ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

「障害者ががんばりました」打ち破る問題作 全盲の監督がSF映画!?

2019年03月31日 16時56分17秒 | 障害者の自立

「〝障害者が頑張りました〟ではなくて、〝健常者〟が走り回って汗をかいた映画です」。全盲の監督が映画をつくるまでを撮影したドキュメンタリー「ナイトクルージング」を、監督の佐々木誠さん(43)はそう評します。見えない人と見える人は、どんな「共通言語」を探りあてて映画をつくるのか。自分の見えている世界は、果たして本当にほかの人と同じなのか。ドキュメンタリーをみると不思議な感覚が揺さぶられます。3月30日から公開される映画の制作意図を、佐々木さんに聞きました。

電気、消そうとして…「見える」に無自覚だった

これまで障害者のセックスを題材とするなど、マイノリティとマジョリティの「境界線」を問うような作品を発表してきた佐々木さん。
生まれつき全盲のシステムエンジニア・加藤秀幸さん(43)の映画制作を手伝うきっかけとなったのは、7年ほど前、「視覚障害者の映画をつくってほしい」と神奈川県の視覚障害団体から依頼されたことでした。

――「視覚障害者の映画を撮ってほしい」と言われたときはどう思いましたか?

佐々木さん「2007年にマイノリティのセックスを題材にした映像を撮り、『違うことをやりたい』と思っていたので、正直、そこまで興味がわかなくて。でも、団体の理事長の熱意がすごかったんです。
くどかれているうちに悪い気もしなくなって、ある時まわりから『2人で温泉にでも行って分かりあってみたら』って言われました。次の日には2人きりで箱根に行くことが決まってました(笑)」

「そこでいろんな事に驚いたんです。展示してあるピカソの絵を『解説してくれ』と言われたり、夜寝るときに『電気消しますね』と尋ねて『どっちでもいいけど』と返されたりとか。
自分はこれまで〝見える〟ことに無自覚だったなと思いました」

――目の見えない人と、突然旅行に行くのにハードルはありませんでしたか?

「昔からそういうのはないんですよね。障害のあるなしに関わらず、相手が何か困ってたら助けるじゃないですか。
単に『この人面白いな』『好きだな』で仲良くなりますね。

加藤くんとも、その団体からの依頼のときに出会って、映画の話で盛り上がったんです。
生まれつき目が見えない加藤くんも、ジャッキー・チェンのことが好きだって言ってて。僕たちは勝手にジャッキーのコミカルなアクションの動きが〝面白い〟〝かっこいい〟と魅力に感じるけど、加藤くんは〝音が面白い〟って言うんですよ。
〝見方〟が違うなぁ、面白いなぁって思って、すぐ友達になりましたね」

 「映画が好き」という共通点から、全盲の人が映画を作ったらおもしろいんじゃないか?という発想につながります。
加藤さんに持ちかけると、加藤さんは「SFアクション映画を作りたい」と言います。
佐々木さんは「『SFはCGとか大変だからやめておけよ』と言ったんですが、それも僕たち『見える側』の考え方ですよね」と振り返ります。
映画のヒントを得ようと加藤さんとサバイバルゲームに参加したり、シナリオ制作者に相談に行ったり。そんな制作の様子を撮影し、佐々木さんは2013年、45分のドキュメンタリー「インナーヴィジョン」を公開しました。制作するSF映画の冒頭のシーンで終わるドキュメンタリーには、「続きが見たい」という要望が多く寄せられました。

「なかには『<視覚障害者でも映画が作れる>と証明する映画が見たいんだ!』というお怒りの声もありました。
じゃあ実際に最後まで作ったらどうなるのか追いかけたのが、今回の『ナイトクルージング』です」

服の色や髪形、アクション…「手探り」でつくった映画

ナイトクルージングは、文字通り「手探り」で加藤さんが映画「ゴーストビジョン」をつくっていく様子を、佐々木さんが制作に協力しながら撮影していきました。
映画に登場するキャラクターの顔の造形は? 髪形は? 服の色は……? 監督が決定するものは多岐にわたります。

生まれつき目の見えない加藤さんは「美しい顔」「服の色」の概念もありません。マネキンの顔を手でさわり、色を表すタグにふれ、専門家にレクチャーを受けます。
キャラクターをどう配置してどこから撮影するのかというイメージは、レゴブロックを使ってスタッフたちに伝えます。CGを見たことがなくどんなものか分からない加藤さんには、その解説から始まります。

クラウドファンディングで制作費を募り、山寺宏一さんら第一線の声優陣も「見えない監督の映画に参加してみたい」と集まってくれました。

――ナイトクルージングは、加藤さんの映画づくりを淡々と追いかけます。「見えない映画監督の挑戦」といった印象はあまりありませんね

「加藤くんのために、いろんな人が汗をかいて頑張っている映画なので、試写を見た人からは『障害者が主役なのに涙がないところがいい』と言われました(笑)。
挑戦する〝感動〟を着地点にすると、スッキリして終わってしまう。そうじゃなくてモヤモヤを持ってほしかったんです。
映画の伝えたいことも、他者との違いも、『そんなに簡単に分かるものじゃないぞ』と思っているので」

――エッセイスト・漫画家の能町みね子さんはこのドキュメンタリーに、「視覚障害者を『視覚を偏重して生きている私たちとは別の感覚を持つ人』と想像すると世界が広がる」とコメントされていますね

能町みね子さん: 日本語話者である私(たち)はふつう、日本語が通じない人を「何かが欠けた人」だとは思わない。単に別の言語を使う人として、経験上、ある程度想像できる。しかし、同じ視覚を持たない人(視覚障害者)については、つい「視覚の欠けている人」と思いがちである。それを単に、視覚を偏重して生きている私(たち)とは別の感覚を持つ人、として想像するだけで、こんなにも世界が広がる。共感できない世界こそおもしろい。

出典:映画「ナイトクルージング」 能町みね子さんのコメント                            

「とにかく時間がないのに、加藤くんの音へのこだわりはすごかったです。〝音の概念〟が違うんだなと思いました。
絵コンテの代わりに『サウンドコンテ』を作りましたが、セリフを足すことになって。自分は編集してつなげばいいと思っていたんです。
でも加藤くんは『セリフが増えたら空気感やしゃべり方が変わるはず。最初から最後まで録り直さないと意味がないだろ』と怒り出したんです。
『時間がないんだから』と説得しましたが、納得しない。結局録り直しました。音が命綱なんですよね」

小さな頃から映画好きだったという佐々木さんは、中学生の頃には「自分は映像の仕事しかできないだろうな」と漠然と感じていたそうです。今回、「ナイトクルージング」を制作して、より「視覚ってなんなのか」を考えるようになったといいます。

――ナイトクルージングを拝見して、単に「映画をつくるって本当に大変なんだな」とも感じました

「映画づくりって何? クリエーティブって何? 障害って何? 見える・見えないって何……? いろんな角度から語れる映画だと思うんです。
映画づくりに関しては、映画『カメラを止めるな!』が好きな人はきっと面白いと思ってくれると思います」

「今回、SF映画の制作も、ドキュメンタリーづくりも、クラウドファンディングも文化庁のイベントも同時並行で、本当に忙しくて僕、片耳が聞こえなくなっちゃったんですよ。
でも、ロケの帰りに、新幹線の中で加藤くんが『キャラクターの髪形を変える』って言い始めて。あのときは『ふざけんな』となりましたね。目の見えない大人と片耳が聞こえない大人で大げんかしてました」

――それだけ大変だったのに、映画監督はまた映画を作りたいって思うものなんでしょうか

「映画監督ってみんなマゾなんじゃないかと思うんです(笑)。出来上がったら、それまでの苦労とか忘れちゃう。ずっと〝文化祭〟が続いている感じなんです。
ただ、見る人には映画の裏側とか過程は関係ないですからね。結局、できた映画が面白かったか・つまらなかったかで判断されるしかありません」

――加藤さんのSF映画「ゴーストビジョン」には、目に見えない、でも全盲の主人公は感じ取ることができる「ゴースト」という存在が登場します。これは何を表しているんでしょうか

「自分にとっては、ドキュメンタリー『ナイトクルージング』自体が『ゴースト』だと思っています。
見える人、見えない人、お互いにいろんなイメージを共有して、コミュニケーションをとっていく。その人たちの間にあるものなんじゃないかと思います。
『分からない』とか『境界線がある』ことは、決してネガティブな意味ではないと思っています。『分からない』から、一緒につくる、一緒に考える。
ドキュメンタリーを通して、みなさんもいろんなことを考えてみてもらえたらうれしいです」

ドキュメンタリー映画「ナイトクルージング」は、アップリンク渋谷で3月30日から上映され、その後、全国で順次公開されます。

詳しくは映画のホームページ(https://nightcruising.net/)へ。

全盲の監督が映画をつくるまでを追ったドキュメンタリー「ナイトクルージング」を撮った佐々木誠さん            

全盲の監督が映画をつくるまでを追ったドキュメンタリー「ナイトクルージング」を撮った佐々木誠さん

2019年03月30日    withnews(ウィズニュース)


「障害者初の一般職員採用者」 宇都宮市役所の白井さん、38年勤務し定年

2019年03月31日 16時46分43秒 | 障害者の自立

 【宇都宮】脳性まひの障害がありながら、市の一般職員として初めて採用された管財課の白井美智子(しらいみちこ)さん(60)=本丸町=が29日、定年退職を迎えた。障害に対する偏見や周囲の職員と同じように業務がこなせない葛藤を乗り越え、勤め上げた白井さんは「障害者の社会参加が進んでいなかった当時、自分を受け入れ、業務を評価してくれた宇都宮に感謝している」と38年間を回想。その上で「誰もが壁にぶつかっても必ず支えてくれる人がいる。自分から新しい世界に飛び込んでほしい」と同じ立場の人たちにエールを送る。

職場で同僚と話す白井さん(中央)
 
 
2019年3月30日      下野新聞

障害者理解によしもとと協働

2019年03月31日 16時43分04秒 | 障害者の自立

 三重県183万4300人)は、よしもとクリエイティブエージェンシー(株)と協働して「《笑い》による共に生きる社会づくりプロジェクト」を始めた。

 18年度から20年度までの3年間、「精神障がいに対する正しい理解の普及・啓発」「心のバリアフリー・社会参加等の啓発」を柱に様々な啓発活動を行う。第1弾として開催されたアルコール関連問題啓発フォーラムでは、アルコール性急性膵炎で2度入院したお笑い芸人次長課長河本準一さんのトークショーが開かれた。

(月刊「ガバナンス2019年3月号・DATA BANK2019)


自転車もっと活用を 「タンデム」「タクシー」走行解禁 来月から

2019年03月31日 15時16分08秒 | 障害者の自立

 県内の公道で四月から、ペダルとサドルが二人分付いた二人乗り自転車「タンデム自転車」と、三輪自転車タクシーの「ベロタクシー」の走行が解禁されるのを前に、県は水戸市で試乗会を開いた。タンデム自転車は後ろに乗る人にハンドル操作の必要がなく、目が不自由でも乗車できる。視覚障害のある人からは「風を切った走りが気持ち良かった」と喜びの声が上がった。

 県や県警によると、道交法により自転車の乗車人員は都道府県ごとに定めており、三月一日現在、タンデム自転車は二十三府県、ベロタクシーは四十二都道府県で走行可能。国の自転車活用推進計画を踏まえ、県も自転車を活用した観光振興を目指しており、県視覚障害者協会などからの要望もあって解禁を決めた。

 試乗は二十二日にあり、偕楽園公園に一キロほどのコースを設け、約五十人が参加した。

 中には、アテネパラリンピック自転車男子タンデムスプリント(視覚障害)で、前で運転するパイロットを務め銀メダルを獲得した大木卓也さん(38)=つくば市=も。車体が長くカーブで小回りが利かない特性とともに、「後ろの人への配慮が重要」と注意点を語った。

 タンデム自転車の後ろに乗った県視覚障害者協会の坂場篤視理事長(71)は、目が不自由で自転車に乗るのは弱視だった小学生時以来だったが、「風を切って楽しかった。パイロットが上手で違和感もなかった」とニッコリ。一般に一台二十万~三十万円という自転車の調達やパイロット育成を課題に挙げつつ、視覚障害者の社会参加に向けて普及に期待するという。

 一方、環境に優しい交通手段としてベロタクシーを所有する環境NPO法人「ウォータードアーズ」の和田幾久郎理事長(51)は「ベロタクシーは環境マインドの高さの象徴で、来年の水戸の梅まつりで本格的に走らせたい」と話した。

 解禁されても、タンデム自転車は歩道などは走行できない。ベロタクシーは、乗客運送事業者に限り公道走行解禁で、事業者以外は自転車専用道か自転車歩行者専用道での走行となる。

 「県警とともにルールの徹底を図っていきたい」と県地域振興課の担当者。つくば霞ケ浦りんりんロード沿線のレンタサイクルにタンデム車を二、三台配置するという。

タンデム自転車に試乗する県視覚障害者協会の坂場理事長(後部座席)。前の座席はアテネパラリンピック銀メダリストの大木卓也さん。

 


「障碍」表記に向け準備=市民への啓発も-兵庫県宝塚市

2019年03月31日 14時38分49秒 | 障害者の自立

  兵庫県宝塚市は4月から、障害者施策などに関する市の議事録や広報誌などの公文書で「障碍(がい)」の表記を使う。市によると、常用漢字にない「碍」を公的に使う自治体は全国初。既にホームページ(HP)の一部で表記を変えたほか、「碍」を入れた文書の印刷を発注するなど準備を進めている。市民への啓発も行う方針だ。

 これまで市は「害」に否定的な印象があるとして「障がい」と表記してきた。「妨げ」を意味する「碍」の字を広め、障害者の生活を妨げる社会的障壁への認識を促す。  具体的には4月から政策の計画書や庁内文書、チラシなどで「障碍」を使う。一部の計画書は、「碍」を使うよう業者に発注済みという。読みがなを付ける方針で、市HPには先行的に「障碍(しょうがい)者」の表記が登場。「碍」の意味を紹介し、啓発するページも設けた。過去に作った封筒やチラシなどには「障がい」の字の上に「障碍」のスタンプを押すことも考えている。  障害福祉課は2020年度から「障碍福祉課」に改める。法律用語や固有名詞は「障害」を残すが、条例や規則で可能な箇所は来年4月までに変更。職員にも表記変更を促す通知をした。ただ、方針が決まったのが今年2月で、庁内からは「準備が進んでいない」との声も聞かれる。  中川智子市長は「『碍』が意味するバリアーは個人ではなく、道路や施設、制度や差別的観念など社会的障壁との相互作用で作り出されたもので、取り除くことが大切。心のバリアフリーを推進したい」と話している。

「障碍」表記に向け準備=市民への啓発も-兵庫県宝塚市

時事ドットコムニュース   2019年03月30日