細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『パラサイト*半地下の家族』の不思議な生活感覚。

2019年11月29日 | Weblog

11月21日(木)12-45 京橋<テアトル試写室>

M-096『パラサイト*半地下の家族』"Parasite (Gisaengchung) (2019) CI ENM Corporation, Barunson E&A 韓国

監督・ポン・ジュノ 主演・ソン・ガンホ、イ・ソンギュ <132分・ビスタサイズ> 配給・ビターズエンド

最近のカンヌ国際映画祭で、パルムドール最高賞を受賞したばかりで、狭い京橋のテアトル試写室は、この作品の試写はそのせいか、連日満席だ。

どうして、この作品がそれほどまでに高い評価をされているのか、・・・これは見るひとの知性と感性と趣味性によるものだが、窮屈な試写室で満席というのは苦手。

あの黒澤明監督の「天国と地獄」や、最近では「文なし家族」を連想させるような、一種、資本主義が生じる家族生活の格差を皮肉ったような、苦笑コメディだろうか。

しかし生活の裕福さというのは、キャロル・リードの「文なし横丁の人々」や「天国から来たチャンピオン」のように、その本質は貨幣価値ではなく、感性の違いだろう。

この作品の主人公の一家4人は、なぜか低額収入のために、遥かに裕福には無縁の生活を、大都会の掃き溜めのような、半地下一部屋で過ごしているという縮図。

しかし家庭教師として、高台の豪邸の子女の家庭教師として、その豪邸に出入りしてからは、まるで卓球台のようなスペースから、テニスコートのような環境を知ってしまう。

スポーツとしての、<テーブル・テニス>は、あのウィンブルドンでのテニス・コートのような広さもなく、小さなボールを数秒感覚の応酬で優劣の差を競っている。

この作品は、まさにそのゲームのスケールの差を見せつけることで、同じ生活内容の経済的な優劣を皮肉っていて、そのカリカチュアライズされた図式が、好評だったようだ。

その格差で殺人事件や窃盗、恐喝のような事件が起きるでもなく、ただポン監督は、まるで<おとなの生活漫画>のように、ある皮肉を混めて嘲笑していくのだ。

<パラサイト>とは、たしか<寄生虫>のような意味だったと思うのだが、これは、人生には運と不運はつきものなのだ・・・という視点で見ると、タイクツしてしまう。

 

■平凡な左中間への飛球だが、セカンドも深追いして、ツーベース。 ★★★☆

●新年1月、TOHOシネマズ日比谷他でロードショー


●『男と女*人生最良の日』は心に豊かな最終編。

2019年11月26日 | Weblog

11月19日(火)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-095『男と女*人生最良の日々』"Les Plus Belles Annees d'une vie <2019> Les Films 13,Davis Films / France 2 Cinema

監督・クロード・ルルーシュ 主演・アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニアン <90分・シネマスコープ>配給・ツイン

同じカップルでの出会いと晩年までの、3部作の新作というのも、一種のシリーズものなのだが、監督もスタッフも代わらない、というのも貴重だ。

実は、わたしは1967年にニューヨークのフィフスアヴェニュー、あのティファニーの真向かいにあったプラザホテルの横の名画座で初めて「男と女」を見た。

流れるような映像と音楽は、当時は斬新で日本でも大ヒットして、レコードやビデオも売れて、あの<ダバダバダー>のメロディは、多くのCMにも影響した。

たしか96年には、同じメンバーで<パート・2>が作られて公開されたが、アヌークとジャン=ルイは、それぞれの仕事と私生活がバラバラで、映画も失敗作。

実は、その直後に、盛岡市で開催されていた<みちのく国際ミステリー映画祭>には、ジャン=ルイの新作が上映されて、何とご本人も盛岡に4日間も来ていた。

わたしは故郷の映画祭なので、会社をサボって帰省して、何と、そのジャン=ルイとは一緒に飲み食いして至福の4日間を過ごしたのだった。

なぜかマスコミの嫌いな彼は、映画祭が終了すると、そのまま東京の観光もしないで、盛岡から成田に直行してパリに戻ってしまったので、知る人は少ない。

シリーズの<パート2>は、お互いの中年期の仕事と、その低迷を描いたせいか、評判も悪かったが、今回は老年期に入って、養老院でルイが生活している現状だ。

恐らく、この三作目を見るひとは、彼らの過去の2作はご存知だろうから、養老院で車椅子に沈み込んでいるジャン=ルイを見ると、親しみの感情で見るだろう。

だから、あのヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンの「黄昏」のような、ある懐かしさと親しみの共感で見る筈だから、もう、これは、ただの老人映画ではないのだ。

という、一種、<ファミリー記録>のような、懐かしさと親しみに彩られているので、★の評価などは出来ないし、とても採点などは、愚かしく、できない。

 

●2020年1月31日より、TOHOシネマズ・シャンテ他でロードショー


●『ペット・セメタリー』のスクリーンには見えない怖さ。

2019年11月22日 | Weblog

11月15日(金)13-00 半蔵門<東宝東和試写室>

M-094『ペット・セメタリー』"Pet Cemetery" (2019) Paramount Pictures/ Universal Studio

監督・ケヴィン・コルシュ、デニス・ウィドマイヤー 主演・ジェイソン・クラーク、ジョン・リスゴー <101分・シネマスコープ>配給・東和ピクチャーズ

おなじみ、スティーブン・キングの「キャリー」のように、初期の1983年に住んでいたアメリカ中南部メイン州の山に囲まれた田舎での恐怖体験話。

少女が飼っていたペットの猫が病死したので、すぐ裏山にある粗末な墓地に埋葬したのだが、数日後にその猫が戻って来たのだが、性格が凶暴になっていた。

という、貧しい家族の恐怖体験ストーリーで、いつものように異常体験や妖怪が出て来るタイプのスリラーではないが、ペットの豹変、というのは恐ろしい。

<豹変>という日本語は、ここから発想されたのか・・・と思う程に、あのやさしい猫が、まったく別のワイルドな猫になって帰って来るという不気味な発想。

しかも大都会ではなく、前人未到のような山の森林にある、村のペットたちの粗末な墓という設定も気味悪いが、もしかしたら、これはキングの体験談かも・・。

都会を舞台にした映画の多かったパラマウント映画が、このような僻地の森林地帯での恐怖映画というのは、むしろ<ユニヴァーサル映画>のB級発想だろう。

要するに<怪猫映画>なのだが、これは日本の美女変貌の怪猫映画ではなくて、アメリカ南部の山奥という設定が、あの「脱出」のように不気味なのだ。

しかし謎の老人ジョン・リスゴーが<知ってる顔>である他は、あまり馴染みのない役者ばかりで、ありがちな<怪猫映画>でないので、恐怖度は少ない。

でも、家で猫をペットにしている方で、歳老いた猫の介護とか始末に苦慮されている方が見たら、これは<猫>が相手の老後のテーマなので、コワい、かも。

それよりも、少女が溺愛していたペットの死後に、その猫のお面を被って森を徘徊する行列の方が、もっとヴィジュアルとしては不気味だった。

 

■平凡なセカンドゴロを野手がなぜか、ファンブル。 ★★★☆

●明年1月17日より、東宝洋画系でロードショー


●『ロング・ショット*僕と彼女のありえない恋』の想定外なラブ・ストーリー。

2019年11月19日 | Weblog

10月12日(火)12-30 六本木<アスミック・エース試写室>

M-093『ロング・ショット』"Long Shot" (2019) Lionsgate,Good Universe, Point Gray Productions

監督・ジョナサン・レヴィン 主演・シャーリーズ・セロン、セス・ローゲン <125分・シネマスコープ>配給・ポニー・キャニオン

若い女性の超エリート政治家として国務長官を務めるシャーリーズは、野心家だが、ちょっとズレている独身女性で、アメリカでは次期大統領候補のウワサ。

という、あちらでは「スミス都へ行く」のような野心政治家のコメディで、そのキレもの女性をアカデミー賞にもノミネートされたシャーリーズが演じる、という新作。

彼女はワシントンでも、女性として初めての次期アメリカ大統領候補としてウワサされている人気ものなのだが、ちょっと自信過剰で滑ってしまう発言もある。

ところが、ある選挙資金集めのパーティで、ダサいメガネのデブ男のフリー記者と話していて、お互いに幼なじみだったことを知り、選挙演説の原稿草案を依頼。

着たきりの汚れたジャンパーに野球キャップの男は、そのズーズーしい<ノリ>でホワイトハウスにも出入りしては、アポなしで国務長官の執務室に浸入するズーズーしさ。

作品の狙いは、むかしのパラマウント映画のタッチで、「先生のお気に入り」や「月蒼くして」のような鉄火女性が男性優位社会を粉砕していく痛快コメディなのだが。

テレビで人気というセス・ゴードンが、無精髭にダサい格好で大理石のホワイトハウスで奮闘するというおかしな狙いが、どうも演出のモタツキで面白くならない。

結局はシャーリーズも、あのキャサリン・ヘプバーンや、ドリス・デイのような繊細なシャレ気が、まさにサブタイトルの<僕と彼女のありえない恋>もモタツく始末。

しかもシナリオにも無駄が多くて、2時間を越えるというタイクツな長時間で、どうも<ロング・ショット>の意味も判らぬままの凡作となったのは、お気の毒。

数年前に来日したシャーリーズに、独占インタヴューしたときに、わざわざエレヴェーターから、また降りて来てツーショットした気遣いには、感激したのだが。

 

■セカンド横を抜くヒットだが、ファースト塁上でタッチアウト。 ★★☆☆

●2020年1月3日より、TOHOシネマズ日比谷でお正月ロードショー


●『ジョジョ・ラビット』の少年は、ヒトラーの親友になった。

2019年11月16日 | Weblog

11月7日(木)13-00 渋谷<ユーロライブ2F試写室>

M-092『ジョジョ・ラビット』"Jojo Rabbit " (2019) 20th Century Fox Film, T & G Entertainment Finance LLC.

監督・脚本・タイカ・ワイティティ 主演・ローマン・グリフィン・デイビス、スカーレット・ヨハンソン <112分・シネマスコープ>配給・W・ディズニー・ジャパン

また、そろそろ来年のアカデミー賞のノミネート作品がウワサされる時期になってきたが、この作品も、あちらでの評価が高いというフレコミでの先行試写。

<ワサモノ・ライター>たちが、いろいろと世界中で人気のある渋谷の奥にある秘境、百軒店の広い映画館のようなユーロライブに集合した。

東京オリンピックがあった60年代には、この界隈は<恋文横丁>といった屋台横丁で、50円でチャーハンの食える店が林立していて、わたしの日常の食堂街だったのだ。

アメリカ兵たちが兵役の交代で帰省するので、よく英字のブック本やジャズのレコードが放出されていた界隈で、そこで米兵たちと飲んだりしたのが、わたしの青春。

だから、この作品で第二次大戦下のドイツで、戦況が日々悪化している中でも、ヒトラーを敬愛して、<ヒトラー・ユーゲン>の青少年友軍に憧れていた背景は、同感する。

主演は、その10歳の少年が、空想の友人アドルフ・ヒトラーの助言と友情を感じつつ、末はゲシュタポかヒトラーの側近になる夢を持っていた・・・という設定だ。

ところが戦渦が激しくなる日々、自宅の隠し部屋に、ひとりのユダヤ人の娘が隠れていたのを見つけて、まさにあの「アンネの日記」の別伝のような展開になるのだ。

いま、トロント国際映画祭で<観客賞>を受賞して、アメリカでの評価が上昇しているという評判は、まだあの戦争体験者も多いという背景なのだろう。

しかし、この少年を主人公にしていることで、戦争とヒトラーの存在を戯画化コメディのようにして行こうという作為には、あの傑作「マダムと泥棒」の姿勢も見える。

ウサギの首も捻られなくて、ナチスの少年隊にもなれない臆病な少年は、この隠れ部屋の<アンネ>少女と会い、少しずつ戦意が代わって行く、という狙い。

おかしいのは、時々出現するヒトラーが、少年との間に<友情>のような温情を感じつつ、連合軍の解放を迎える・・・という、実にオカシナ作品なのだった。

 

■ボテボテのゴロのヒットがセンターの股間も抜けるツーベース。★★★☆☆+

●2020年1月17日より、全国公開予定


●フランク・シナトラ追想録

2019年11月14日 | Weblog

 

 

 

 「生きるのに飽きたけど、死ぬのは怖い」

  --Tired of Living, but Scared to Dying-----              細越麟太郎

 

 

 さすがに最近になって、シナトラの未発売レコーディングの曲は、いくつかの<海賊ラ

イブ盤CD>を残して減少したが、その代わりに豪華秘蔵写真集とか、ライブショウなど

のDVDセット・ボックスなどが、突然に<タワーレコード>や<蔦屋家電>などに出現

するので、ファンとしては、まだ監視は必要だ。

 たしかに、この会報ではその情報には常時アクセスして詳細が紹介されるが、それを

店頭でゲットするには、日頃のチェックと速やかな判断と財力とが必要になる。

 数多い有名タレントでも、人生で2度も引退宣言したひとは少ないだろうが、わがフラ

ンク・シナトラはそれをやった珍しい人だ。

 ご存知のように、はじめて引退宣言したのは、1971年6月で、当時25日全米発売

の"LIFE"誌では、その特集を組み、" SINATRA Says Good-by and Amen " という大特

集を組んだものだ。

 そしてわれわれも引退を惜しみ、関連のレコードやCDを買い求めた。

 ところが2年ほどして、" Let Me Try Again " という新曲とともに彼はショウビズに

カムバックして再活動を始めたが、タイトルも" Ol' Blue Eyes is Back "。

 ま、われわれファンとしては嬉しいことだが、テレビのショウでは相変わらずのジョー

クで、・・・”家にボーッとしていると、電話がかかって来て、ナンシーはいますか?って

いうんだ。「いま外出している・・」というと、「あんたは誰だ、召使いか?」という。

で、「俺はフランクだ、」というと、無言でガチャン、だ・・・”と嘆いていた。

 そのリタイア騒動の時に、つまり一回目の引退宣言のときに、1971年6月13日の

夜に、ロサンゼルスの<アーマンソン・シアター>で開催された「リタイアーメント・コ

ンサート」の時のライブの模様が、DVD映像として、このたび豪華な特典入のボックス

で発売されたのは、実にうれしい事件。

 この原稿のタイトルは、その夜のシナトラの引退宣言の心境を、実によく言い当ててい

るが、ご存知のように、これはエドナ・ファーバーの原作をミュージカルに、ジェローム・

カーンとオスカー・ハマーシュタインが作詞作曲した『ショーボート』の中で、もっとも

有名なナンバー「オールマン・リバー」の一節で、このコンサートでも、シナトラは自身

の心境も込めて、もっとも感動的に歌い上げている。

 この絶唱は、多くのシナトラの歌曲の中でも、非常に印象的な圧巻だ。

 さすがに、この夜の模様は、実に完璧な映像とレコーディングで、その司会はブロード

ウェイの名女優で、われわれの記憶としては、舞台演出家の名匠ジョシュア・ローガンが

初めて映画の監督をし、キム・ノヴァクの登場で評判だった映画「ピクニック」で、あの

年増の隣人で、しかも傲慢な隣の酔っぱらいを演じた名優ロザリンド・ラッセルが、実に

ホロリとさせる熱弁で、ちょっとツマリながら、シナトラを紹介している。

 このボックスには4枚のDVDと、そのライブのCDが1枚入っているが、その他のオマ

ケが素晴らしく、貴重な写真とライブのプログラム。6枚のキャビネ版のポートレイト、

引退報道を当時特集した”LIFE”誌の縮小版。・・・などが満載。

 まさにシナトラ・ファンには貴重な玉手箱なのである。

 つい先頃には、シナトラ生誕100年を記念して、100曲の名曲を4枚のCDにセット

して、豪華なパンフレットを添えたボックスは発売されたが、それよりも興味を引いたの

は" THE OFFICIAL CENTENARY BOOK "というLPレコードサイズの5センチメートル

もある厚さの写真集で、これは9、000円で、まだ店頭で売られているが、いつ手に

取って、その重さが値段よりも凄くて、仮に買ったとしても、どうやって家まで運んだら

いいものか、と迷ってしまい、いまだに買う勇気はない。

 おそらくアマゾンにでも依頼すれば宅配してくれるのだろうが、思案に苦しむのだ。

 

 

 


●『リンドグレーン』は、あの「ロッタちゃん」の作家アストリッドの青春の日々。

2019年11月13日 | Weblog

11月5日(火)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-091『リンドグレーン』" Becoming Astrid " (Unga Astrid ) 2018/ Nordisk Films Production AB / Avanti Films

監督・ペアニレ・フィッシャー・クリステンセン 主演・アルバ・アウグスト、マリア・ホネヴィー <123分・シネマスコープ>配給・ミモザ・フィルムズ

「ロッタちゃん」「長くつ下のピッピ」などの童話があることは知っていたが、その作家アストリッド・リンドグレーンのことは、実はまったく知らなかった。  

たしか、前にその「ロッタちゃん」は映画化されて、わたしも見た筈だが、ストーリーとなると、わが「サザエさん」と同様で、いちいちは憶えていない。

いかにも北欧デンマークの童話のようで、たしかに少女が主人公のエピソードで、そのスケッチは皮肉に満ちていて、どこかで大人の世界を風刺していたようだ。

この新作はその作家のリンドグレーンが、絵本作家になるまでの少女期からおとなの女性になるまでのエピソードを映像化していて、コミックなスケッチはない。

実際のリンドグレーンは、2002年に死亡しているが、「ロッタ」や「ピッピ」の童話はいまでも店頭で売られていて、世界の少女たちに笑いと勇気を与えている。

しかしこの作品では、その作品のシニックな大人社会への風刺や皮肉は描かれていなくて、あくまで彼女の青春時代の心の旅路が描かれていて、ドラマ性も特にない。

恐らく北欧諸国では知らないひとがいないほどの有名作家であって、だからこそ、こうして彼女の青春期が映画化されても、それだけの興行価値があっての映画化だろう。

しかし、彼女の作家背景や、その有名作品に興味のあるファンにとっては意味深いストーリーなのだろうが、そうでもない拙者にとっては、かなりタイクツした作品。

それでも北欧の田園地帯の田舎道を自転車で走行している、そののどかなシーンを見ていると、わたしの故郷の<小岩井農場>の周辺風景のようで、ニヤニヤと眺めた。

かなり昔だが、あのハンス・クリスチャン・アンデルセンの伝記を、ダニー・ケイが演じた作品があったが、あのような陽気な味つけ等は、まっかくないマジな作品だ。

 

■セカンド・ベースをかすめたゴロのポテン・ヒット。 ★★★

●12月7日より、岩波ホールで公開。


●デニスのシャイな微笑が10月サンセット座ベスト。

2019年11月11日 | Weblog

★10月のニコタマ・サンセット傑作座上映ベストテン

 

*1・『アメリカの友人』77(ヴィム・ヴェンダース)デニス・ホッパー*LD

 

*2・『過去のない男』02(アキ・カウリスマキ)マッツ・ミケルソン*VHS

 

*3・『腰抜け二挺拳銃』51(ノーマン・Z・マクロード)ボッブ・ホープ*DVD

 

*4・『ラテン・アメリカ=光と影の詩』92(フェルナンド・E・ソラナス)ウォルター・キロス*VHS

 

*5・『ブロンドの殺人者』44(エドワード・ドミトリク)ディック・パウエル*DVD

 

*6・『リー・インカーネーション』74(J・リー・トンプスン)マイケル・サラザン*LD

 

*7・『出獄』48(ヘンリー・ハサウェイ)ジェームズ・スチュワート*DVD

 

*8・『暴力団』54(ジョセフ・H・ルイス)コーネル・ワイルド*DVD

 

*9・『狩人の夜』55(チャールズ・ロートン)ロバート・ミッチャム*LD

 

*10『愚かなり我が心』50(マーク・ロブスン)スーザン・ヘイワード*LD


●イランの少女の憧れと冒険が、10月に見た試写ベスト。

2019年11月10日 | Weblog

10月試写ベスト・3

 

*1・『ある女優の不在』(ジャファール・パナヒ監督)ミーナズ・ジャファリ ★★★★☆

   映画に興味の深い少女が、イランの女優の存在を探し歩く、という実に珍しい感覚の探訪ミステリーで見えて来る現実と、夢の距離感。

     

*2・『デニス・ホッパー*狂気の旅路』(ニック・エヴェリング監督)サティア・デ・ラ・マニトウ ★★★☆☆

   10年前に亡くなったデニス・ホッパーの、「イージー・ライダー」後の映画作家としてのデニスの挫折と葛藤をアーカイブ映像で綴った異色。

 

*3・『エンド・オブ・ステイツ』(リック・ローマン・ロウ監督)ジェラルド・バトラー ★★★☆

   一応は、シリーズとなっているが、ホワイトハウスが危機になるという設定では、今回はモーガン・フリーマン大統領が危機一髪の受難だ。

 

*4・『ジェミニマン』(アン・リー監督)今回は人間と、エイリアンの二役のウィル・スミスは二人分のギャラを貰ったのかしら。

 

*5・『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督)ホアキン・フェニックスは、これまでの<ジョーカー>映画では、一番の後味の悪い怪演。


●『ターミネーター*ニュー・フェイト』では、リンダが主演なのだ!

2019年11月09日 | Weblog

10月31日(火)12-30 六本木<FOX映画試写室>

M-090『ターミネーター*ニュー・フェイト』"Terminator:Dark Fate " (2019) Skydance Productions,LLC./Paramount Pictures/ Twenties Century Fox Film

製作・ジェームズ・キャメロン 監督・ティム・ミラー 主演・リンダ・ハミルトン、アーノルド・シュワルツェネッガー <129分・IMAX/シネマスコープ>

配給・パラマウント映画+20世紀フォックス映画+スカイダンス・プロダクション、テンセント・ピクチャーズ

1984年に誕生した「ターミネーター」は、シュワチャンの人気をスターダムに伸し上げたが、実は同時に共演のリンダ・ハミルトンも強力なタグだった。

まさにボディビルダーのような強靭な体型のターミネーターは、ボディ・ビルダーだったアーノルド・シュワルツェネッガーをスターにしたが、1991年に復活して再起動。

これはそのシリーズ3作目に当たる作品で、ジェームズ・ボンド氏のように、その演技者が代わることもなく、この主役二人のキャラクターで成立している異色作だ。

当然、主役のご両人もそれなりに加齢となっているので、派手なアクションはロボットやスタンドインの多用で映像処理はしているが、ボルテージは維持している。

来日記者会見でも、さすがにシュワちゃんは老け込んでいたが、その点では映画の中でも大奮闘のリンダ・ハミルトンが<凄腕オバさん>になって注目だ。

ま、ご覧になる方は、以前のシリーズも見ていると思うので、とくに説明はしないが、とにかく試写の30分前にはFOX試写室も満席になってしまうほど、人気は健在。

おまけにお二人の来日記者会見も満席で、これではお正月映画の<ウェイティング・ブロック>を完全に埋めてしまうような、中年期向けの人気を見せている。

ここまでシリーズのキャラクターに拘りと見せるなら、多国籍軍の相手役にも、もっと強力な、リーアム・ニースンとか、ニコラス・ケイジのような<ツラ>が欲しかったが。

そこは制作費のバジェットで、カナダやメキシコの役者で対応しているのが、ちょっと迫力に欠けたが、ま、贅沢は言えない<高齢者アクション>の暴挙を見せて意地を発揮。

まずは、面目維持の強力無敵のパワー・アクション快作だ。

 

■ベテランの巧打で左中間にツーベース。 ★★★☆☆

●全国で本日よりロードショー。