細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『セブン・デイズ・イン・ハバナ』で微酔いレイジー気分のオムニバス・カクテル。

2012年06月26日 | Weblog

●6月25日(月)13−00 京橋<テアトル試写室>
M−072『セブン・デイズ・イン・ハバナ』Seven Days in Havana (2012) a full house & norena films 仏/スペイン
監督/ギャスパー・ノエ他6名 主演/エミール・クストリッツア <129分> ★★★☆☆
あの名優ベニチオ・デル・トロが初監督他、総勢7人の監督が、1週間の日々をオムニバス・スタイルで描くハバナ。
月曜日から、毎日を15分ほどの短編にまとめていて、当然、テンポや深みに差はあるが、全体に気分がいい。
それは、各エピソードが、すべて<ハバナ>という街の、そのリズムと恥部を愛しているからだろう。
リオやナポリや、リスボンなど、これまでにもラテンの港町を背景にした名作が多いが、これもまた格別に心地いい。
ヘミングウェイが愛したという、このレイジーな風土と楽天的な人情が、絶え間ないサンバのリズムと共に心の郷愁をそそる。
決してリッチでもなく、ド派手な色彩感も、宗教優先の日常も、テキーラの飲み過ぎも困るが、なぜか心地いいのだ。
アレック・ギネスの「ハバナの男」の、あの得体の知れない薄笑いを思い出した2時間。
レッドフォードの「ハバナ」も、ベニチオの「チェ」も、あれは革命の時代。
平和にはなったが、これは楽園ではなく、人間が誰でも憧れる自堕落な性癖を解放してくれる、白日夢のゴミ捨て場なのだ。
汚れた身なりで終日ダラダラと日陰でテキーラ。
たまに、1週間くらい、こうして無駄に過ごせたら、幸福感は変化する。人生観も下降修正。
生活は向上しないが、こうして駄目なハバナにいたら、通勤やローンや進学のことなど、くそくらえ・・・だろう。
 2時間で、1週間のハバナ気分。
試写のあとに頂いたハバナ・カクテルが、これまたウマかった。ありがとう。

■1球も振らずに、フォアボール。
●8月4日より、ヒューマントラストシネマ渋谷でロードショー