細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『狂った殺人計画(インパクト)』は、いかにもB級リベンジ・ドラマの定番佳作。

2020年08月30日 | Weblog
●8月29日(土)20-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-145『狂った殺人計画』"Impact" (1949) United Artists Presents, Harry M, Popkin Productions
監督・アーサー・ルービン 主演・ブライアン・ドンレヴィ エラ・レインズ <モノクロ・スタンダード・111分>コスミックDVD/BOX
戦後のアメリカ映画ラッシュの時代には、多くのハリウッド娯楽映画の傑作が公開されて、それぞれにヒットをして敗戦の敵対意識を払拭するのに役立った。
わたしは幸運にも小学生で戦後を迎えたので、盛岡市の近所には立派な洋画専門劇場があり、多くのハリウッド映画に洗脳されてしまったのが、一生の体質になってしまった。
しかしこの作品は、クーパーやジョン・ウェインなどの人気俳優の公開作品の山に埋もれてしまって、公開されなかったB級<ハリウッド・ノワール>の一作だ。
いつも細い口ひげのブライアン・ドンレヴィという役者も、毎度クーパーやジョン・ウェインの陰で悪役などを演じていたので、とくに人気もなく、哀れ殺され役だった。
しかしこの作品は、その彼が主演で、しかも善良なビジネスマンなのだが、悪妻の浮気の陰謀で偽装交通事故で殺されかけて、重傷ながらもユタ州辺りの田舎町で、生き延びた。
新聞報道では交通事故で死亡したことになっていたが、別の惨死体と間違えられたらしく、田舎町で生き延びて、あの秀作「過去を逃れて」のように再生していく。
たまたまメカに強かったこともあって、その田舎町の修理工務店で働くことになって、美人のオーナーのエラにも気に入られて、第二の人生を送る・・という寸法。
つまりは当時のRKO映画などの定番ストーリーで、「過去を逃れて」も90年代にはジェフ・ブリッジス主演「カリブの熱い夜」としてリメイクされたような復活美談なのだ。
こうして埋もれたハリウッドB級サスペンスが、クリアーな映像でテレビ画像で見られるのも、コスミックの復活DVD/BOXによって、いま見られるのは、嬉しい時代だ。
亡くなられた和田誠さんや、石上三登志さん、大林宣彦さんらが、いまごろは天国でご覧になっているかも知れないが、ま、地上でも見られるのは幸福なこと。
ストーリーは定番通りで、ハメられたブライアンが、別人のように復活するのは「リベンジ」のケビン・コスナーと同様なのだが、ついニヤニヤとして楽しんでしまう。

■センター前の痛打を野手がトンネルしている間に、ツーベース。 ★★★☆☆
●コスミック出版、DVDムック「陰謀の世界」より

●『拳銃の罠』は、ウィドマークのベスト・クライム・アクションだ。

2020年08月27日 | Weblog
●8月25日(火)20-45 ニコタマ・サンセット傑作座
0V-142-57『拳銃の罠』"The Trap" (1959) Paramount Pictures Corp All Rights Reserved.
監督・ノーマン・パナマ 主演・リチャード・ウィドマーク、リー・J・コッブ VHS(84分・ビスタサイズ)Kartes Video Communications.
個人的に、とても記念すべきアクション・サスペンスで、1960年当時、わたしは有楽町のパラマウント映画社で団体鑑賞券の配布のお手伝いをしていた。
上野毛の大学での商業デザインの授業よりも、パラマウント映画が好きで、ファンクラブの会報の編集をしつつ、毎日新作の試写を見ていたものだ。
「先生のお気に入り」「5つの銅貨」「月夜の出来事」「ハタリ!」など、毎日のように新作の試写が見られるのが嬉しくて、評論家の先生方に混じって毎日見ていた。
しかも、当時は、シャーリー・マクレーン、チャールトン・ヘストン、ダニー・ケイなどのスター本人が、ポロッと来社するのがビックリで、とても幸せだった。
そんな頃に見たこの作品は、大ヒット作品ではないが、わたしはホレまくって、数回も試写で見ていて、このVHSも、ハリウッドで探し当てて買って来たお宝。
ユタ州辺りの田舎町に、悪党のボスのリー・J・コッブの護送で弁護士のウィドマークがやって来たのも、実は父親と弟がシェリフ事務所に居たからなのだった。
ところがバカな正義漢の父親が、悪党の護送に反対して悪党たちの銃弾に倒れてからは、さすがのウィドマークもキレてしまい、悪党共のメキシコへの逃亡を阻止しようとする。
ラストで、小型セスナ機で脱出しようとしたコッブ一味の離陸を、滑走路に自分の車で体当たりして、大破炎上している機上から、ウィドマークは悪漢を引き出す。
血だらけの親分コッブだけを引きずりだして、ウィドマークが滑走路を10メートルくらい引きずったところで、脱走のセスナ機はすぐに背後で大爆発。
それでも血だらけの親分の首筋を掴んで「まだ、ここで死なれては困るんだ」と炎上の飛行機をバックに、すべてを実写ロケーションで撮影した映画根性には拍手だ。
その間にも、昔のガールフレンドのティナ・ルイスとのラブシーンもあるものの、作品は圧倒的に男達の死闘なのだが、全体にドライな感触が素晴らしい。

■レフトのグラブを弾いて、ボールはフェンスを転々のスリー・ベース。 ★★★★
●レンタルDVDで市場にあるのかは、残念ながら未確認。

●『犯人を逃がすな』は、足元の火種、灯台元暗し、の傑作驚愕ノワールだ。

2020年08月22日 | Weblog
●8月21日(金)21-00 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-141『犯人を逃がすな』"Cry Danger" (1951) RKO Pictures Presents <モノクローム・スタンダード・79分>
監督・ロバート・パリッシュ 主演・ディック・パウエル、ロンダ・フレミング <DVD/コスミック出版>
このところ、50年代周辺のハリウッド映画のジャンル別のDVD10枚セットが、非常に安価で書店に並んでいて、つい見逃せないで入手してしまう。
これは、歌手でミュージカル・スターでもあって、「グレン・ミラー物語」のヒロイン、ジューン・アリソンの実のダンナでもあったディックの主演未公開作品。
スーツにソフト帽というスタイルなので、ディックの当たり役の、レイモンド・チャンドラー作<フィリップ・マーロウ探偵>ものの一本かと思って見たら違った。
5年の刑期を終えて出獄してきたディックは、消えた50万ドルの行方と、俺をハメた奴への復讐を誓って、夜のロスのダウンタウンを独自で捜査していくのだ。
という設定では、つい最近このブログにも書いた、マーク・スティーヴンス監督主演の「復讐の涯て・Cry Venjeance」(54)に似ているが、こちたが先輩。
当時はキャンピング・カーでホーム・ステイしていた人種が多かったようで、50年代のフィルム・ノワールではおなじみだが、彼も親友と同居して真犯人を探すのだ。
ほとんどは警察の捜査も終わっていて、悪漢連中の隠れ家などを、まさにディックは苦虫を潰した表情で消えた大金と、持ち逃げした宿敵を日夜探しまわるのだ。
という意味では、見ているこちらは、あの<フィリップ・マーロウ探偵シリーズ>と同様の視線で見ているので、50年代ノワールのファンには馴染みのシーンが多い。
どうせ悪徳なギャング組織が仕掛けた<罠>で、このお人好しの善玉ディックは、鉄砲玉のように、悪徳組織に騙されて使い捨てされたのだろう・・・と、見ていた。
しかし、ラスト近くになって、あの「OK牧場の決闘』などのショーガールらしいガールフレンドの美女ロンダ・フレミングが、突然ディックに海外旅行を誘うのだった。
「金なんてないよ、どうすんだ」というディックの目の前に、彼女は美しい微笑で、洋服ダンスの奥にあった、大金の詰まったボストン・バッグを出したのだった。
まさにこれが<ファム・ファタール>の傑作であり、愕然としたディックはものも言わずに深夜の街に出て行く・・・というショッキングなラストに、おおお、感動。

■センターフライが意外に伸びて、フェンス直撃のスリーベース。 ★★★★
●コスミック出版<陰謀の世界>のDVDセット。

●『セメントの女』を海底で見つけたシナトラ私立探偵のクールな事件簿。

2020年08月19日 | Weblog
●8月18日(火)20-45 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-139『セメントの女』"Lady in Cement" (1968) Twenties Century Fox / Arcola-Millfield Production
監督・ゴードン・ダグラス 主演・フランク・シナトラ、ラクウェル・ウェルチ <94分・パナヴィジョン> フォックス・スタジオ・クラシックス
世紀のジャズ・シンガーのフランク・シナトラは、歌手という本業で百枚以上ものアルバムで、数えきれないジャズ・ソングをレコードに残したトップ・レジェンドだ。
しかしミュージカル映画にも「上流社会」の他にも多くの作品があったが、彼自身のプロダクションでは、刑事映画や探偵もののハードボイルド・アクションも残している。
マイアミの私立探偵「トニー・ローム」のシリーズ第2作のこの作品も、エンターテイナー・シンガーのコンサートやレコーディングの合間には、このお遊び作品もあった。
モーターボートというか、クルーザーを自宅にしているトニーは、近海の潜りも趣味だが、ある潜りで偶然に、全裸のまま足首にセメントで固定された美女死体を発見。
当然、警察に通報する一方で、暗黒街の裏社会に個人的にも通じているシナトラ探偵は、自分なりの情報網で死体の身元と、殺された背景も探って行く、という設定だ。
親友で刑事のリチャード・コンテとで、この謎めいた美女の全裸死体の殺害背景などを探って行くうちに、マイアミの裏社会の闘争図式が発覚してくるという寸法。
どこか、当時に人気のあったテレビ・ドラマの<刑事コロンボ>の多くのエピソードに似たような設定に、フロリダの陽光のせいか、まったくダーク・クライムでない。
なぜか前後して,シナトラは同じ監督のゴードン・ダグラスと組んで、ニューヨーク市警の『刑事』ものを作っているが、それに比べると、これは<バカンス探偵>の趣き。
多くのジャズアルバムをレコーディングして、ワールド・コンサート・ツアーを展開していた、これはシナトラのバカンス道楽探偵ものなのだろうが、タッチはシリアス。
ま、そうした道楽探偵映画といえばそれっきりだが、わたしのような<シナトラ・ファン>には、このコロナ・パンデミックスの最中には、実に心に嬉しいお遊び映画だ。

■左中間への軽いヒットだが、レフトがトンネル。 ★★★☆☆
●20世紀フォックス・ホームエンターテイメントDVD

●『見知らぬ訪問者』で覗かれる他人の話しと実生活の違い。

2020年08月15日 | Weblog
●8月14日(金)21-00 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-135『見知らぬ訪問者』"Phone Call From a Stranger" (1952) Twenties Century Fox Film Studios.
監督・ジーン・ネグレスコ 主演・ベティ・デイビス、ゲイリー・メリル (スタンダード・B&W・96分)コスミック出版
本邦未公開のフォックス映画で、丁度あの「百万長者と結婚する方法」で、ハリウッドに映画革命の起こった時代の、ネグレスコ監督の埋蔵作品だ。
当時は「イヴの総て」のオスカー受賞で実力ナンバーワンのベティ・デイビスが、実際のダンナのゲイリーを主人公にして製作した一種のオムニバス映画。
天候不順の夜行フライトに乗り合わせた乗客のゲイリーは、カミサンと別れて西海岸へ向かうが、途中で給油していた休憩所で数人の同乗客と雑談していた。
ところが飛行機は墜落して、九死に一生の彼は、亡くなった同乗の知人たちの遺族に、見舞いのためにそれぞれの自宅を訪問して、遺族に直前の話しをする。
という、あの50年代には、まだケイタイもメールもなく、彼はロサンゼルスの彼らの自宅を訪ねると、対面した遺族は聞いていた印象とは、まるで違っていた。
まさにあの<リーダーズ・ダイジェスト>が中心だった時代にありがちの、ショート・ストーリーの、リアルライフのスケッチが徐々に解明されていく、というドラマ。
ゲイリーは、同乗者だったシェリー・ウィンタース、キーナン・ウィン達の遺族に逢うのだが、話しをすると、聞いていた状況とは違って、一様に冷たいのだった。
とうとう最後に饒舌だったキーナンの遺族を訪ねると、未亡人のベティ・デイビスは足が悪くてベッドに寝たきりの状態で・・・という現実はまったくに悲惨なのだった。
そのテレビ的な<訪問エピソード>を、まさにあの<尋ね人>の番組のように展開していくという、あの「三人の妻への手紙」のようなスタイルの作品。
いかにもシネスコ革命以前の、ハリウッド・メロドラマの典型といえばそれっきりなのだが、この<クソ・コロナ>の最中に見ると、ハートにやさしさが懐かしく心地いい。

■ショートの股間を抜けたゴロが転々と左中間のツーベース。 ★★★☆☆
●コスミック出版、DVDセット「名優が演じる陰謀の世界」より。

●『夜の豹:パル・ジョーイ』は、芸人シナトラの血糖値に迫るエンターテイメント。

2020年08月12日 | Weblog
●8月11日(火)21-00 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-134『夜の豹*パル・ジョーイ』"Pal Joey" (Columbia Pictures)
監督・ジョージ・シドニー 主演・フランク・シナトラ、キム・ノヴァク <1957・109分・カラー・ビスタサイズ> DVD
はじめて、築地の古い<東京劇場>でロードショーされた当時は、まるでオペラ劇場のようなクラシックな薄暗く広い劇内で、数人の入場者で見た記憶がある。
歌手フランク・シナトラのことは、ミュージカルでジーン・ケリーと出ていた作品を見ていたので知っていたが、この作品では、かなり、やくざな歌手として登場。
「夜の豹」という、呆れるようなタイトルは、<悪友ジョーイ>では、やくざ映画と誤解されるので、かなり苦労して決めた邦題だろうが、それでも不可解だ。
いかにも歌手<フランク・シナトラ>の個性を活かした作品で、後に作家ジョン・オハラの書いた<「抱擁」・ジョーカー・イズ・ワイルド>の伏線でもあった。
流れ者の芸人のジョーイは、歌は上手いが、ジョークも辛辣なプレイボーイで、流れ者としてサンフランシスコに辿り着いてからの恋多き日々を唄って行く。
ダンサーのキム・ノヴァクと、金持ちな未亡人のリタ・ヘイワースと、当時としては、かなりファンキーなミュージカル仕立てのラブ・ストーリー。
これを契機にして、歌手のシナトラは老舗のコロムビアから、新規のキャピトル・レコードに移籍して、あとは順風満帆のヒット・アルバムを連発したのだった。
という意味では、エンターテイナーの彼を知る上では、まさに<ポピュラー・ソング入門書>のような作品で、リタ・ヘイワースなどの絡みは、ただのおつまみ。
レコード歌手としての<フランク・シナトラ>は、当時、同じコロンビア映画『地上より永遠に』でアカデミー助演男優賞を受賞して、一気にビッグスターになった。
のちの「抱擁」や「走り来る人々」などで、彼は演技者としても、ビッグスターになったが、この作品はそのシナトラの起爆剤的な作品になったのだった。

■左中間に抜ける痛烈なゴロのヒットで、俊足スリーベース。 ★★★★☆
●ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメントDVD

●『スペシャルズ!』の無欲な善行には、天使の誇りがある。

2020年08月07日 | Weblog
●8月6日(木)20-40 <ニコタマ・サンセット傑作座>
M-024『スペシャルズ!』"Hors Normes" (2019) ADNP -TEN Cinema Gaumont-TF1 Films Production
監督・エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ 主演・ヴァンサン・カッセル、レダ・カテブ <114分・シネマスコープ>配給・GAGA
<メンタル・プロブレム>は、ここ最近になって、どこの国の人間社会にも増えて来ているのは、われわれの生活文化がより複雑になってきた、といえばそれっきり。 
多様な家庭環境から生じる感性の病い、といえばそれっきりだろうが、たしかに社会生活が複雑になってきて、とくに都市部では人間環境に不具合が多発する。
この作品は、よくある男性二人の<バディ・ムービー>なのだが、あの「おかしな二人」や「冒険者たち」のようにアグレッシブではなく、メンタルが繊細なのだ。
ヴァンサンはとくに団体には所属していないが、<困ったメンタルなひとは放っておけない>タイプの、信じられないほどに他人に親切な古典的なおじさんなのだ。
一応は<正義の声>という、<メンタル・プロブレム>な若者たちをケアするグループに所属しているようなのだが、とにかく毎日のように個人的に率先して行動していく。
たしかにパリや東京のような巨大都市部では、この多様化した人間社会からはみ出してしまった若者が多く、一人前の独立した人間になるための努力をしている人は多い。
ヴァンサンは、根っからの世話好きな好人物で、友人とで恵まれない気弱な若者の救済のために毎日のように奔走している、という<特別な>人格の人間の実話なのだ。
その献身的な善意は、普段のわれわれの生活感覚からいうと、とても信じられないような<善意の行動>をする日常なのだが、ここではそのヒューマニズムは強調しない。
むかしはキャロル・リード監督の「文なし横丁の人々」や、フランク・キャプラ監督の「素晴らしき哉、人生」のような、人間の善行をテーマにした作品も多かった。
しかし絵に描いたような<ヒューマニズム>には、もう動じなくなった現代人には、こうした<尽力>というメンタルな努力こそが<美徳>とされるようになった。
とはいえ、この作品は、その<善意の人間性>を特に強調するでもなく、ヴァンサンの表情に滲む人間性の暖かい強さが、作品の動脈となっていて感動的だ。

■人間の善意は、見えない部分にあるから美しい。 ★★★★
●9月11日より、全国ロードショー

●7月のサンセット・ベストは<雨天の紐育>しか思いつかない。

2020年08月04日 | Weblog
●7月の鑑賞映画ベストテン
<いまや、(コロナ戦時下)で、試写には出かけないし、劇場も行きづらい。そこで今月は見た作品はゴチャマゼ・ベストだ>

*1・『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(ウディ・アレン)ティモシー・シャラメ・<109シネマ・ロードショー>2019★★★★☆
   83歳になる永遠の青年ウディの、まったく変わらないマンハッタンの青春散策が、見ていて心も弾むようなステップなのが、とにかく嬉しい。
*2・『リベンジ』(トニー・スコット)ケビン・コスナー<DVD>1999 ★★★☆☆☆
   恋人の命まで奪われた男のリベンジは、生涯の友情も、すべての財産も歴史までも粉砕してしまう。
*3・『おもかげ』(ロドリゴ・ソロゴイエ)マルタ・ニエート<DVD>2019 ★★★☆☆☆
   幼少期に行方不明になって、生涯を別れ別れに行きていた老母は、それでも失われた我が子の<おもかげ>を求めて、青年に接近する。

*4・『その女を殺せ』(リチャード・フライシャー)52・チャールズ・マグロー
*5・『恐怖の岬』(J・リー・トンプソン)61・グレゴリー・ペック
*6・『殺人者たち』(ドン・シーゲル)64・リー・マーヴィン
*7・『カナディアン・エクスプレス』(ピーター・ハイアムズ)90・ジーン・ハックマン
*8・『追跡』(ラウォール・ウォルシュ)47・ロバート・ミッチャム
*9・『第ニの機会』(ルドルフ・マテ)53・ロバート・ミッチャム
*10『蛮地の太陽』(ヘンリー・ハサウェイ)53・スーザン・ヘイワード・・すべてDVD鑑賞

●『真夏の夜のジャズ』の、あのアツかったジャズの香り。

2020年08月01日 | Weblog
●7月31日(金)20-30 ニコタマ・サンセット傑作座<DVD>
M-023『真夏の夜のジャズ』"Jazz on a Summer's Day" (1959) Raven Films / Bert Stern Productions / Kadokawa Films
製作・監督・撮影・バート・スターン 編集・アラム・A・アバーキアン <83分・カラー・スタンダード> 配給・KADOKAWA
なぜか、この夏に突然、ロードショー公開されるという、まさに<真夏の夜の夢>のような、われらの青春時代のマスターピース・ドキュメンタリー。
<ジャズ>が青春の音楽的な主流になったのは、このニューポートでのジャズ・フェスティバルが、イベントとしても大いに話題になった60年代。
その時代、わたしの日常はジャズにドップリで、渋谷の「デュエット」や「オスカー」という人気のジャズ喫茶には、日夜通い詰めていたものだった。
アート・ブレイキーの来日をきっかけに、マイルス・デイビスとジョン・コルトレーンや、オスカー・ピータースン、ビル・エヴァンスらも大挙来日公演。
この作品は、その時代のジャズ・ブームのきっかけにもなった<59年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァル>の懐かしいドキュメント・フィルムだ。
試写はないというが、当方はファンなので、ちゃんとDVDで所持していたので、実に久しぶりに見てみたが、これは、たしかにジャズ・コンサートの記録だが、
しかし、いまこうして見ると、著名なカメラマンだったバート・スターンは、ジャズのプレイそのものよりも、そこに来ていたファンの姿を見つめていた視線を感じる。
たしかに<ジャズ>が、大きなブームとなるきっかけになった一大ジャズ・イヴェントなのだが、プレイヤーよりも聴衆がメインなのは、あの「ウッドストック」同様。
セロニアス・モンク、アニタ・オデイ、ジョージ・シアリング、チコ・ハミルトン・・・そしてマイルス・デイビスなど、当時のビッグスターが総出演は懐かしい。
でも、バートの視線は、プレイヤーよりも、むしろジャズに親しんでいたファンの表情を執拗に見つめていたことが、ここで、こうして再見して痛感させられる。
つまり、ドキュメント・フィルムとして、ジャズ・プレイヤーを撮る以前に、それを親しんでいた当時のファンの喜びが、懐かしく甦る、という貴重なフィルムだ。

■渋いレフト線へのゴロのヒットが転々・・・。 ★★★★
●8月21日より、角川シネマ有楽町他で、リバイバル・ロードショー