細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『最強のふたり』マニフィックな<セ・ラ・ヴィ>。トレビアン!!!。

2012年06月28日 | Weblog

●6月27日(水)10−00 六本木<シネマート3F試写室>
M−073『最強のふたり』Untouchable (2011) gaumont / splendido films 仏
監督/エリック・トレダノ+オリヴィエ・ナカシュ 主演/フランソワ・クリュゼ <113分> ★★★★☆☆
事故で首の下が全部麻痺してしまったパリの富豪が、介護士に雇ったスラムの黒人によって人生をリセットする。
結婚と子育てにも失敗したバツイチのフランソワは、失業保険目当てのオマール・シーとの友情に気づく。
階級や教養や環境から肌色までが、まったく違う、いわば異星人との介護交際。
これって、あまりにも出来過ぎなシチュエーション。なのに実話だという。
この常識をド返しした発想と、キャスティングが素晴らしい。
医者や看護婦たちは、主人が富豪なので、常識的な完全看護に徹している。
しかし、それでは、「生きる」歓びがない。
そこに登場したオマールは、ダメもとの無頼漢。それが不具のブルジョワに新鮮な感覚を与えるのだ。
メル友に振られたフランソワは、プライベイト・ジェットでスイスに飛びハングライダー。
そこで聞こえるのが、マイケル・ブブレの「フィーリング・グッド」。なんておしゃれ!!!!
あの「おかしな二人」や、ルコントの「タンデム」と同様のコメディなのだが、演出の手際が上質。
ピーター・セラーズの「チャンス」のような感覚だが、フランス映画伝統のペイソスもエスプリもシックで、とにかく上質なシャンパンの風味なのだ。
オスカー受賞の「アーティスト」よりも、わたしはこちらが上等と見た。
 世界各地で大ヒットだというが、納得。これが、映画で表現できる幸福の達成感なのだ。

■初球狙いの、文句なしのレフト・フェンス・オーバー。
●9月1日より、日比谷シャンテシネなどでロードショー