「早春物語」 1985年 日本
監督 澤井信一郎
出演 原田知世 林隆三 田中邦衛
由紀さおり 仙道敦子 平幹二朗
宮下順子 秋川リサ 小林稔侍
ストーリー
沖野瞳( 原田知世)は17歳で鎌倉北高校写真部に所属しているが、母は数年前に死亡し、もうすぐ父( 田中邦衛)は大宅敬子(由紀さおり)という女性と再婚することになっている。
春休みになり、瞳はカメラをかかえて鎌倉の町を歩き、とある寺の参道前で格好の被写体を見つけた。
被写体の邪魔になる車をどけてもらったことがきっかけで、瞳は42歳の独身男性・梶川(林隆三)と知り合った。
梶川のパーティに誘われた瞳は、石原貴子(秋川リサ)という女性の態度に嫉妬めいたものを感じた。
母の命日の墓参りから戻った瞳は、母と一緒に梶川らしい男が写っている写真を発見した。
看護婦をしている母の友人松浦純子(宮下順子)に会い、20年前に母と梶川はつきあっていたが、梶川は母と仕事をはかりにかけて母を捨てたのだと聞かされた。
複雑な気持で瞳は梶川と箱根へドライブをし、かつて母と梶川が写真を撮った同じ場所へ行く。
その夜、ワインを飲んですねる瞳を梶川は抱きキスをした。
それからしばらくして、瞳はかつて母と梶川がデートした思い出の喫茶店に彼を呼び出して詰問した。
夜、梶川は20年前の真相を語った。
母と彼は愛しあっていたが、母の友人も彼に恋していて、二人の仲を知ると絶望して自殺した。
それで、二人は結婚をあきらめたのだという。
同級生の真佐子(早瀬優香子)が教師の横谷と心中死し、その葬式の後、瞳と梶川は海岸を散歩し、梶川は今の会社をやめ、友人の会社に入ってやり直すと語った。
成田空港からアメリカにたとうとしていた梶川の前に瞳が現われた。
梶川は瞳に君を本心から愛してると言った。
新学期が始まり、経験しちゃったという麻子(仙道敦子)に、瞳はそれだけじゃ女になれないのよと答える。
寸評
当時角川三人娘ということで、薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子の3人が有名だった。
澤井信一郎が前年にとった「Wの悲劇」が悪くなくって、こちらは薬師丸ひろ子が主演だった。
今回は同じく澤井信一郎が原田知世を使って撮りあげているのだが、しっとりしていて最後まで見てしまう出来栄えとなっている。
そうなんだけど、僕は最後まで見ている割にはどこか乗り切れないものを感じてしまう。
教師と恋に落ち心中してしまった真佐子の葬儀の場面が端的なのだが、原田知世の瞳、 仙道敦子の麻子、 早瀬優香子の真佐子は他の高校生と全く違う別世界に居るように感じてしまって、どうもしっくりしない。
原田知世を際立たせるためなのか、ヘアスタイルであるとか服装であるとかが高校生離れをしていると感じてしまって、普通の高校生はあんな服を着ないだろうとクレームをつけたくなってしまうのだ。
原田知世の役どころは写真部に属する高校生である。
ストーリーとしては、その高校生が亡き母の恋人だった男に恋をし、ホテルまで行くが最後の一線を越えずに帰ってきてしまい、最後はお互いの気持ちを確かめ合いながら別れていくという他愛のないものだが、僕には17歳の思春期の女の子の話に思えない。
原田知世を可愛く見せるために、僕には女子高校生という設定を壊してしまっているように思えてしまうのだが、原田知世ファンにとってはそこがいいのだろう。
麻子には大学生の恋人がおり、真佐子は通っている学校の先生とスキャンダルを起こしている。
僕の高校時代のクラスメートにも男性経験がありそうな女子が一人いて、僕たちは根拠もないそんな噂話をしていたのだが、大人びた雰囲気の子は確かにいた。
女子高の教師をしていた従兄から、同僚の家に一方的な恋心で押しかけた女の子がいたとも聞いた。
僕の担任だった英語の先生は教え子と結婚された。
ここで描かれた話はありそうな話ではある。
しかしどうも僕には絵空事のように感じてしまうところがあって、その為に乗ろ切れないのだろう。
瞳の父親は見合いだが一目ぼれして結婚している。
亡くなった妻がずっと思っていた男がいたことを知っていて、それが梶川だったとわかるシーンがある。
しかし、一生を通じて愛した人の存在を結婚相手に話すことなど絶対にない。
妻にとっては黙して語らない過去の想い出だったはずで、どうして父親はそのことを知ったのだろう。
ありえない事のように思うのだが、逆に梶川が瞳に話す「本当に好きなら、なかなか話せないものだ」という言葉はすごくよくわかるし、それが青春の恋だ。
瞳には父親の再婚話への抵抗もあり、認めてはいるものの再婚相手の女性への受け入れがたい気持ちもある。
二人のバトルは面白いと思ったが、本筋ではないので広がりを見せていない。
父親の再婚相手となる由紀さおりの登場シーンは多くないが、なかなかいい芝居を見せている。
ラストのナレーション的な会話。
「ついに経験しちゃった。女になったのよ、私」と言う麻子に、瞳は「経験だけじゃ、女になれないわよ」よ返す。
「なにそれ?」と聞く麻子に瞳は「私、過去のある女になったのよ」と答える。
これだけは原田知世に似合っていた。
監督 澤井信一郎
出演 原田知世 林隆三 田中邦衛
由紀さおり 仙道敦子 平幹二朗
宮下順子 秋川リサ 小林稔侍
ストーリー
沖野瞳( 原田知世)は17歳で鎌倉北高校写真部に所属しているが、母は数年前に死亡し、もうすぐ父( 田中邦衛)は大宅敬子(由紀さおり)という女性と再婚することになっている。
春休みになり、瞳はカメラをかかえて鎌倉の町を歩き、とある寺の参道前で格好の被写体を見つけた。
被写体の邪魔になる車をどけてもらったことがきっかけで、瞳は42歳の独身男性・梶川(林隆三)と知り合った。
梶川のパーティに誘われた瞳は、石原貴子(秋川リサ)という女性の態度に嫉妬めいたものを感じた。
母の命日の墓参りから戻った瞳は、母と一緒に梶川らしい男が写っている写真を発見した。
看護婦をしている母の友人松浦純子(宮下順子)に会い、20年前に母と梶川はつきあっていたが、梶川は母と仕事をはかりにかけて母を捨てたのだと聞かされた。
複雑な気持で瞳は梶川と箱根へドライブをし、かつて母と梶川が写真を撮った同じ場所へ行く。
その夜、ワインを飲んですねる瞳を梶川は抱きキスをした。
それからしばらくして、瞳はかつて母と梶川がデートした思い出の喫茶店に彼を呼び出して詰問した。
夜、梶川は20年前の真相を語った。
母と彼は愛しあっていたが、母の友人も彼に恋していて、二人の仲を知ると絶望して自殺した。
それで、二人は結婚をあきらめたのだという。
同級生の真佐子(早瀬優香子)が教師の横谷と心中死し、その葬式の後、瞳と梶川は海岸を散歩し、梶川は今の会社をやめ、友人の会社に入ってやり直すと語った。
成田空港からアメリカにたとうとしていた梶川の前に瞳が現われた。
梶川は瞳に君を本心から愛してると言った。
新学期が始まり、経験しちゃったという麻子(仙道敦子)に、瞳はそれだけじゃ女になれないのよと答える。
寸評
当時角川三人娘ということで、薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子の3人が有名だった。
澤井信一郎が前年にとった「Wの悲劇」が悪くなくって、こちらは薬師丸ひろ子が主演だった。
今回は同じく澤井信一郎が原田知世を使って撮りあげているのだが、しっとりしていて最後まで見てしまう出来栄えとなっている。
そうなんだけど、僕は最後まで見ている割にはどこか乗り切れないものを感じてしまう。
教師と恋に落ち心中してしまった真佐子の葬儀の場面が端的なのだが、原田知世の瞳、 仙道敦子の麻子、 早瀬優香子の真佐子は他の高校生と全く違う別世界に居るように感じてしまって、どうもしっくりしない。
原田知世を際立たせるためなのか、ヘアスタイルであるとか服装であるとかが高校生離れをしていると感じてしまって、普通の高校生はあんな服を着ないだろうとクレームをつけたくなってしまうのだ。
原田知世の役どころは写真部に属する高校生である。
ストーリーとしては、その高校生が亡き母の恋人だった男に恋をし、ホテルまで行くが最後の一線を越えずに帰ってきてしまい、最後はお互いの気持ちを確かめ合いながら別れていくという他愛のないものだが、僕には17歳の思春期の女の子の話に思えない。
原田知世を可愛く見せるために、僕には女子高校生という設定を壊してしまっているように思えてしまうのだが、原田知世ファンにとってはそこがいいのだろう。
麻子には大学生の恋人がおり、真佐子は通っている学校の先生とスキャンダルを起こしている。
僕の高校時代のクラスメートにも男性経験がありそうな女子が一人いて、僕たちは根拠もないそんな噂話をしていたのだが、大人びた雰囲気の子は確かにいた。
女子高の教師をしていた従兄から、同僚の家に一方的な恋心で押しかけた女の子がいたとも聞いた。
僕の担任だった英語の先生は教え子と結婚された。
ここで描かれた話はありそうな話ではある。
しかしどうも僕には絵空事のように感じてしまうところがあって、その為に乗ろ切れないのだろう。
瞳の父親は見合いだが一目ぼれして結婚している。
亡くなった妻がずっと思っていた男がいたことを知っていて、それが梶川だったとわかるシーンがある。
しかし、一生を通じて愛した人の存在を結婚相手に話すことなど絶対にない。
妻にとっては黙して語らない過去の想い出だったはずで、どうして父親はそのことを知ったのだろう。
ありえない事のように思うのだが、逆に梶川が瞳に話す「本当に好きなら、なかなか話せないものだ」という言葉はすごくよくわかるし、それが青春の恋だ。
瞳には父親の再婚話への抵抗もあり、認めてはいるものの再婚相手の女性への受け入れがたい気持ちもある。
二人のバトルは面白いと思ったが、本筋ではないので広がりを見せていない。
父親の再婚相手となる由紀さおりの登場シーンは多くないが、なかなかいい芝居を見せている。
ラストのナレーション的な会話。
「ついに経験しちゃった。女になったのよ、私」と言う麻子に、瞳は「経験だけじゃ、女になれないわよ」よ返す。
「なにそれ?」と聞く麻子に瞳は「私、過去のある女になったのよ」と答える。
これだけは原田知世に似合っていた。
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