細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●「UDON」がローマ字のワケ。

2006年08月31日 | Weblog
●8月31日(木)13-00  <109シネマ港北/R.S.>
M-104 「UDON」(2006) 東宝
監督・本広克行 主演・ユウスケサンタマリア ★★☆☆
日本のソールフードの「さぬきうどん」。
その真価を、ひとりの青年の挫折を通じて、再起へのテーマとして描くのかと思ったら、ちょいと違った。
「雪に願うこと」のようなストレートな心の復活を期待するには、この「うどん」の味、どこか薄すぎる。
結局、青年は別の本来的な夢を追う。
なんだ。うどんへの情熱は、何だったの。
残念ながら、素直においしい味はしなかった。

●「すべてはその朝始まった」は新・危険な情事だな。

2006年08月30日 | Weblog
●8月30日(水)11-00 サンプル・ビデオ・テープ
M-103 「すべてはその朝始まった」Derailed (2005) miramax 米
監督・ミカエル・ハフストーム 主演・クライブ・オーエン ★★★☆☆☆
シカゴ郊外。毎朝の通勤電車に乗り遅れたクライブは、無賃乗車だった。
そばに乗っていたキャリア・ウーマンのジェニファー・アニストンから、10ドル借りたことが、その後の彼の家庭や人生を崩壊させていくトラブルになる。
ごくありがちな不運の転落サスペンス。
さすが「コラテラル」のスチュワート・ビーティのシナリオは、ウイリアム・アイリッシュ風の恐怖を駆り立てて、「スパイ・バウンド」のヴァンサン・カッセルが悪役を好演。
クライブ・オーエンも「インサイド・マン」から一転して不運のサラリーマンを手堅く演じている。
それにしても、ジェニファー・アニストンの初めてのセクシーな演技も濃厚で、ドラマをヒッチコック・タッチの上質なサスペンスに仕上げた。
こんな超メジャー新作が、いきなり9月21日にDVD発売されるという現実も、恐ろしい。

●「アダム/神の使い悪魔の子」はヒトクローンの誤算か。

2006年08月22日 | Weblog
●8月22日(火)13-00 築地<松竹試写室>
M-102 「アダム/神の使い、悪魔の子」Godsend (2004) lions gate 米
監督・ニック・ハム 主演・ロバート・デ・ニーロ ★★★☆
事故で8歳の長男を亡くした衝撃の夫婦の前に、遺伝学の教授デ・ニーロが現れる。
亡くなった子供の遺伝子と母親の卵子で、また同じ子供を作れるという。
魂を悪魔に売った夫婦は、子供が亡くなった8歳の誕生日から、突然に人格を変えた子供の異常な行動に悩まされる。
一体これは、誰のクローンなのか。
「オーメン」に似た恐怖なのだが、せっかくのデ・ニーロの怪演が効果的でない。
思わせぶりなB級ホラーもどきの演出で、ラストまでサスペンスが持続しない。
当分、クローン人間はやめた方がいいようだ。

●「プラダを着た悪魔」とプラダを脱いだ天使。

2006年08月21日 | Weblog
●8月21日(月)13-00 六本木<FOX試写室>
M-101 「プラダを着た悪魔」 Devil Wears PRADA (2006) fox
監督・デビッド・フランケル 主演・メリル・ストリープ ★★★☆☆☆
「ワーキング・ガール」以来の女性映画の傑作だ。
ライター志望のアン・ハサウェイが面接を受けて採用されたのは、ニューヨークでも屈指のファッション雑誌編集部。
その編集長というのが、「101匹ワンちゃん」のグレン・クローズのような偏執長。
いじわるではないのだが、人遣いが荒っぽい。
ほとんどプライヴァシー無視の超ビジネス・ファッション・おばさんだから、ハンパじゃない。
この激務に耐えて若いアンは、一心に耐えるのだが、その苦境から本当の自分を見つけ出す。
ラストで、路上ですれ違うふたりの微笑が爽やかだった。
さすがメリル・ストリープが役者根性を、そのスッピンから厚化粧で見せつける。
久しぶりの都会コメディの傑作だ。

●「ワイルドスピード・3/東京ドリフト」の暴走快感。

2006年08月19日 | Weblog
●8月18日(金)13-00 東銀座<U.I.P.試写室>
M-100 「ワイルドスピード・3」Tokyo Drift (2006) universal 米
監督・ジャスティン・リン 主演・ルーカス・ブラック ★★★☆☆
アメリカでの非行で身寄りのなくなった学生ルーカスは父親を訪ねて東京に来る。
さっそく夜間に暴走する「ドリフト族」にハマってしまい、トラブルを繰り返し、ラストでは恋人を巡っての決闘レースとなる。まさに現代の東京西部劇だ。
意外や前2作よりも面白いのは、東京が舞台のせいもあるようだ。
なにしろ渋谷宮益坂からフルスピードで、人ごみのスクランブルに突入する映画的な乱暴さは迫力満点。
こんな映像は、規制の煩い日本映画では無理。
恐らくこの映像も、無許可の上に巧みなC.G.処理を駆使したのだろう。
有無を言わせぬ圧倒的なスピード感と、ロック・ミュージックにドリフトさせられてしまう。
ラストで、ちゃんと「このようなドライブは絶対に真似しないでください」とでる。
真似しようったって、これは無理。面白かった。

●「ブラック・ダリア」は本格40年代ノワール気分

2006年08月18日 | Weblog
●8月17日(木)15-30 半蔵門<東宝東和試写室>
M-099 「ブラック・ダリア」The Black Dahlia (2006) 米
監督・ブライアン・デ・パルマ 主演・ジョシュ・ハートネット ★★★★
40年代の新興地ハリウッドを舞台に起こった猟奇的な殺人事件。
「L.A.コンフィデンシャル」と同じジェームズ・エルロイの原作を、デ・パルマは執拗な時代考証で描く。
これは個人的には悶絶の世界なので、大いにムードを満喫した。
まるで40年代のB級犯罪映画の気分。
しかしハードボイルド小説の基本的なセオリーをしっかり踏まえた気合いが最後まで飽きさせない。
とくにヒラリー・スワンクの富豪一家のクレイジーな面々が魅力的だ。
ジョシュ・ハートネット刑事も久しぶりにアドレナリン発散。
最近もっともお気に入り新作ノワールである。

●「もしも昨日が選べたら」の思考錯誤。

2006年08月16日 | Weblog
●8月15日(火)13-00 新富町<ソニー試写室>
M-098 「もしも昨日を選べたら」Click (2006)sony pictere
監督・フランク・コラチ 主演・アダム・サンドラー ★★★☆
アダム・サンドラーはジム・キャリーの人気を一気に独り占めすべく、またプロデュースを兼ねて、またしてもフランク・キャプラの世界を再現しようと苦戦している。
自分の多難な人生を好転させるべく、スーパーの奥で見つけた「スーパー・リモコン」で、過去や未来を自在に早送りしたり、フリーズしてみる。
「バック・トウ・ザ・フューチャー」や「未来は今」のような発想は新しくない。
「素晴らしき哉、人生」の昔から、人間は自分の過去を改善して、未来を幸福にしようと願う。
しかし、結局は、いまの現実を大切に善処しないと、とりかえしがつかなくなる。
そんな当たり前の話の堂々巡り。
演出が下ネタで笑わそうとするだけ、作品は下品になった。

●「ワールド・トレイド・センター」から生還したヒメノさん。

2006年08月10日 | Weblog
●8月10日(木)11-30 有楽町<読売ホール>
M-097 「ワールド・トレイド・センター」World Trade Center (2006)paramount 米
監督・オリバー・ストーン 主演・ニコラス・ケイジ ★★★★
忌まわしい9-11の映画だから、かなり入念に練られたシナリオだ。
しかし、あの日から5年して作られたこの映画は、当日の事件に巻き込まれたふたりの港湾局警察官の災難と救出を描いているので、政治的な背景とか、貿易センター・ビルの崩壊は、あくまで周囲で起こっている悲劇として見ていて、あくまでこのふたりの男の生死を分けた生命力。そしてそれを支えた家族の愛情がメインになっている。
ヒーロー映画でない。
そこが賢明で好感の持てるところだ。
試写のあとに、舞台に生還したヒメノ氏が現れて、生きることの、一刻ひと時、その一瞬の大切さを語ったのが感動的だった。
真実であることの、その強さが★ひとつの力となっている。
堅実で真摯で、しかも勇気ある作品だ。

●「ユア・マイ・サンシャイン」の純愛度数。

2006年08月10日 | Weblog
●8月9日(水)13-00 渋谷<東芝試写室>
M-095 「ユア・マイ・サンシャイン」You Are My Sunshine (2005) 韓国
監督・パク・チンビョ 主演・チョン・ドヨン ★★★☆☆☆
HIV・ハンデキャップ・ラブ・ストーリーだが、意外によく出来ていた。
それは監督がドキュメンタリー出身で、実話を50%取り込み、ドラマにリアリティーを加味しているせいで、感情的な展開をクールな演出でまとめているせいだろう。
甘過ぎの韓流メロ・ドラマの中でも、傑出した作品だ。

●「X-MEN/ファイナル・ディシジョン」のミュータント・バトル

2006年08月08日 | Weblog
●8月8日(火)13-00 六本木<FOX試写室>
M-095 「X-MEN/ファイナル・ディシジョン」X-MEN The Last Stand (2006) Fox
監督・ブレッド・ラトナー 主演・ヒュー・ジャックマン ★★★☆
人気ミュータント・コミックの映画化だから、その世界を知らないと多くを語れまい。
前2作も見たが、どうもよくワカラナイ。
ジャックマンとハル・ベリーは、いい方のミュータントだから、悪玉と壮絶な死闘を制する。
しかし、その底辺にあるのはラブ・ストーリー。
とにかく女性を怒らせたら、これほど恐ろしいという、人間的な内容だ。
サンフランシスコのゴールデン・ゲイト・ブリッジを、アルカトラス島に架け替えるというから、ぜひここで「スーパーマン」に登場して欲しかった。
代打監督のラトナーは、まずまずだった。でもこれ、ファイナルじゃないようだなー。