ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オートー

2013年11月05日 | 飲食:果物・菓子

 土着のミカン2

 タイトルは忘れたが、沖縄民謡に沖縄に産するミカン類の歌がある。その歌詞にミカンの種類がいろいろ出てきて、タンカン、シークヮーサー、オートー、カーブチーなどの名前があったと記憶している。どれも名前は知っていて、タンカン、シークヮーサーは実物も良く知っており、何度も食べている。が、オートー、カーブチーはそれと知って実物を見たことは無く、それと知って食べたことも無い。
 去年11月、東京在の友人I氏とヤンバルドライブへ出かけた際、宜野座村の道の駅に寄った。そこの野菜売り場にちょうど収穫時期だったようでオートーがあった。カーブチーは?と探したが見当たらなかった。その代わりタルガヨーという聞き慣れない名前のミカンがあった。店の人に「タルガヨーって初めて見ましたが、どういうものですか?」と訊いた。「オートーと○○○との交配種です。オートーより甘みがあるんですよ」との答え。で、両方買って帰る。○○○が何だったかは忘れてしまった。
  オートー、カーブチーは有名で、おそらく私が生まれる前からあったであろう。『沖縄大百科事典』に両方とも載っているが、私の知らなかったタルガヨーは同書に無い。ちなみに、1963年発行の沖縄語辞典にはタルガヨーも含め3種とも記載がある。

 去年食べたオートーは文献の説明通り酸味が強かった。半分はそのまま食ったが、残りの半分は料理や泡盛の香り付けに使った。文献にも10月から11月収穫のものは料理用に向くと書いてあった。甘みが出るのは年明け1月とのこと。
 食べたオートーとタルガヨーの種を播いて、今、300坪の畑なっぴばるにはオートーかタルガヨーか判らないどちらかの苗木が10本植えられている。もしもその内の1本でもオートーであったなら、今度オートーを食べる時は1月に収穫したものを食べてみたいと思っている。実が着くまでに9年かかるが、・・・生きているかなぁ。
      
 オートー(青唐):果樹・添景
 ミカン科の常緑中木 原産地は不明 方言名:オートー
 オートーという名前は沖縄語でこれが和名となっている。名前の由来はいくつかの文献に書かれており、青い唐九年母の意とのこと。唐九年母(中国から来た九年母)という種があり、それの青いものということで青唐と略され、オートーと発音される。ちなみに九年母(クネンボ)はミカン科の常緑低木で、名前の由来を記した資料は手元に無いが、実生からだと結実までに9年を要することからその名があると聞いている。沖縄語では九年母をクニブと発音し、柑橘類の総称となっている。
 果実の大きさは100グラム前後。果皮はなめらかで剥きやすい。カーブチーに比べると酸味が強い。台風や病害虫に強く、結実は安定していて生産性は高い。
 収穫時期は10月中旬から11月下旬だが、この時期は酸味が強いので主に料理用として利用される。1月以降になると熟し、甘みが出る。『沖縄大百科事典』に「種子が多いのが欠点」とあったが、その通りカーブチーに比べても多い。
 写真にあるタルガヨーはオートーと何かの交配種とのこと。

 記:2013.10.26 ガジ丸 →沖縄の飲食目次