翅を閉じてしみじみ
アパートの庭に、職場の庭に、散歩する公園の草原にもシジミチョウはたくさんいる。初めの頃はシジミチョウにもいろんな種類がいることを知らなくて、しかも、シジミチョウの多くは小さいので、老眼の目にはどれも同じもののように見えていた。
シジミチョウにもいろんな種類があることを知ったのは図鑑を見てからだが、翅裏の模様に、ヤマトシジミのように黒い斑点のある地味なものと、白い波線があって、目玉のような模様もある派手目なものとに大きく分ける(私なりに)ことができた。
ところがだ。白い波線があって、目玉のような模様もある派手目なものにもいくつかあって、しかも、名前も似ていて、判別が面倒となっている。ウラナミシジミ、アマミウラナミシジミ、ルリウラナミシジミなど、判る人にはすぐ判るのであろうが、大雑把な性格の私には難しい。蝶に対する愛情が足りないのかもしれない。
オジロシジミは、名前にウラナミと付いていないが、ウラナミ一派に似ている。なので最初は、何とかウラナミという名前であろうと思ったのだが、全然違っていた。似ているから似た名前のものもあり、そうでないのもある。ややこしい。
ウラナミシジミ(裏波蜆):鱗翅目の昆虫
シジミチョウ科 関東以南、沖縄、オーストラリア、他に分布 方言名:ハベル
翅裏に波模様があるシジミチョウなのでウラナミシジミという分りやすい名前。
移動力に優れた能力を持ち、上記の他に北アフリカ、ヨーロッパ中南部、東南アジア、ハワイなどに分布するとある。文献にはイギリス、アフガニスタン、ヒマラヤなどにも移動したとの記載もある。海岸線や荒地に生息し、環境適応能力が高いとのこと。
前翅長15ミリ内外。成虫の出現時期は周年。幼虫の食草はエンドウなど。
翅裏
翅表
オジロシジミ(尾白蜆):鱗翅目の昆虫
シジミチョウ科 奄美諸島、沖縄諸島、先島諸島、他に分布 方言名:ハベル
名前の由来についての資料は無いが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』の写真を見ると、尾状突起の先が白い、よって、オジロ(尾白)とつくものと思われる。シジミ(蜆)は広辞苑にあり「シジミの殻の内面に似ているからいう」とのこと。
『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「ウラナミシジミと生息場所がよく似ており、・・・同じ食草上にこれら2種がいる」とあるが、職場の庭のほぼ同じ場所で、私はその2種の写真を撮っている。ウラナミシジミには翅裏根元付近に黒星模様が無いので判別できる。
前翅長14ミリ内外。幼虫の食草はハマナタマメ、オオヤブツルアズキなど。成虫の出現、先島諸島では周年、沖縄島では3~12月。
分布については『沖縄昆虫野外観察図鑑』にもっと詳しくあり、奄美諸島、沖縄諸島、先島諸島の他、アラビア半島、東南アジア、オーストラリア、ニューギニアなど。
翅裏
翅表
記:ガジ丸 2009.4.1 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
『原色昆虫大図鑑』井上寛・岡野磨瑳郎・白木隆他著、株式会社北隆館発行