大学生の頃、映研(映画研究会)に所属している親しい友人がいて、映画や映画を製作することについて彼からいろいろ教わった。「ロケハン」という言葉もその一つ。
ロケという言葉はそれまでにもテレビで時折耳にしていて、「野外撮影」という意味だろうな」と認識していたが、ある日その友人が「明日はロケハンなんだ」と言う。野外撮影の班長をやるのかと思って彼にそう尋ねると、彼は笑って「ロケの班長じゃないよ、ローケーションハンティングのことだよ」と答える。ローケーションハンティングと言われても「何じゃい、そりゃあ」の私は、「何じゃい、そりゃあ」と彼に再び訊いた。
それで、ロケとはロケーションの略であり、ローケーションハンティングとは映画用語で「撮影場所を探すこと」であることも教わる。
戦中、あるいは戦後すぐ、沖縄を調査していたアメリカ国防省の要人が「ここはアジアの戦略上キーストーンとなる場所だ」と軍事上のロケハンをし、そう結論して、以来沖縄はアジアの、または世界の軍事上のキーストーンであり続けているのかもしれない。
キーストーンとは日本語にすると「要石」のことで「ある事柄を成り立たせる主要な事物」(広辞苑)ということ。沖縄は地理的にそうであると、アメリカ国防省のロケハン隊が判断し、それは概ね正解だったのであろう。ただ、それは「地理的に」という他にもいろんな条件が加味されての結論だったに違いない。
いろんな条件とは「治安の良さ」、「物資の調達のしやすさ」、「生活のしやすさ」、「若い兵士たちの欲求の捌け口の多少」などがあったであろう。そして、それらの全てに沖縄は優秀であったのだろう。ダントツトップで合格したのであろう。
ところがだ、沖縄はそんなものに・・・アメリカ軍の世界戦略上の基地候補にエントリーしたわけでは無い。それを勝手に合格とされても「何じゃい、そりゃあ」なのだ。
「若い兵士たちの欲求の捌け口」と書いたが、そういう資料も証拠も無い。でも、たぶんあったと思う。兵士たちにとっては従軍慰安婦ならぬ、現地慰安婦となるものだ。
本国から沖縄にやって来たばかりの米海軍兵が沖縄人女性を暴行した。「そういうことをやっても罰せられない」とか、「沖縄人女性は我慢して訴えない」とかの情報がアメリカ兵たちの間に流れているのか、あるいは、「俺たちは優秀な人種だ、下等な沖縄人などどう扱ってもいい」などと思っているのか、バカにすんじゃ無ぇ!と腹が立つ。
沖縄人をバカにしたような米軍人による犯行を無くすには、「そういうことをやったら厳罰に処す」ということにすれば良い。特別な法律を作るのだ。基地を提供している地域でその地域の人に軍人が犯罪を犯したら、通常の数倍の罰に処せばいいのだ。
首里城の手前に守礼の門がある。その門には「守礼の邦」と書かれてある。ウチナーンチュが礼節を守る人種であるかどうかはちょっと疑わしいが、少なくともそうありたいと思っている人は多くいて、何はともあれそういう看板を掲げている邦なのだ。郷に入っては郷に従えという諺の通りアメリカ人も礼を守って欲しいと願う。
嫌だって言っているのにオスプレイを押し付けてくる日本国もまた無礼ではないかと思う。ウチナーンチュを南洋の土人としか思っていないのではないだろうか?
記:2012.10.19 島乃ガジ丸