ゴエモンのつぶやき

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「久遠チョコレート」はなぜ人気となったのか

2020年02月11日 15時25分49秒 | 障害者の自立
「SDGs」に取り組み、スタッフの7割が障害者
この時期ひときわ注目度が高まるスイーツ、チョコレート。国内生産量、個人消費量ともに伸び続けており、日常的な食べ物として認知されている。

そんな中、チョコレート作りの特性をSDGsに結びつけたチョコレートブランドが頭角を現しつつある。愛知県豊橋市に本店を持つ、久遠チョコレートだ。ネット通販をしているわけでもなく、全国34カ所の店舗と、百貨店等での催事を中心に販売。しかし口コミで異常な人気を見せており、バレンタイン前にはアクセスが集中してホームページがダウンするほど。

ここまで話題となっているのに、その正体が知られていない久遠チョコレート。いったい何者なのだろうか。

北は北海道から、南は九州まで

運営を担うのはラ・バルカグループという一般社団法人。久遠チョコレートとしては、工房つき店舗24店のほかに製造所14拠点を展開。直営は3店舗・3拠点で、あとはフランチャイズで運営している。

拠点の立地を見ると、北は北海道から南は九州と、広く散らばっているところが特徴的だ。飲食チェーンなどは普通、発祥の地域や大都市圏に店舗が集中しているものだが、久遠チョコレートはその点で大きく違っている。


売り上げの7割を占めるメイン商品は「テリーヌ」1枚230円(筆者撮影)

実はこのことが、久遠チョコレートのコンセプト、そして商品と深く関わっているのだ。

ラ・バルカグループの代表、夏目浩次氏は17年前、「障害者が働き、所得を得て自立できる場づくり」を目指して、パン工房「ラ・バルカ」を立ち上げた。しかしその事業では、厳しい現実との戦いに明け暮れていたという。
この時期ひときわ注目度が高まるスイーツ、チョコレート。国内生産量、個人消費量ともに伸び続けており、日常的な食べ物として認知されている。

そんな中、チョコレート作りの特性をSDGsに結びつけたチョコレートブランドが頭角を現しつつある。愛知県豊橋市に本店を持つ、久遠チョコレートだ。ネット通販をしているわけでもなく、全国34カ所の店舗と、百貨店等での催事を中心に販売。しかし口コミで異常な人気を見せており、バレンタイン前にはアクセスが集中してホームページがダウンするほど。

ここまで話題となっているのに、その正体が知られていない久遠チョコレート。いったい何者なのだろうか。

北は北海道から、南は九州まで

運営を担うのはラ・バルカグループという一般社団法人。久遠チョコレートとしては、工房つき店舗24店のほかに製造所14拠点を展開。直営は3店舗・3拠点で、あとはフランチャイズで運営している。

拠点の立地を見ると、北は北海道から南は九州と、広く散らばっているところが特徴的だ。飲食チェーンなどは普通、発祥の地域や大都市圏に店舗が集中しているものだが、久遠チョコレートはその点で大きく違っている。


売り上げの7割を占めるメイン商品は「テリーヌ」1枚230円(筆者撮影)

実はこのことが、久遠チョコレートのコンセプト、そして商品と深く関わっているのだ。

ラ・バルカグループの代表、夏目浩次氏は17年前、「障害者が働き、所得を得て自立できる場づくり」を目指して、パン工房「ラ・バルカ」を立ち上げた。しかしその事業では、厳しい現実との戦いに明け暮れていたという。
この時期ひときわ注目度が高まるスイーツ、チョコレート。国内生産量、個人消費量ともに伸び続けており、日常的な食べ物として認知されている。

そんな中、チョコレート作りの特性をSDGsに結びつけたチョコレートブランドが頭角を現しつつある。愛知県豊橋市に本店を持つ、久遠チョコレートだ。ネット通販をしているわけでもなく、全国34カ所の店舗と、百貨店等での催事を中心に販売。しかし口コミで異常な人気を見せており、バレンタイン前にはアクセスが集中してホームページがダウンするほど。

ここまで話題となっているのに、その正体が知られていない久遠チョコレート。いったい何者なのだろうか。

北は北海道から、南は九州まで

運営を担うのはラ・バルカグループという一般社団法人。久遠チョコレートとしては、工房つき店舗24店のほかに製造所14拠点を展開。直営は3店舗・3拠点で、あとはフランチャイズで運営している。

拠点の立地を見ると、北は北海道から南は九州と、広く散らばっているところが特徴的だ。飲食チェーンなどは普通、発祥の地域や大都市圏に店舗が集中しているものだが、久遠チョコレートはその点で大きく違っている。


売り上げの7割を占めるメイン商品は「テリーヌ」1枚230円(筆者撮影)

実はこのことが、久遠チョコレートのコンセプト、そして商品と深く関わっているのだ。

ラ・バルカグループの代表、夏目浩次氏は17年前、「障害者が働き、所得を得て自立できる場づくり」を目指して、パン工房「ラ・バルカ」を立ち上げた。しかしその事業では、厳しい現実との戦いに明け暮れていたという。
この時期ひときわ注目度が高まるスイーツ、チョコレート。国内生産量、個人消費量ともに伸び続けており、日常的な食べ物として認知されている。

そんな中、チョコレート作りの特性をSDGsに結びつけたチョコレートブランドが頭角を現しつつある。愛知県豊橋市に本店を持つ、久遠チョコレートだ。ネット通販をしているわけでもなく、全国34カ所の店舗と、百貨店等での催事を中心に販売。しかし口コミで異常な人気を見せており、バレンタイン前にはアクセスが集中してホームページがダウンするほど。

ここまで話題となっているのに、その正体が知られていない久遠チョコレート。いったい何者なのだろうか。

北は北海道から、南は九州まで

運営を担うのはラ・バルカグループという一般社団法人。久遠チョコレートとしては、工房つき店舗24店のほかに製造所14拠点を展開。直営は3店舗・3拠点で、あとはフランチャイズで運営している。

拠点の立地を見ると、北は北海道から南は九州と、広く散らばっているところが特徴的だ。飲食チェーンなどは普通、発祥の地域や大都市圏に店舗が集中しているものだが、久遠チョコレートはその点で大きく違っている。


売り上げの7割を占めるメイン商品は「テリーヌ」1枚230円(筆者撮影)

実はこのことが、久遠チョコレートのコンセプト、そして商品と深く関わっているのだ。

ラ・バルカグループの代表、夏目浩次氏は17年前、「障害者が働き、所得を得て自立できる場づくり」を目指して、パン工房「ラ・バルカ」を立ち上げた。しかしその事業では、厳しい現実との戦いに明け暮れていたという。
「ビジネスとしてパンを販売しようと思えば、日に50種類はラインナップし、開店の10時にはお店に並べていなければならない。当然スピードが要求されるし、スピードについてこられない人は排除することになる。障害のある方の働く場を目指して始めた事業として、ジレンマを抱えていました」(夏目氏)

障害者が働く事業所として、なぜかパンやクッキーなどの工房が多いイメージがある。しかしそれは、支援を目的とした事業所に限った話。

夏目氏はまさに自らの経験を通じて、実際には難しい面が多いことに気づいた。例えばパンなら、食パン、クロワッサン、惣菜パン、菓子パンなどなど、パンによって工程が異なり、オペレーションが複雑になる。仕込みからパンを窯に入れる、出す、並べるなど、動線も絡み合っていて、スピードが要求される現場では、1人の作業の遅れが、全体のオペレーションに大きく影響する。

材料の配合や練り込み、温度管理などが難しく、生地の発酵を含めて仕込みに1晩かかるのに、焼き上がってみると失敗していた、ということも多い。おのずと、パン作りには緊張が伴う。

一方で、日常的に食べられるパンはそれほど高価なものではない。当時の地元の最低時給(681円)を確保するべく、自分が借金まみれになった。しかしスタッフが自立するほどの工賃を支払うことはできなかった。そんなジレンマを断ち切り発想転換するきっかけとなったのが、ある職人との出会いだったという。

ある「ショコラティエ」との出会い

久遠チョコレートのホームページでもショコラティエとして紹介されているのが、野口和男氏。元々お菓子の製造機械の職人だが、欧米では一般的な「ショコラティエ」つまりチョコレート職人の存在が、日本のチョコレート文化では希薄であると感じ、自ら勉強してショコラティエに転身した。

現在、自身では店舗や工房を運営してはいないが、さまざまな食の業界で商品をプロデュースする、知る人ぞ知る存在という。

「野口さんが言ってくれたのが、『正しい素材を正しく使えば、おいしいチョコレートは作れる』という言葉です。ケーキとチョコレートは難しいと思い込んでいたので、まさに“目から鱗”の一言でした」(夏目氏)

2019年9月にオープンした東京・浜田山店(筆者撮影)

日本で高級チョコレートと言えば、生チョコやボンボンショコラが思い浮かぶ。混ぜ合わせる素材によっては生地が分離してしまったりと、温度管理が難しい。また、使う食材や姿形などでいかに付加価値を表現するかが、ショコラティエの発想であり、腕の見せどころともなる。

しかしチョコレートそのものは基本的に、材料を溶かす、型に流して固めるという単純な作業の繰り返しでできあがる。カカオの種類を変えたり、さまざまな食材を混ぜ合わせたりすることで、バリエーションを無限に広げられる。
さらに、高単価で労働生産性が高い。ギフト菓子で、贈る人も贈られる人も笑顔になる。夏目氏の目的にぴったりの商品だった。

障害のある人が力を発揮できる、なおかつブランドとしてのオリジナリティを確保するために、夏目氏は自分たちが売り出していく商品に、次のようなコンセプトを持たせることにした。

1つは、チョコレート生地には余計な混ぜ物をせず、カカオの味わいを楽しめること。2つ目に、デイリーに楽しめるカジュアルなチョコレートにすること。

原料となるクーベルチュールチョコレートやカカオは世界30カ国から、さまざまな個性を持ったものを集めた。中でも南米コロンビアや東南アジアでは現地の生産者と協力してオリジナルのカカオを開発。カカオ豆や、ペースト状にしたものを輸入して使っている。

価格はきちんと利益が出て、スタッフに支払えるような金額を設定。結果としては、「高級チョコ」としてイメージする値段よりは、やや下の価格帯に落ち着いた。

各地の「ご当地の味」が注目された

2014年夏、久遠チョコレートを立ち上げるとすぐにバイヤーに注目され、冬には百貨店での催事が決まったという。

バイヤーが着目したポイントが、各地の「ご当地の味」を取り入れたことだった。

「とくに地方には『福祉の事業をビジネスとして回したいが、どうしたらいいかわからない』という悩みを持つ団体や事業者が多いのです。突破口が見つからない中、久遠チョコレートの取り組みを知り、次々にフランチャイズを申し込んでこられました」(夏目氏)


この時期に注目が高まるいちごを使った商品で、左からリッチベリーとベリーベリー(筆者撮影)

久遠チョコレートの拠点が全国各地に散らばっているのには、このような理由があった。そして、夏目氏のもう1つの夢とも結びつき、「たくさんのご当地の味」が生まれたのだ。

「久遠チョコレートが独自性を出し、国内のパティシエに勝っていくためには、もう1つ強みが必要。そこで『ディスカバリー・ジャパン』を組み合わせてみたらどうかと思いました。

例えば私の出身地である岡崎市には、額田茶という家康も愛したお茶がある。年貢をお茶で納めることが許され、運ぶときには歌を歌っていた。それがわらべうたの『ちゃちゃつぼ』の由来です。そんな魅力とストーリーをもった食材が、日本にはたくさんあるんです。チョコレートを通じて、日本の魅力を見つけていきたいというのが私の思いです」(夏目氏)

例えば、売り上げの7割を占める主力商品のテリーヌは約150種類まで広がっている。こうして、年間の売り上げが8億円に達するほどに成長した久遠チョコレート。実際、障害のある人が働く場となりえているのだろうか。
久遠チョコレート事業で働く330人のうち、障害を抱えるスタッフは230人。彼らの月収は、拠点によって差はあるが、平均で16万円前後となっている。これに、国の障害年金6万円を合わせると、ギリギリ自立できるレベルの金額となり、夏目氏の当初からの目標はひとまず達成できたことになる。

実際に浜田山店で働く、吉田貴志さん(仮名)にお話を伺った。うつ病や統合失調症などの精神的な問題を抱える吉田さんは、障害者を対象とする職業紹介を通じて2カ月前から同店に勤務。日に5時間、週に4日というシフトで働いている。

この仕事の以前は薬局で販売をしていたが「仕事を抱え込みすぎて精神的に不安定になり、お店で症状が現れてしまった」ことが原因で退職。

「チョコレートを作るのは楽しく、無心にできる」

「職場は優しい人ばかり。またチョコレートを作るのは楽しく、無心にできるので自分の状態に合っている。給料の額というよりも、また将来働けるようになるための通過点と思っている。正直なところ、今は先のことまで考えられず、毎日を必死に生きている」(吉田さん)


チョコレートをパックする作業(シーリング)を行う吉田貴志さん(仮名)。働くようになって2カ月だが、チョコレート作りにかかわる作業は一通り習い終えたところとのこと(筆者撮影)

吉田さんにとって、自分を確認できる大切な場所となっているようだ。

久遠チョコレートはスタートから足かけ7年、今が真価を問われる時期だと夏目氏は考えている。「今は一般社団法人ですが、将来的には上場を目指しています。福祉事業としてではなくて、チョコレートのトップブランドとして名を知られるようになりたい。また上場によって、そのことを経済社会の中でインパクトとして示せると考えています。私が今42歳なので、50歳までに達成したいです」(夏目氏)

夏目氏によると、チョコレートは「人に寄り添ってくれる」素材だという。例えばパンなら、生地の発酵や焼き上がりに合わせて、人が無理をして動く必要がある。それに比べ、チョコレートは自由度が高い。失敗したらもう一度溶かして固め直せる。

SDGsの概念は幅広いが、その1つに「誰も置き去りにされない社会」というものがある。それぞれ違う個性を持った人が、パズルを組み合わせるように力を発揮して、全体として成長していく社会。今、それを本気で事業にしようとしている世代が育ちつつある。

東洋経済オンライン

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