●9月24日(木)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>
M-121『Re:LIFE~リライフ~』" The Rewrite " (2014) Castle Rock Entertainment / Reserve Room Production
監督・マーク・ローレンス 主演・ヒュー・グラント <107分> 配給・キノフィルムズ
15年前だから、2000年にアカデミー脚本賞を受賞したというシナリオ・ライターのヒューは、今日もハリウッドのスタジオを訪ねて、自慢の企画を提案する。
しかし、あの1作でオスカーを受賞した彼も、その後の企画に恵まれずに、ほとんど映画化の仕事に恵まれない浪人生活で、今日もアイデアはプロデューサーの嘲笑を誘うという苦境だ。
ハリウッドには伍萬といるライターたちは、あのロバート・アルトマンの名作「ザ・プレイヤーズ」の落ち目のプロデューサーのように、貧弱な企画の洪水にテを焼いている。
映画の原題は「リライト」なので、まさに今やドン底のライターの復活を目指すべく、自身の人生の「リライト」のために苦戦しているのは昨年の名作「バードマン」と同様なのだ。
その古いネタは「サンセット大通り」のシナリオライターのままでお気の毒な話で、別に面白くもないが、・・・この作品では、呆れたことに東部のど田舎のハイスクールの臨時教師の仕事を受けることになった。
まさにメジャーリーガーが契約を切られて、とうとう田舎の高校野球の臨時コーチをやるようなもので、これはコメディだからいいが、現実の転落ドラマとしては、かなり悲惨だ。
劇中には、多くのハリウッド映画のジョーク・ネタが飛び交うが、あの「グッドウィル・ハンティング」で脚本賞を受賞したマット・デイモンだって、あれ以来、脚本は表では書いていない。
役者として大成功しているマット・デイモンのことを、ジョークとして笑うのはいいが、このような転落、転身のドラマは、ハリウッドではヤマのようにあるテーマなのだ。
ま、それを、久しぶりのヒュー・グラントが嘲笑まじりに演じているのはいいが、彼自身の俳優としてのキャリアも、最近はパッとしていないので、妙に実感のこもった苦いコメディとなっている。
オスカー女優のマリサ・トメイが久しぶりの助演で、いい味を出し、昨年受賞のJ.K.シモンズなども、何とかヒューをカバーしているが、味はよくならない。
いかにもハリウッドの舞台裏ジョークは多くて、「レザボア・ドッグス」や「ダーティ・ダンシング」はいいとして、1955年の「マーティ」は古すぎて笑えないだろう。
田舎の学校の中年の女性教頭が、ジェーン・オースティン・マニアで、随所に彼女の名作のフレーズが出て来るのも、彼女の文学に通じていないと困ってしまう。
赴任した東部の田舎町ビンガムトンが、あの「トワイライト・ゾーン」の舞台だった、という裏ネタが一番笑えたが、人生のリライトというのは、「Dearダニー」のように大変なのだ。
■ちょこんと出したバットがサード頭上のポテン・ヒット。 ★★★☆
●11月、日比谷シャンテ・シネなどでロードショー