ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

既得損益

2014年01月24日 | 通信-沖縄関連

 売買契約の済んでいる実家の家と土地、引渡し予定は今週日曜日(20日)を目処としてあったが、先方(買主)にも多少の都合があり、そして此方(売主の私)にも多々の都合があり、引渡しはまだ、日程も決まっていない。先方の都合にもよるが、1月中には済ませたいと願っている。此方の都合はたぶん、あと2、3日あれば大丈夫。
  此方の都合とは、主に実家の家財道具の片付けであるが、その他、隣地境界の塀の修復もある。実家の花壇に植えてあったカニステルの根が塀を押して、そのせいで傾いてしまったのだ。昨年11月に知合った若者3人が「僕らが直します、任せてください」と言ってくれたので彼らに任せた。12月中には終える予定だったのが延びに延びて、火曜日に見に行ったら、やっとコンクリートの流し込みが終わったところであった。
 隣家の人には「今回の補修も、将来、これが原因で塀が倒れた際の修理もこちらの責任で行う」と約束している。幅90センチほど、奥行き30センチに満たない花壇にカニステルという高木を植えたのがそもそもの間違い。植えたのは父なので責任は父にあるが、父は死んでしまったので私も含め兄弟3人がその責任を相続することになる。

 若者たち3人は実家の片付けについても「僕らがやります、任せてください」と言ってくれた。なのでそれも彼らに任せた。しかし、彼らは庭工事、外構工事(塀や駐車場などを作る仕事)については専門のようだが、片付け仕事には慣れていないようで、これにはたっぷりの時間がかかっている。よって、先週から私もほぼ毎日実家へ行き、片付け作業に加わっている。昨日の段階でやっと先が見えてきた、それにしても疲れた。
          

 そんなこんなで忙しくしている中、今週月曜日の朝、多くの沖縄県民が注目していた名護市長選の結果を聞いた。少し残念に思う結果だった。「大差の勝利」とラジオでは言っていたが、私はダブルスコア位の大差で勝つことを期待していた。そのことを、実家の片付けを手伝っている若者Iに言うと、「いや、違いますよ、僕は大差だと思います。向こうは国のバックアップがあり、組織と金が大きく動いていたんです。それでも5000票差も付けたんです、大差です」と、彼はきっぱり言い、私を諭してくれた。
  「地元がノーと意思表示したんです。それでも国が強引に基地建設を進めようとするなら、沖縄県民は立ち上がるべきです」と彼は続けた。「真っ直ぐな男だなぁ」と私は感心しながら彼の瞳を見ていた。「僕は建設業にいるので、その関係に知合いは多くいて、彼らが公共工事を欲しがっているのもよく解ります。だから、彼らに強くは言えないのですが、でも、基地を作ってしまってはダメです」とも言う。「優しい男でもあるなぁ」と私はさらに感心しつつ、力強く語る彼の口元を眺めていた。「この男のような若者が多くいれば基地建設阻止も夢ではないかもしれない」と期待を抱いた。

 「沖縄には昔から基地はあるんだから、新たな基地建設といったって既にあるのをちょっと移動させるだけで、影響は少ない。他県だと新登場になるから影響は大きい。沖縄は国の言うことに従えばいい」と思う方も多くいるだろう。しかし、沖縄だって辺野古に造ることになったら、それは新たな基地建設に変わりは無いのだ。「昔からあるんだから」は公平な理由じゃない、謂わば既得損益というもの。これは相続したくない。
          

 記:2014.1.24 島乃ガジ丸


ゴイサギ

2014年01月24日 | 動物:鳥

 天皇に認められた鳥

 才色兼備の人妻Mとはたまに会い、たまに電話し、時々メールのやり取りをする。人妻の「人」は私の従姉の息子で、彼が子供の頃はよく遊んでやったので、親戚の中ではごく親しい仲だ。そして、彼が女房を紹介した時、私はすぐに彼女を気に入り、携帯番号を聞き、メールアドレスを聞き、その後は夫よりも女房の方とずっと親しくなったわけ。
 Mの長男はこの4月に中学生となる。畑を初めてから私が忙しくなってあまり遊んでやっていないが、2、3年前までは公園の散歩などに連れて行ったりした。昆虫が好きなので私とも話が合ったのである。彼はまた、切手やコイン集めが好きで、勉強の方では歴史が好きだと聞いている。Mに似て頭が良いらしく、成績もトップクラスらしい。

 実家の片付けをしていて、あちこちにあるたくさんの棚から様々なモノが出てきた。壺類は30個余、掛け軸が4幅、古いコイン、など「なんでも鑑定団」に出せば、もしかしたら値打ちものかもと思われるものもあったが、それらは全て人に譲った。
 掛け軸を入れるような細長い桐の箱、普通の掛け軸よりずっと大きめの箱が一つ、母の部屋の棚の奥から見つかった。「おっ、これこそ鑑定団行きかも」と期待しつつ箱の表を見ると、そこには「歴代天皇御真影・・・」とあった。
 天皇が外国へ行って、その国の人々と友好を深めるといったニュースをテレビで観たことがある。天皇はたいてい歓迎され、尊敬を持ってもてなされているように感じた。なので、「百人の政治家が1千回外国へ行き、1万の握手をするより、天皇の微笑み一つが、外国との心の友好を深めるためには遥かに有効かも知れないな」と私は思った。
 そのように、平和のために尽力されていると十分承知しているが、ウチナーンチュの多くは天皇と歴史的に縁が薄い。なので、「歴代天皇御真影・・・」を貰ってくれる親戚友人知人はいないだろうと思った。「古本屋へ持って行こうか」と思った。
 ところが、正月にM家族が来た時その話をすると、長男が強く興味を示し、「見てみたい」と言い、箱を開け、掛け軸様の巻物を伸ばした。そこには神武天皇から現代までの天皇の肖像画がずらっと並んで描かれていた。長男は目を輝かせた。

  今回紹介するゴイサギ、その説明文(下記)を書いたのは昨年末、その時に、その名の由来は「醍醐天皇が神泉苑の御宴の折、五位の位を与えた故事による名」と広辞苑にあって、「そうか、天皇が認めた鳥であったか」などと思って、ちょうど醍醐天皇という言葉が頭にあった。で、「醍醐天皇って足利尊氏の頃の天皇だっけ?」と、掛け軸に魅入っていたMの長男に訊いた。「全然違うよ、醍醐天皇は菅原道真の頃だよ」と答える。
 「そうだったか、尊氏の頃は後醍醐か?」と、オジサン(私)は恥の上塗りを覚悟して再度質問した。「当り」と長男は笑った。オジサンはホッと胸を撫で下ろした。

 
 ゴイサギ(五位鷺)
 コウノトリ目サギ科の冬鳥または一部留鳥 方言名:ユーガラサー
 名前の由来、サギについてはサギ類の項で前に述べたが、『動物名の由来』に「サギはしばしば集団繁殖してやかましく騒ぎたてることによる」のではないかとあった。「騒がしいこと」の古語が「さやぎ」といい、それが略されたものではないかとのこと。
 ゴイは広辞苑にあり、「醍醐天皇が神泉苑の御宴の折、五位の位を与えた故事による名という」とのこと。五位の位を与えられる前にも名前はあったはずだが、それは不明。方言名のユーガラサーの方はずっと解り易く、夜のカラスという意。本種は夕方から夜間に飛びながらグワッとかガァッ、あるいはゴア、ゴアと大声で鳴く。
 幼鳥は成鳥と見た目が大きく異なるとのことで、全身灰褐色に淡色の星状斑紋があり、そのため別名ホシ(星)ゴイとも呼ばれるとのこと。
 全長58センチの中形のサギ。冬鳥または一部留鳥で、一年中見られる。緑黒色の後頭部に2本の細長い白羽が目立つ。河川や湖沼の岸辺、水田、それらの周辺の林に生息するとのこと。私は沖縄ではまだ見ておらず、愛知の東山動物園の池で見た。

 記:2014.1.23 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行
 『野鳥ガイド』唐沢孝一著、株式会社新星出版社発行
 『沖縄 宮古の野鳥』砂川栄喜著、(有)ボーダーインク発行