身寄りのない高齢者や障害者らを受け入れている仙台市青葉区の民間施設「ひなたぼっこ」が、存続の危機に立たされている。収入の柱だった市の補助金が2014年度いっぱいで打ち切られるためで、運営するNPO法人は「支援を必要とする人がいる以上、何とか事業を続ける道を探りたい」と話している。
「ひなたぼっこ」は、同市のNPO「全国コミュニティライフサポートセンター」(CLC)が09年12月に開設。3階建ての元学生寮を借り、身寄りがなく、受け入れが必要な人たちを有料で滞在させている。食堂を運営し、地域住民が集える場にもなっている。
福祉サービスは、障害者総合支援法や介護保険法などに基づいて提供されるが、障害があっても本人や家族が障害者手帳の交付を望まなかったり、要介護認定されていなかったりして、公的支援を受けられない人も少なくない。CLCの池田昌弘理事長は「セーフティーネットから漏れ、困っている人に対応するのが施設の目的」と語る。
滞在できる部屋は8部屋あり、13年度末までの利用者は計65人。軽い障害があるものの手帳がなく、同居する親が死亡して一人で生きていくのが難しくなった人や、世話をしてくれた家族が入院してしまった高齢者らを受け入れてきた。平均滞在期間は2か月で、その後、別の施設に入る人もいる。現在は6人が利用しているという。
依頼の4割は地域包括支援センター、3割は市の区役所から来るといい、ある区の担当者は「身寄りのない高齢者たちを24時間体制で必ず受け入れてくれた」と語る。
開設以来、地域の集いの場を作るための補助金として年間2000万円を市から受けてきた。利用料などの年間収入は約1400万円。これで介護福祉士や保育士ら専門スタッフ約15人の人件費などを賄ってきたが、市は財源を確保できなくなったため、14年度で補助金の支給を廃止することを決めた。市健康福祉局は今後について、「必要性は十分に理解しているが、介護保険法など既存の法律に基づく指定事業者ではない。公平性を踏まえると、ここだけ特別に支援をするのは難しい」と説明する。
神戸学院大の藤井博志教授(地域福祉)は「家族や地域の結束力が弱まるなか、公的な福祉制度のはざまにある人が困窮する事例は全国にある」と施設の意義を語る。CLCは当面、一部の事業を休止して経費を抑え、運営を続ける予定だが、池田理事長は「いずれ施設を閉鎖せざるを得ない可能性もある」と話している。