ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

キオビエダシャク

2011年10月31日 | 沖縄の動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 食と住まいを失くした理由(わけ)

 さほど大きくない物の長さを計るとき、掌(手の平)を広げて、親指の先と人差し指の先のいくつ分あるかでおおよそを知る。ちなみに、私は人差し指では無く薬指を使う。身長の割(170)に大きな手は、親指から薬指まで広げると25cmある。計算しやすい数字なので重宝している。
 ものさしで長さを計ることを「尺を取る(尺を打つともいう)」という。指で物の長さを計る場合も、「だいたいでいいから、ちょっとそれ、尺取って。」と言ったりする。言われた方は、親指と人差し指(しつこいが、私の場合は薬指)を何度かひょこひょこさせる。それで、尺を取っている、ということになる。
 尺を取っている指の、そのひょこひょこした動きに似ているところから名前のついた虫がいる。シャクトリムシ(尺取虫)。シャクトリムシという名はそのような動きをする虫の俗称であり、正式にはエダシャクトリ(枝尺蠖)などという。エダシャクトリはまた、蛾の一種であるシャクガ科の幼虫の総称となっている。

 親戚の庭に門冠りのイヌマキの木があった。イヌマキは成長が遅いのだが、そこのものは樹齢3、40年もあろうかという太さで、姿も見事な庭木となっていた。
 そのイヌマキが数年前に切り倒された。キオビエダシャクという蛾の幼虫がたびたび大発生し、家人がそれを嫌がって撤去したのであった。イヌマキの幹を足で強く蹴ると、その振動でキオビエダシャクの幼虫が落ちてくる。大発生の時には夥しい数が落ちてくる。落ちては来るが、地面には達しない。幼虫は糸を出し、枝葉にくっついている。振動で体が枝葉から離れても糸はくっついている。糸は幼虫を先につけたまま長く伸びる。たくさんの糸が垂れ下がる。それは、まるでシャワーのように見えるほどなのだ。
 キオビエダシャクの成虫は、翅に橙黄色の帯状紋があってきれいなんだが、その幼虫も色模様がきれいである。おそらく、昆虫に興味のある人(多くは男だろうが)なら皆、そう思うであろう。しかし、女性にとっては色がきれいだろうが何だろうが、虫は虫。多くの女性にとっては、ひょこひょこした動きもまた、気味悪いのかもしれない。
 親戚の家のキオビエダシャクの幼虫たちは、神に授けられた通りの姿と動きをしているだけなのだが、虫に生まれたばかりに、外見が良くないという理由だけで女性に嫌われ、自らの食と住まいを失くしたのであった。哀れなことである。同情するばかりである。

 キオビエダシャク(黄帯枝尺):鱗翅目の昆虫
  シャクガ科 九州南部、沖縄、台湾、東南アジア等に分布 方言名:チャーギムサー
 黒青色の翅の中央に橙黄色の帯状紋があるので、この名がある。方言名のチャーギムサーはチャーギ(イヌマキの沖縄語)のムサー(虫の沖縄語)という単純な意味。
 毎年というわけでは無いが、たびたび大発生する。イヌマキの葉を食い潰し、木を枯らしてしまうこともある。その場合の彼らの食と住まいを失くした理由(わけ)は自業自得ということになる。樹木を愛するものとして、その時は私も同情はしない。
 前翅長50ミリ内外、成虫の出現は3~11月。幼虫の体長は60ミリほど。
 
 成虫 
  
 幼虫1 その季節、イヌマキの枝を捜せば見つけることができる。
  
 幼虫2 糸を出して枝にぶら下がっているものもいる。

 記:ガジ丸 2005.4.13  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

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