーのそっくりな像が展示されているが、それが探偵映画に出演しているから面白い。
自分の「サム・マーロウ探偵事務所」に入り、薄暗いヴェネシアン・ブラインドを上げると、そこは「マルタの鷹」のセットと同じインテリアだが、これはカラー作品。
壁には「ローラ殺人事件」のローラだった、あのジーン・ティアニーの肖像画が飾ってあり、秘書の女性は「ノックは無用」のマリリン・モンローそっくりさん。
という、まさにハリウッド50年代の、人気スターのオンパレードで、当時の彼らを知らないひとには無関係な、いかにもハリウッド全盛時代の再現映画なのだ。
さすがに、これだけボギーに似ている人は世界にもいないだろうが、声も仕草も似せていて、しかも失踪人探しで夜の街で悪党を相手に銃撃戦まで展開する。
一種のお遊び映画なのだが、コメディではなくて、ちゃんとしたレイモンド・チャンドラー風のディテクティブ・アクションに仕上がっているから立派なものだ。
こうゆうお遊びが、マジに作れるのが、さすがはハリウッドであって、わが東映映画がもし高倉健さんのそっくりさんで任侠映画を作れないのは、国民感情の差なのか。

■セカンド・オーバーのヒットを、ライトがトンネルのツーベース。 ★★★☆☆☆
●フォックス映画、キービデオの輸入版VHSテープ


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●3月23日(火)11-00a.m.  109シネマ二子玉川・4スクリーン
M-007『ミナリ』"MINARI" (2020) A24 Distribution LLC. presents a BLAN B , GAGA <シネマスコープ・116分>
監督・脚本・リー・アイザック・チョン 主演・スチィーヴン・ユアン、ハン・イエリ、ユン・ヨジョン
あの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」や「マリアンヌ」の人気役者ブラッド・ピットのプロダクション<プラン・B>の新作。
もちろん、ブラピは出ていないが、プロデューサーとしては、既に92の映画祭でノミネートされて、31の受賞を果たしている、という話題のアメリカ映画だ。
1980年代。韓国系の移民家族の一家は、農作業の若い父親とワイフに、まだ5、6歳の息子と、その年上の姉との4人家族だったが、そこに老母が加わった。
というのも、当初は4人家族での移民で、アーカンソー州の高原開拓地に、農夫として移民したのだったが、生活のメドがついて、老いた母を呼んだのだが。
それがこのドラマの争点となるのが、移民家族の宿命なのか、平穏だった筈のファミリーが、わがままな老婆によって思わぬ家内トラブルを連発していくのだ。
あの名作「シェーン」の時代から、アメリカ中西部への移民家族を描いた作品は多く、ゲイリー・クーパー主演の「友情ある説得」は名作として印象深い。
個人的には、ロバート・ミッチャムと、デボラ・カーが主演した、まったく銃撃のアクションもない移住ウェスターン、1960年の「サンダウナーズ」が好きだった。
しかし厳しい自然環境よりも、農耕地としての土壌ではない荒野だった平地は、ハリケーンや砂嵐やらに干ばつもあって、もともとはインディアンも移住した不毛地帯。
それでも気丈な家族は、農作業の重労働で、地元の先住農民たちにも認められる収穫を見せて、古参の彼らたちにも信用されるような百姓家族になっていた。
ところが、家族に加わった老婆は、持ち前の勝手な気丈に加えて、老齢による<ボケ症状>も出て来て、いろいろと家族生活の支障になってくる・・・という展開。
これはどこのファミリーでも起こりうるトラブルで、夫婦喧嘩よりも先の心配が日々増えて行く・・・という、これはどこの家族にも起こりうる宿命でもあろうか。
とうとう家族のゴタゴタで納屋からの出火で大火事になるのが、この作品のクライマックスになるのだが、さて、アカデミー賞では、どの評価をするのか。・・・・?

■左中間へのゴロがセカンドへの返球で、タッチでの角度で写真判定。 ★★★☆☆?
●109シネマなど、全国で公開中。


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★3月21日(日)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座<試写用DVDでの鑑賞>
M-006『海辺の家族たち』"La Villa"(The House by the Sea) 2016`@Agent Films & CIE-France 3 Cinema<107分・ビスタサイズ>
監督・脚本・ロベール・ゲディギャン 主演・アリアンヌ・アスカリッド、ジャン=ピエール・ダルッサン 
地中海の南西海辺の家族の生活を見て、ふと、1990年のベルトラン・タベルニエ監督で、ダーク・ボガートが主演した「ダディ・ノスタルジー」を思い出してしまった。
あれは、たしか、末期ガンで死期の近い老父の最期を、海岸のビーチハウスで過ごす娘や、その家族の<日記>のような日々を描いた佳作だったが・・。
こちらは監督自身の生まれ育ったという、フランスの南西端の漁港マルセイユ近郊、地中海の入口で,アフリカとは向き合った港だが、町を離れると、保養別荘地のような佇まい。
父の急病で、パリにいた女優のアリアンヌは、生まれ故郷のメジャンの入り江にある古い実家に帰って来て、老いて死期の近い容態を案じて、数日を過ごすことにした。
このコロナ下のご時世ではないが、とかく不自由で仕事は激減して都会にも活気のない昨今、やはり生まれ育った故郷の潮風は、疲れた心も癒してくれるようだ。
しかし、ある朝に、老いた父はベッドで寝たきりで亡くなり、家族を育てて生き抜いた老母も、その隣で、いつものように並んで、静かに亡くなっていた。
変わりない地中海の波は永遠だが、この家族には、幸福のような日々にも、過去の諍いやトラブルも波に流すように、今日も音もなく現実の変化が訪れていた。
まったく変哲もないような海岸の生活にも、こうしてドラマが訪れて来ている日常を、監督は彼自身の過去の成長を思い出すように、淡々と描いていく風景画のようだ。
ある日のこと、海岸近くのヤブのなかに、漂着して空腹な3人の子供たちを見つけ出したアリアンヌは、自宅につれて帰り、手元の食事を彼らに与えた。
久しぶりに、空腹な、小さな野犬のように粗食に食らいつく姿を見て、これもまた、このアフリカの対岸の港町の日常的な風景なのだ、と、感動させられてしまう。
われわれ島国のジャパニーズには、あまりご縁のない出会いなのだが、フランス南岸の港町には、こうしたドラマも、日常的にあるのだ・・と。

■ゴロでセカンドのグラブを弾いたシングル・ヒット。 ★★★☆*
●5月14日より、キノシネマ他で、ロードショー公開


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●3月20日(土)21-40 <ニコタマ・サンセット傑作座>
OV-072『追憶』"The Way We Are"(1973) Columbia Picture, Raster Productions,  <シネマスコープ・サイズ・118分>
原作・脚本・アーサー・ローレンツ 監督・シドニー・ポラック 主演・バーブラ・ストライサンド、ロバート・レッドフォード 
初めてのロードショー公開当時は大ヒットで、日比谷スカラ座の外階段にまで長蛇の列が出来ていて、わたしは新橋の兼坂ビルの試写室で見ていたが、
うちの家内が見たい、というので、まだヨチヨチ歩きの長男を連れて日比谷公園に行き,1回目の上映の終わる2時頃まで、噴水の回りを廻って待っていた。
まだパソコンも、当然のようにケータイのような、電子機器もないアナログ時代だったので、とにかく小春日和の公園で待つしかなかった・・・という記憶がある。
バーブラが製作した映画なので、これは女性目線の感覚で作られたラブストーリーで、人気のあったレッドフォードは、あくまで女性から見た<身勝手なハンサム>。
とはいえ、「華麗なるギャッツビー」のイメージも前後していて、ハンサムなレッドフォード人気は凄くて、バーブラは主題歌を唄って、かなり稼いだ作品だ。
ボストンの大学時代から、スポーツ万能で「オール・アメリカン・スマイル」という試作小説も書けるレッドフォードは、バーブラと恋してしまう。
結婚して卒業後は、ハリウッドのスタジオにスカウトされて、マリブ・ビーチの個建てハウスで新作映画のシナリオを執筆するシナリオ・ライター。
主婦のバーブラは、大学時代からの反ブルジョア思想の運動家の活動を続けていて、とうとう二人の女児を持ったが、離婚してしまい、大陸の東西で別の生活となる。
数年後、ラストのマンハッタン、セントラルパーク横の、あの有名なプラザホテルの前で、偶然にプロテスト署名運動をしていたバーブラと再婚の彼が再会するのが圧巻だ。
「まだ、懲りずに、ネバー・ギブアップ・ドゥー・ユー?」というレッドフォードの前髪を手で直す、バーブラの顔に、あのテーマ曲が被って来て・・・ああ、涙。
やはり、マーヴィン・ハムリッシュ作曲の主題曲が最高で、バーブラの唄もいいのだが、メロドラマのパターンを忠実に再現した感覚は、いまでも泣ける。
あれ以来、何度、プラザホテルの前に行ったか・・・、とにかく、あの名曲が必ず脳裏に甦って来るのだから、お向かいのティファニーの「ムーンリバー」といい勝負。

■レフトオーバーのフェンス直撃のツーベース。 ★★★★☆
●コロムビア映画、ソニーピクチャーズDVDでの鑑賞


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