細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ウェスト・サイド・ストーリー』の懐かしい古臭の親しみと違和感。

2022年03月10日 | Weblog
●3月9日(水)11時45分<二子玉川・109シネコン・①スクリーン>
M-004『ウェスト・サイド・ストーリー』"West Side Story" (2022) 20th Century Fox Studios/ Walt Disney Japan Presents
監督・スティーブン・スピルバーグ 音楽・レナード・バーンスタイン 主演・アンセル・エルゴート、アリアナ・デルボーズ、リタ・モレノ<123分・ワイド>
あの1961年の名作「ウエストサイド物語」は、あの年のアカデミー賞10部門で受賞したことは、まだわれわれの記憶には残っている。
シェークスピアの「ロミオとジュリエット」をベースにして、作曲指揮をレナード・バーンスタインが担当した作品は、ミュージカル映画の伝統を塗り替えたものだった。
それまでは、MGM社が、スタジオで製作して、フレッド・アステアやジーン・ケリーという、希代のタップダンサーを起用して連作していた時代が、変わったのだ。
華麗なスタジオでのミュージカルの舞台を、ニューヨークのブリックリンの、南米やイタリアなどからの移住民たちの住む貧民街を背景にしての若者たちの抗争。
すべてが変革した<ミュージカル>の登場で、当時はたしか松竹ピカデリー劇場で、1年以上ものロードショーをした間、わたしも3回ほど通った記憶がある。
その歴代のヒット作品を、どうして今になってリメイクするのか・・・という単純な疑問で見に行ったのは、どうも、スピルバーグの監督というのが、気になったからだ。
たしかに、時代も場所も設定も音楽も変わっていないが、もちろん、登場する若者たちもいまのキャスティングなのだが、やはりオリジナルは越えられないーーという印象。
どうせやるなら、原曲のメロディは残すにしても、リズムはラップかエイトビートで替えればいいのに、あの時代や音楽感覚で再現していたのには、正直、失望した。
映画的なパワーも感覚も、やはりオリジナルを凌駕するのは無理なはなしだが、老嬢の役で出ていたリタ・モレノの風貌が物語るように、どこか古臭が感じられる。
しかも対立していた移住ラテン系の若者たちと古来の白人たちの抗争が、あの50年代のまま、というのも違和感を終始引きずってしまったのは、わたしだけのノスタルジーか。
すっかり老け込んだリタ・モレノが製作し、気の毒な老醜を厚化粧で隠しているという姿にも、まるで中学時代のクラス会に出てしまったような気まずさを感じてしまった。
当時衝撃のデヴュをしたジョージ・チャキリスには、のちに東京で来日インタヴュしたことがあったが、いまごろは、苦笑しているだろうか。

■ボテボテのサードゴロで、ファースト・オーバーラン。★★☆☆
●全国でロードショー公開中

1 コメント

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中学時代のクラス会(笑) (onscreen)
2022-03-13 06:55:26
<中学時代のクラス会

公開当時にご覧になった方がそういう感想になるのはよくわかります(笑)

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