ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

キアシシギ

2011年12月09日 | 動物:鳥

 確たる証拠の黄色い脚

 散歩を趣味としている私だが、今年の夏以降、前のアパートのシロアリ騒ぎ、その後の引っ越し、新居の家具作り、実家の掃除整理整頓、職探し、などなどいろいろあって、以来ほとんど散歩をやっていない。新居近辺の散策もまだ一度も無く、散策場所としていた末吉公園、弁が岳公園、西原運動公園などにもずっとご無沙汰している。
 もう一つ散策場所としていた吉の浦公園にも行っていない。近くの、友人がやっている八百屋へは何度も行っているが、公園まで足を伸ばす余裕が無かった。日記を調べてみると4月以来行っていないみたいだ。あっという間に時が過ぎ去ってしまった。

  吉の浦公園は海浜公園である。そこで海浜植物のいくつかの写真を撮ってある。それらの植物は特に珍しいものというわけでは無く、他の海浜公園でも概ね見ることができる。吉の浦公園で収穫が多いのは植物よりも鳥。他の公園よりも水鳥に出会う機会が多い。何か特別に鳥たちの好む餌があるのかもと思うほど多くの鳥に出会った。
 キアシシギにも何度か出会った。写真を撮って図鑑と見比べて「そうであろう」とは思ったが確信が持てない。その名の通りの黄色い脚を見ることができていないからだ。ところが5月、たまたま用事で近くまで行ったので、南城市の公園を散策した。そこでもキアシシギに出会い、写真が撮れた。そこのキアシシギは脚を見せてくれた。

 
 キアシシギ(黄脚鷸) 
 チドリ目シギ科の野鳥 繁殖地はシベリア 方言名:不詳
 名前の由来、シギについては資料が無く不明。漢字の鷸は広辞苑にあった。黄脚という字も広辞苑にあり、その字の通り、脚が黄色い。で、キアシと付く。
 全長26.5センチ。夏にシベリアで繁殖し、春秋に日本へやってくる渡り鳥。東南アジアで越冬するとのことだが、一部は越冬する。一度目は9月に吉の浦海岸で、二度目は12月に同じく吉の浦海岸で私は見ている。9月のは秋にやってきた旅の途中で、12月のは越冬する個体と思われる。飛び疲れて、沖縄でいいやと思ったのかもしれない。
 写真は去年(2010年)12月と今年5月のもの。『沖縄の野鳥』に「夏羽は顔から首に縦斑、胸から脇に横斑がある。冬羽はこの斑紋がなくなる。」とあり、その通り、12月の写真は冬羽で、5月の写真は夏羽ということになる。
 干潟、入江、海岸、川岸に生息するとのこと。私は海岸で見ている。鳴き声はピュイーピュイーともの悲しく鳴くとのこと。もの悲しい鳴き声を聞いてみたいが、私が遭遇した時は二度とも鳴いてはくれなかった。沖縄では8月から5月まで見られる。
 
 キアシシギ冬羽
 夏羽は顔から首、胸から脇に斑紋があるが、冬羽はこれが消える。

 記:2011.10.25 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


隠れた達人

2011年12月09日 | 通信-科学・空想

 先週、琉球琴を趣味にしている従姉Kに民謡酒場へ行かないかと誘われた。いつか民謡酒場もガジ丸HPで紹介しようと思っていたので、良い機会だと快諾した。
 民謡ライブは、ベテランの女性ウタシャ(唄者)がいて、若い女性だが上手なウタシャがいて、店のマスターはテレビCMにも出ているコメディアンで、といった民謡酒場についての話は別項に譲るとして、ここではこの日最も興味を引いたことについて。

 従姉のKはその日の朝から腰が痛く、席を立つたんびに「痛っ、痛っ、」と言いながら両手をテーブルについて、ゆっくり、何とか立ち上がって、「痛っ、痛っ、」と言いながら、のそのそと歩いてトイレに行ったりしていた。
 そんな中、隣席に客が入った。初老(60歳ちょい)の男性。その人が席についてしばらくして、またもKが両手をテーブルについて、「痛っ、痛っ、」と言いながら立ち上がり、「痛っ、痛っ、」と言いながら歩き出すと、その男性がKを見て、
 「背中の右側に異常がありますね。」と言う。
 「この人は気功の先生なんだよ」と店のマスター。さらに訊くと、その人はOさんと言い、中国少林寺で武術気功を修行したらしい。武術が専門で整体等は普段やっていないとのこと。Oさんは神奈川に住む倭人、仕事(整体とも武術とも関係のない仕事)でたびたび沖縄に出張があるとのこと。そのついでに空手の指導はやっているらしい。
 友人Sの整体を経験して気功の力を知っている私が、「診て貰え、すぐに治るぜ」と従姉に勧めると、Oさんも「いいですよ」と快く引き受けてくれた。

 従姉をソファーの上に仰向けに寝かせ、脚のふくらはぎ辺りをほんの10秒ほど触り、首の辺りをほんの数秒ほど触って、「もう楽に立てると思いますよ」と言う。半信半疑の従姉が立ってみると、手も付かずにすんなり立てた。
 「まだ完全には治っていないですが、もう大丈夫でしょう」とOさん。
 「はい、全然平気で歩けます。ありがとうございます。」と従姉。
 その後、Oさんは、従業員の一人(60歳ぐらいの女性)も診た。彼女は体のあちこちが痛いらしい、Oさんは彼女の首から肩に触れながら、
 「何か大きな悩み事がありますね、それで夜も眠れないのでしょう?」と訊く。
 女性は肯いて、「睡眠薬を飲まないと眠れないのです」と答えた。
 「その思い悩みが体の不調の原因です。あなたは全てを自分の責任と思って悩んでいますが、そうじゃありません。もっと自分を大事にした方が良いですね。」などとユタみたいなことを言う。「診た人のプライバシーまで解る場合があるので、他の人がいるところでは深く話ができないこともあるんですよ。」と我々に向かって言った。
 
 後日、以上の話を整体師Sに報告すると、「武術を極めると整体気功もできるようになるんだろうな、しかし、精神状態まで判るというのはすごいな。隠れた達人だな」などといった感想。パッと見てその人の不具合個所を見抜き、それを数秒で治し、さらには、心の状態まで言い当てる、Sの言う通り達人であることは間違いない。それをまた生業とせず、公にもしない。「隠れた」というのもその通りだと、隠れた凡人の私も思った。
          

 2011.12.9 島乃ガジ丸