おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

モテキ

2020-05-22 07:30:26 | 映画
「モテキ」 2011年 日本


監督 大根仁
出演 森山未來 長澤まさみ 麻生久美子
   仲里依紗 真木よう子 新井浩文
   金子ノブアキ リリー・フランキー
   ピエール瀧

ストーリー
31歳の藤本幸世(森山未來)は、金なし夢なし彼女なし。
派遣会社を卒業し、ニュースサイトのライター職として新しい生活を踏み出そうとしているが、結局のところ新しい出会いもないまま。
だがある日突然、“モテキ”が訪れた。
キュートな雑誌編集者・みゆき(長澤まさみ)、清楚で素朴な年上OLるみ子(麻生久美子)、ガールズバーの美人店員・愛(仲里依紗)、美貌のSキャラ先輩社員・素子(真木よう子)というまったくタイプの異なる4人の美女の間で揺れ動く幸世。
「こんなの初めてだ……今まで出会った女の子と全然違う。冷静になれっ、期待しちゃダメだぁ……」
モテキの波を越えて、幸世は本当の恋愛にたどりつくことができるのか……。


寸評
モテキ(モテ期)とは、嘘のようにもてまくる期間のことで、どんな男にも一度はやってくるといわれているらしいのだが僕には思い当たることがない。
まして長澤まさみや麻生久美子といい関係になれるなんて夢のまた夢である。
そんな夢みたいなことを藤本幸世(森山未來)が経験する。
そりゃあこんなに上手く、こんなに素敵な女性とトントン拍子に事が運んでいくなんて、藤本でなくても有頂天になってしまうというものだ。
長澤まさみと言えば、隠れ巨乳として噂され抜群のスタイルをなるべく人目につかぬようにしていた印象があるのだが、本作ではそのプロポーションをいかんなく見せ、胸元もアップで披露している。
真木よう子は正真正銘の巨乳だし、仲里依紗もそれを強調するようなコスチュームで登場する。
麻生久美子も含めて、その路線の女優さんを集めたなと男の僕は思ってしまう。
森山未來と長澤まさみとなれば一世を風靡した「世界の中心で愛を叫ぶ」のコンビだが、断然こちらのほうが魅力的で映画としての出来もいい。
僕は長澤まさみをそれほど評価していないのだが、ここでの彼女はいい。
汚れ役の部類に入るのに、彼女の本性から湧き出る清々しさの様なものが前面に出ていた。

全体としては喜劇であり、下ネタ満載、サブカルチャーのオンパレードといった作りで、いろんなアーティストの恋歌に乗ってストーリーがポップに展開される。
最初に「20代の恋は幻想である。30代の恋は浮気である」というゲーテの言葉が藤本の独白で紹介され、続いて三島由紀夫の「愛することに関しては女はプロで男は素人である」が語られ、「愛というのはどんどん自分を磨いてゆくんだ」と尾崎豊の言葉を独白する。
この森山未來の独白はその後も続くが、それが何とも言えず面白い。
今どきの歌に全くと言っていいぐらい暗い僕だが、挿入される歌に可笑しさをこらえることが出来なかった。
大江千里の「格好悪いふられ方」を流したカラオケビデオ風映像にくすぐられ、パフュームの曲をフィーチャーしたダンスシーンに拍手した。
アイドルグループ”ももクロ”の「走れ!」が流れたかと思いきや、麻生久美子による竹内まりやの「カムフラージュ」も聞けるから、それだけでも楽しくなってしまう作品である。

突如モテ始めたことに対する戸惑いと、流れに身を任せて二股をかけてしまう男の性(さが)。
藤本だけでなく、みゆきだって二股状態だし、みゆきの男だって二股状態で、どうしようもない状況を打破できないでいる。
一途に走ったるみ子だけがボロボロになっていくが、「牛丼おかわり!」の叫び声がスッキリさせる。
本当なら、そんなこんなで浮ついている間にモテ期が終わってしまうと言うのが喜劇的展開だと思うのだが、途中で雰囲気が変わってしまい純愛路線へと転換される。
純愛物はあまり好きでない僕としては、ラストもコメディタッチにしてほしかったという気持ちはある。
でも最初から最後までノリノリになる映画ではあったし、エンドクレジットも作品の雰囲気を締めくくるもので好感が持てた。


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