ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

手間を掛けるという御馳走

2012年12月07日 | 通信-社会・生活

 埼玉の友人Kが遊びに来て、先々週土曜日(11月24日)、滞在中の友人I氏も一緒にヤンバルへ一泊小旅行へ出かけた。宿泊場所は大宜味村の有機農家Iさん宅。じつはその日、当初の予定では3人で「栄町の飲み屋で一杯」だった。それを急遽変更、変更を提案したのは私。その前の週に知人の有機農家Tさんから「24日に手作りピザ窯を使っての手作りピザパーティーがIさん宅である」と聞いたからだ。
  ピザが私の大好物というわけでは無い。手作りピザ窯に興味があり、それでどの程度上手くピザが焼けるかに関心があった。手作りピザ窯で焼いたピザ、大変旨かった。
 その日、たまたまイノシシの肉が手に入ったということで、ピザ窯によるイノシシ肉のローストも御馳走になった。以前、同じ場所でイノシシ鍋パーティーがあり、それにも参加させて貰ったが、その時Tさんが「イノシシ肉は生肉の場合は焼いて食べた方がまだ旨い」と言っていた。そして、イノシシのローストはその通り非常に旨かった。

 今月24日(よりにもよってクリスマスイブ)に小豆島から友人のOが来沖する。11月12日に「冬休み沖縄いきたい」という短いメールがあり、その後、「こうしたい、あーしたい、どうすればいい?」などと来て、何で一ヶ月も先のことを確定させなければならないんだと内心思いながら「こーすれば、あーすれば」などと返信して、彼の沖縄滞在8泊9日の計画が23日には概ね決まった。しかしその後、Iさん宅でのピザパーティーがあり、ピザもイノシシローストもあんまり旨かったのでOに予定変更を進言した。
 「観光バスで沖縄を巡る2日を変更して、ヤンバルへ行こう。Iさん宅に一泊しよう。もしかしたら手作りピザ窯によるピザとイノシシローストが食えるかもしれない」と。それに対する彼の返事は、もちろん「そりゃあいいですね」だったが、その中に、
 「手作りピザ窯で焼いた手作りピザとイノシシのローストは、むちゃくちゃリッチですね。都会生活よりやはり田舎生活の方が裕福ですよ。」との感想もあった。

  「手作りピザ窯で焼いた手作りピザとイノシシのロースト」は確かに旨い。Oも「美味かろうなぁ」と想像したに違いない。で、少し大げさな感想となったのかもしれないが、私は彼の言う「リッチ」とか「裕福」とかいう言葉に少し違和感を持った。
 広辞苑によるとリッチは「豊かなさま。富裕なさま。贅沢なさま」で、裕福は「富んで生活のゆたかなこと」となっている。英語と日本語の違いだけでほぼ同じ意味だ。
 「いやいや、手作りピザ窯で焼いた手作りピザとイノシシのローストを食べることは、けして富裕でも贅沢でも無いぞ、そういうことのできる田舎生活だって、けして都会生活より富んで豊かなわけでは無いぞ」と私は思ったのだ。

 都会の一流レストランで食べるピザやローストビーフの方がよほど裕福であろう。それらとどちらが美味いかは、私はそういった所でそういったものを食したことが無いので判断できないが、Iさん宅で食べたピザとローストイノシシは最高に美味かった。
 料理そのものの味だけでは無い。ピザ窯を作った手間、ピザを手作りした手間、イノシシを入手した手間、それらを調理した手間、そんなこんなの手間が大いなる御馳走だと私は感じた。心が温かくなる。ちなみに、御馳走とは「もてなし」という意味もある。
          
          

 記:2012.12.7 島乃ガジ丸


コゲラ

2012年12月07日 | 動物:鳥

 初キツツキ

 会ってみたい動物がいる。とても有名だけども日常生活ではなかなか出会えない者、イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ、ノグチゲラなどの天然記念物達。
 そう珍しい者でも天然記念物でも無いけれど有名な動物がいる。ガジ丸HPで動物を紹介するようになる前は、そんなのに会えなくてもどうってことなかったが、HPを始めて以降は会いたいと思い、動物を見たら片っ端から写真を撮ってきた。
 お陰さまで、そんな動物達の多くに出会えた。例えを挙げればキリが無いが、オオコウモリ、イノシシ、サシバ、シジュウカラ、タマムシ、ゾウムシ、ナナフシ、ケラなど。ではあるが、そう珍しい者でも天然記念物でも無いけれど有名な動物、その中にはまだ出会えていない者も多くいる。例えを挙げればキリが無いので、挙げない。

  一つだけ、バッタの王様とも言えるトノサマバッタに私はまだお目にかかっていない。子供の頃から良く知っていて何度も歌っている唄『手の平を太陽に』に出てくるオケラだって、出会えたのは去年(2011年)の夏になってからだ。
 ちなみに今回紹介するコゲラはそのケラの小型の者なんかでは無い。ケラはバッタの仲間の昆虫だが、コゲラは鳥でキツツキの仲間。ずっと会いたいと思っていたキツツキ、コンコンと木を叩くキツツキは漫画やテレビで子供の頃から知っているが、最初に見たのは去年の夏ヤンバルで、その時は写真に撮れなかった。そして二度目は今年の11月、ヤンバル大宜味村で、三度目はその翌日、ヤンバル東村で。いずれも写真を撮れた。

 
 コゲラ(小啄木鳥) 
 キツツキ目キツツキ科の留鳥 沖縄、石垣、西表、他に分布 方言名:キーチッチャー
 コゲラが広辞苑にあり、小啄木鳥と字が充てられてある。啄木鳥はキツツキとも読むがケラとも読む。何故キツツキと言うのか、またケラと言うのかは『動物名の由来』に詳しくあった。「木をつつくからキツツキ」と私は思っていたがそうでは無いようだ。「キツツキの古名はテラツツキで、テラは取(とら)の意で、テラツツキはつついて虫を取る意味。テラツツキがケラツツキになり、下部が省略されてケラ、ケラツツキが略されてケツツキとなり、キツツキと変わった」(要約)とのこと。
 方言名のキーチッチャーは「木をつつく者」という意。ちなみに沖縄のヤンバルに生息する有名なノグチゲラはキーチチチャー、キータタチャーと言う。キーチチチャーは同じく「木をつつく者」で、キータタチャーは「木を叩く者」という意味。
 全長15センチと国内に生息するキツツキの仲間では最小。木を突いて樹皮下の虫を食べる。沖縄島中北部、石垣島、西表島の森林に生息。沖縄島に生息するのはリュウキュウコゲラ、石垣西表に生息するのはオリイコゲラと亜種に分けられている。
 鳴き声は「ギィー、ギィー、ギィー、キッキッキッ」と『沖縄の野鳥』にあったが、私は未確認。コッコッと短く木を叩く。これは何度も確認済み。

 記:2012.12.5 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行