「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」 1992年 アメリカ
監督 マーティン・ブレスト
出演 アル・パチーノ
クリス・オドネル
ジェームズ・レブホーン
ガブリエル・アンウォー
フィリップ・S・ホフマン
リチャード・ヴェンチャー
サリー・マーフィ
ブラッドリー・ウィットフォード
ロシェル・オリヴァー
ストーリー
全寮制の名門ハイスクール、ベアード校の奨学生チャーリー(クリス・オドネル)は、アルバイトで盲目の退役軍人フランク(アル・パチーノ)の世話を頼まれた。
翌朝、トラクス校長(ジェームズ・レブホーン)が全校生徒の前でペンキまみれにされるというイタズラが起き、校長はその犯人の顔を知るチャーリーと同級生のジョージ(フィリップ・S・ホフマン)を呼びつけ、犯人の名を明かさないと週明けの特別集会で退学を申し渡すと脅し、さらに校長はチャーリーに大学進学の奨学金を交換条件に提示した。
バイトの初日、チャーリーはフランクに無理矢理ニューヨークへの旅に同行させられることになり、一流ホテルや高級レストランを使うその超豪華な旅に仰天した。
フランクはこの旅の最後に自殺すると平然と語り、チャーリーの学校での一件の話を聞くとジョージに裏切られる前に友を売って自分を救えと言う。
翌日フランクはチャーリーと共に郊外に住む兄を訪ねるが、歓迎されずに寂しく立ち去った。
さらに2人の旅は続き、あるホテルのラウンジで、偶然近くに座った美しい女性ドナ(ガブリエル・アンウォー)に近づき、ダンスを申し込んだフランクは優雅なタンゴを披露した。
次の日にはフェラーリに試乗してはしゃぐかと思うとすぐ塞ぎ込むフランクにチャーリーは不安を覚えた。
予告通りフランクは自殺しようとするが、チャーリーの必死の説得で断念し、2人の頬に涙が伝った。
そして旅は終わり特別集会の日がやって来た・・・。
寸評
アル・パチーノの存在感が際立っていて、彼の一人芝居と言ってもいいぐらいの熱演ぶりを見せている。
退役軍人のフランクを演じているのだが、ベトナム戦争時代に手榴弾をもてあそんでいて爆発させ、そのため盲目となっているという設定で、目は開いているが光を失っていることを表現するために視線を動かすことがない。
試しにやってみたが短時間でも無理な作業で、瞳がどうしても動いてしまう。
役者の演技力はスゴイと思わせ、スゴサの根源は目の演技だと気づかされる。
フランクは傲慢な態度を見せ、観客にもその傲慢さに対する嫌悪感を抱かせるのだが、面倒を見ている姪のカレン(サリー・マーフィ)だけは本当は優しくていい人なんだと言っているのは一種の伏線だ。
そして徐々にフランクに内在している優しさや人を見る目の的確さが示されていくのだが、最後まで彼の傲慢な態度が変わることはなく、自信に満ちた態度とは裏腹に、光のない世界で生きる自分に絶望感を抱いている姿が徐々に見え始める脚本はなかなかよくできている。
彼の思いが一番現れるのが兄の一家を訪問する場面だ。
そこでも悪態の限りを尽くすのだが、それは兄との別れを意識してのもので、最後に兄に謝って去っていくシーンに象徴されていた。
兄の息子である甥はフランクをなじるが、兄は甥の言動を制止するわけでもなく、また弟を非難するようなこともしていないので、この兄弟の間には兄弟として理解し合えるものがあったのではないかと思う。
フランクは兄に最後の別れを言いに来たのだが、傲慢な彼は素直になれない。
そしてやっと兄に許しの言葉を伝えて去っていく場面は僕の好きなシーンの一つになっている。
最も輝いているのは、やはりフランクがドナとタンゴを踊るシーンだ。
まずドナのガブリエル・アンウォーの美貌が目を引き付ける。
「タンゴは足がもつれても踊り続ければいいんだ」と言って踊りだすが、このダンスシーンにうっとりしてしまい、思わず笑みがこぼれてしまうといういいシーンとなっている。
フランクもドナも幸せな時間を共有しているような気がした。
遅れてやって来たドナの彼氏はドナの相手には不足と思われるサエない男で、人を待たせているから出ようと言ってドナを連れ出していくが、それは口実で姑息な男を印象付ける。
この男に比べればはるかにフランクの方が好人物だ。
フランクは目が見えない代わりに嗅覚が発達していて香水の銘柄を言い当てる場面がいくつも用意されている。
「セント・オブ・ウーマン」というタイトルもそこから来ているのだが、このタイトルは中身を表しているとは言い難い。
フランクは最後に演説をぶち「チャーリーは決して自分の徳のために友を売る人間ではない。それが人間の持つ高潔さだ!それが勇気だ。指導者が持つべき資質はそれだ。チャーリーも岐路に直面した。そして彼は正しい道を選んだ。真の人間を形成する信念の道を。それは困難な道だ。しかし、さあ彼の旅を続けさせてやろう」と訴え、政治学の先生からも支持される。
この先生とのやり取りにも香水が出てきて、なかなか粋な会話となっている。
フランクの発する言葉が魅力的な傑編で、「A・パチーノは見事!」というほかない。
監督 マーティン・ブレスト
出演 アル・パチーノ
クリス・オドネル
ジェームズ・レブホーン
ガブリエル・アンウォー
フィリップ・S・ホフマン
リチャード・ヴェンチャー
サリー・マーフィ
ブラッドリー・ウィットフォード
ロシェル・オリヴァー
ストーリー
全寮制の名門ハイスクール、ベアード校の奨学生チャーリー(クリス・オドネル)は、アルバイトで盲目の退役軍人フランク(アル・パチーノ)の世話を頼まれた。
翌朝、トラクス校長(ジェームズ・レブホーン)が全校生徒の前でペンキまみれにされるというイタズラが起き、校長はその犯人の顔を知るチャーリーと同級生のジョージ(フィリップ・S・ホフマン)を呼びつけ、犯人の名を明かさないと週明けの特別集会で退学を申し渡すと脅し、さらに校長はチャーリーに大学進学の奨学金を交換条件に提示した。
バイトの初日、チャーリーはフランクに無理矢理ニューヨークへの旅に同行させられることになり、一流ホテルや高級レストランを使うその超豪華な旅に仰天した。
フランクはこの旅の最後に自殺すると平然と語り、チャーリーの学校での一件の話を聞くとジョージに裏切られる前に友を売って自分を救えと言う。
翌日フランクはチャーリーと共に郊外に住む兄を訪ねるが、歓迎されずに寂しく立ち去った。
さらに2人の旅は続き、あるホテルのラウンジで、偶然近くに座った美しい女性ドナ(ガブリエル・アンウォー)に近づき、ダンスを申し込んだフランクは優雅なタンゴを披露した。
次の日にはフェラーリに試乗してはしゃぐかと思うとすぐ塞ぎ込むフランクにチャーリーは不安を覚えた。
予告通りフランクは自殺しようとするが、チャーリーの必死の説得で断念し、2人の頬に涙が伝った。
そして旅は終わり特別集会の日がやって来た・・・。
寸評
アル・パチーノの存在感が際立っていて、彼の一人芝居と言ってもいいぐらいの熱演ぶりを見せている。
退役軍人のフランクを演じているのだが、ベトナム戦争時代に手榴弾をもてあそんでいて爆発させ、そのため盲目となっているという設定で、目は開いているが光を失っていることを表現するために視線を動かすことがない。
試しにやってみたが短時間でも無理な作業で、瞳がどうしても動いてしまう。
役者の演技力はスゴイと思わせ、スゴサの根源は目の演技だと気づかされる。
フランクは傲慢な態度を見せ、観客にもその傲慢さに対する嫌悪感を抱かせるのだが、面倒を見ている姪のカレン(サリー・マーフィ)だけは本当は優しくていい人なんだと言っているのは一種の伏線だ。
そして徐々にフランクに内在している優しさや人を見る目の的確さが示されていくのだが、最後まで彼の傲慢な態度が変わることはなく、自信に満ちた態度とは裏腹に、光のない世界で生きる自分に絶望感を抱いている姿が徐々に見え始める脚本はなかなかよくできている。
彼の思いが一番現れるのが兄の一家を訪問する場面だ。
そこでも悪態の限りを尽くすのだが、それは兄との別れを意識してのもので、最後に兄に謝って去っていくシーンに象徴されていた。
兄の息子である甥はフランクをなじるが、兄は甥の言動を制止するわけでもなく、また弟を非難するようなこともしていないので、この兄弟の間には兄弟として理解し合えるものがあったのではないかと思う。
フランクは兄に最後の別れを言いに来たのだが、傲慢な彼は素直になれない。
そしてやっと兄に許しの言葉を伝えて去っていく場面は僕の好きなシーンの一つになっている。
最も輝いているのは、やはりフランクがドナとタンゴを踊るシーンだ。
まずドナのガブリエル・アンウォーの美貌が目を引き付ける。
「タンゴは足がもつれても踊り続ければいいんだ」と言って踊りだすが、このダンスシーンにうっとりしてしまい、思わず笑みがこぼれてしまうといういいシーンとなっている。
フランクもドナも幸せな時間を共有しているような気がした。
遅れてやって来たドナの彼氏はドナの相手には不足と思われるサエない男で、人を待たせているから出ようと言ってドナを連れ出していくが、それは口実で姑息な男を印象付ける。
この男に比べればはるかにフランクの方が好人物だ。
フランクは目が見えない代わりに嗅覚が発達していて香水の銘柄を言い当てる場面がいくつも用意されている。
「セント・オブ・ウーマン」というタイトルもそこから来ているのだが、このタイトルは中身を表しているとは言い難い。
フランクは最後に演説をぶち「チャーリーは決して自分の徳のために友を売る人間ではない。それが人間の持つ高潔さだ!それが勇気だ。指導者が持つべき資質はそれだ。チャーリーも岐路に直面した。そして彼は正しい道を選んだ。真の人間を形成する信念の道を。それは困難な道だ。しかし、さあ彼の旅を続けさせてやろう」と訴え、政治学の先生からも支持される。
この先生とのやり取りにも香水が出てきて、なかなか粋な会話となっている。
フランクの発する言葉が魅力的な傑編で、「A・パチーノは見事!」というほかない。
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