スポーツも格差をなくしたい――。立命館大の名誉教授で、障害のある人たちにスポーツを指導する芝田徳造さん(88)が、「すべての人が輝く、みんなのスポーツを」(共編)を刊行した。
格差を尋ねてみたところ、「一般とは異なり、企業の支援がある選手は数人。高齢、重度の人は体を動かす場さえ持てない」と言う。限られた人しかできない現状を憂え、理解を求めている。
芝田さんと障害者スポーツとの出会いは、日本が初参加した東京パラリンピックの翌年、1965年のことだ。「盲人野球」の指導をまかされたものの、どうプレーするのか想像さえできなかった。「ボールが転がる音をたよりに打ち、味方が手をたたく方向へ全力で走る。その姿を見て、足が震えるほど感動した」
それから50年。立命館大陸上競技部の総監督として現場に立ちつつ、72年からは毎月1回、障害のある人々がスポーツを楽しむつどいの場を京都市内で開く。このつどいは、6月で500回を刻む。
誰もが人生は一度きり。「スポーツは生きる力になる」と関わってきた芝田さんの熱い思いが、本ににじむ。
(編集委員) 2015年3月26日 朝日新聞
芝田徳造さんらが刊行した「すべての人が輝く、みんなのスポーツを~オリンピック・パラリンピックの壁を越えて」(クリエイツかもがわ)