●11月21日(木)12-45 京橋<テアトル試写室>
M-096『パラサイト*半地下の家族』"Parasite (Gisaengchung) (2019) CI ENM Corporation, Barunson E&A 韓国
監督・ポン・ジュノ 主演・ソン・ガンホ、イ・ソンギュ <132分・ビスタサイズ> 配給・ビターズエンド
最近のカンヌ国際映画祭で、パルムドール最高賞を受賞したばかりで、狭い京橋のテアトル試写室は、この作品の試写はそのせいか、連日満席だ。
どうして、この作品がそれほどまでに高い評価をされているのか、・・・これは見るひとの知性と感性と趣味性によるものだが、窮屈な試写室で満席というのは苦手。
あの黒澤明監督の「天国と地獄」や、最近では「文なし家族」を連想させるような、一種、資本主義が生じる家族生活の格差を皮肉ったような、苦笑コメディだろうか。
しかし生活の裕福さというのは、キャロル・リードの「文なし横丁の人々」や「天国から来たチャンピオン」のように、その本質は貨幣価値ではなく、感性の違いだろう。
この作品の主人公の一家4人は、なぜか低額収入のために、遥かに裕福には無縁の生活を、大都会の掃き溜めのような、半地下一部屋で過ごしているという縮図。
しかし家庭教師として、高台の豪邸の子女の家庭教師として、その豪邸に出入りしてからは、まるで卓球台のようなスペースから、テニスコートのような環境を知ってしまう。
スポーツとしての、<テーブル・テニス>は、あのウィンブルドンでのテニス・コートのような広さもなく、小さなボールを数秒感覚の応酬で優劣の差を競っている。
この作品は、まさにそのゲームのスケールの差を見せつけることで、同じ生活内容の経済的な優劣を皮肉っていて、そのカリカチュアライズされた図式が、好評だったようだ。
その格差で殺人事件や窃盗、恐喝のような事件が起きるでもなく、ただポン監督は、まるで<おとなの生活漫画>のように、ある皮肉を混めて嘲笑していくのだ。
<パラサイト>とは、たしか<寄生虫>のような意味だったと思うのだが、これは、人生には運と不運はつきものなのだ・・・という視点で見ると、タイクツしてしまう。
■平凡な左中間への飛球だが、セカンドも深追いして、ツーベース。 ★★★☆
●新年1月、TOHOシネマズ日比谷他でロードショー