細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『さらば復讐の狼たちよ』の過剰な戦争バトルごっこの空虚。

2012年06月08日 | Weblog

●6月7日(木)13−00 六本木<アスミック・エース試写室>
M−064『さらば復讐の狼たちよ』Let The Bullets Fly (2010) emperor / beijing buyilehu film 中国
監督/チアン・ウェン 主演/チョウ・ユンファ <132分> ★★☆☆
タイトルと試写状のヴィジュアルで、わたしの好み。てっきりあの男たちの枯れたノワール・ロマンかと思い込んでいた。
ところが、映画が始まると全くイメージと違ったコミック・タッチのマカロニ・チャイニーズ活劇。
1911年の、戦乱の中国山岳地帯。
高すぎる激興した喧嘩口調と、派手な銃器の爆発音と血しぶきで、ノッケから大騒ぎの惨状に閉口した。
あの「グッド・バッド・アンド・ウィアード」のタイプなのだが、まったく知らずに見たのがいけなかった。
中国では「レッドクリフ」を超えて、歴代ナンバーワン・ヒットだというが、この中華はトゥーマッチ。
むさ苦しい男達の怒号と、わけのワカラナイ敵味方が入り乱れて争乱する様相は、とても耐えられない。
おそらくタランティーノ映画の影響で、「キル・ビル」の中国版団体バトルを再現したのだろう。
せっかくの名優チョウ・ユンファの二役も、影武者と同じ顔なのでパッとしない。
やっと終盤になって、争乱も多少は収まり出してから、チアン映画らしさが見えて来たのだが、もう立ち直れない。
この予測を裏切るような過激なパワーが、本国では受けたのだろう。
さっそく、パート2も作るという。
でも、この集団発狂型の争乱バトルが、そのままこちらでもヒットするとは思えない。
もっと、試写を見る前に、作風を察知しなくては、時間の無駄となる。

■バットを折っての強打でファーストを駆け抜けたが返球でアウト。
●7月6日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズなどでロードショー