「踊る大捜査線 THE MOVIE」 1998年 日本
監督 本広克行
出演 織田裕二 柳葉敏郎 深津絵里 水野美紀
いかりや長介 ユースケ・サンタマリア
佐戸井けん太 小林すすむ 北村総一朗
小野武彦 斉藤暁 浜田晃 筧利夫
小泉今日子 神山繁 隆大介 木村多江
ストーリー
お腹に熊のぬいぐるみを詰められ川に委棄された男の殺人事件と、刑事課のデスクから領収書や小銭入れなどが盗まれる窃盗事件の捜査で慌ただしい湾岸署に、その日、警察庁参事官の室井を筆頭とした本庁の面々が物々しい装備でやって来る。
実は、湾岸署管轄内に住む警視庁の吉田副総監が身代金目的の誘拐にあっていたのだ。
本庁の連中は秘密裡に捜査を進めるばかりで、一切湾岸署には協力を求めようとはしない。
そんな彼らのやり方に腹を立てながらも、湾岸署の刑事は殺人事件の捜査に躍起になっていたが、真下刑事と捜査講習を終えたばかりの桂木刑事によって、被害者がインターネットで仮想殺人のホームページに頻繁にアクセスしていたことを知った青島は、そのホームページの開発者・テディとの接触を図る。
同じ頃、室井たちは誘拐犯との身代金の受け渡しを実行に移そうとしていたが計画は失敗。
一方、青島たちも実はテディと名乗る人物が女であることを突き止めながら、彼女を取り逃がしてしまう。
そんな中、誘拐犯グループから、副総監殺害を予告する電話が入った。
室井たち本庁捜査陣は、仕方なく公開捜査に切り替え、湾岸署の刑事たちにも出動命令を下す。
その時、湾岸署に拳銃を持ったテディこと殺人マニアの日向真奈美が姿を現した。
不適な笑みを浮かべる彼女は、殺人を犯した自分を早く逮捕し、死刑台へ連れて行けと言う。
ひとりの警官の活躍で彼女を逮捕することに成功する青島だったが、その警官は制服を巧みに使用して、所内で領収書以外の小銭入れなどの窃盗を働いていた犯人でもあったのだ。
しかし、誘拐犯の方は未だなんの手がかりも得られていない・・・。
寸評
マニュアル通りに動き縄張り意識の強い官僚と現場の刑事たちの対比が面白い。
所轄の刑事たちが複数の事件を担当しながらてんてこ舞いするのだが、本庁と同様に所轄警察である湾岸署にも上層部として北村総一朗の署長や斉藤暁の副署長、小野武彦の袴田が道化役として登場し実働部隊を引っ掻き回して混乱に輪をかける。
この三人が「踊る大捜査線シリーズ」の映画としての性格付けを行っている。
深津絵里も絡ませて硬派な刑事物ではない、喜劇的要素を加味した気楽な作品でテレビ向きではある。
張り込み捜査をしている青島達の犯人逮捕と思わせておいて、実は警視副総監の接待に駆り出されていたという出だしから半分喜劇の様相を呈している。
それが副総監誘拐の伏線となっているとは言え、このバカバカしさがこの映画を肩の凝らない娯楽作に押し上げていて、観客は理屈をこねずに単純に楽しまないといけない。
猟奇事件は添え物的だが、その犯人をこの人がやるのかと驚かされる。
そしてこの犯人は「羊たちの沈黙」におけるレクター博士を多分に意識した描きかたをしている。
いわば知っている人には分かる楽屋落ちだ。
襲われて監禁された和久さん(いかりや長介)の居場所を発見するシーンは黒沢明の「天国と地獄」で、こちらは青島が「天国と地獄か・・・」と言葉を発している。
作り手が楽しんでいる感じだ。
署内で起きた窃盗事件は猟奇事件の犯人逮捕と、領収書紛失の顛末を描くために挿入されているという印象で、騒ぎの割には軽い扱いだ。
制服を着ていればだれも疑わないと言う揶揄が面白い。
複数事件を同時進行で描いて、警察庁本部と違って所轄警察がバタクサイ事件を何件も必死で解決しようとして走り回っている姿を感じさせてる。
それは捜査本部に陣取って本庁の上司の命令を受けながら指示だけ出しているエリートとの対比でもある。
室井はその板挟みになっている立場なのだが、和久さんが自分と副総監の関係を話すことで青島と室井の溝を埋めるている。
和久さんはたたき上げの刑事の象徴である。
「何がマニュアルだ!」と言って、禁止されている現場の聞き込み捜査をやっている。
青島も決め台詞である「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」という叫びも同様で、本当に働いているのは下っ端の人間なんだという主張である。
下っ端の代表格が青島なのだ。
青島が重傷を負っているという報告を聞かずに解散してしまう上層部に対し、下っ端の警察官たちが敬意をもって青島を迎えるシーンが感動を呼ぶ。
で、犯人だが、こういうバカを何とかしてほしい。
同じ悪さでも、やっていいことと悪いことの判別がつかない輩が増殖しているような気がする。
監督 本広克行
出演 織田裕二 柳葉敏郎 深津絵里 水野美紀
いかりや長介 ユースケ・サンタマリア
佐戸井けん太 小林すすむ 北村総一朗
小野武彦 斉藤暁 浜田晃 筧利夫
小泉今日子 神山繁 隆大介 木村多江
ストーリー
お腹に熊のぬいぐるみを詰められ川に委棄された男の殺人事件と、刑事課のデスクから領収書や小銭入れなどが盗まれる窃盗事件の捜査で慌ただしい湾岸署に、その日、警察庁参事官の室井を筆頭とした本庁の面々が物々しい装備でやって来る。
実は、湾岸署管轄内に住む警視庁の吉田副総監が身代金目的の誘拐にあっていたのだ。
本庁の連中は秘密裡に捜査を進めるばかりで、一切湾岸署には協力を求めようとはしない。
そんな彼らのやり方に腹を立てながらも、湾岸署の刑事は殺人事件の捜査に躍起になっていたが、真下刑事と捜査講習を終えたばかりの桂木刑事によって、被害者がインターネットで仮想殺人のホームページに頻繁にアクセスしていたことを知った青島は、そのホームページの開発者・テディとの接触を図る。
同じ頃、室井たちは誘拐犯との身代金の受け渡しを実行に移そうとしていたが計画は失敗。
一方、青島たちも実はテディと名乗る人物が女であることを突き止めながら、彼女を取り逃がしてしまう。
そんな中、誘拐犯グループから、副総監殺害を予告する電話が入った。
室井たち本庁捜査陣は、仕方なく公開捜査に切り替え、湾岸署の刑事たちにも出動命令を下す。
その時、湾岸署に拳銃を持ったテディこと殺人マニアの日向真奈美が姿を現した。
不適な笑みを浮かべる彼女は、殺人を犯した自分を早く逮捕し、死刑台へ連れて行けと言う。
ひとりの警官の活躍で彼女を逮捕することに成功する青島だったが、その警官は制服を巧みに使用して、所内で領収書以外の小銭入れなどの窃盗を働いていた犯人でもあったのだ。
しかし、誘拐犯の方は未だなんの手がかりも得られていない・・・。
寸評
マニュアル通りに動き縄張り意識の強い官僚と現場の刑事たちの対比が面白い。
所轄の刑事たちが複数の事件を担当しながらてんてこ舞いするのだが、本庁と同様に所轄警察である湾岸署にも上層部として北村総一朗の署長や斉藤暁の副署長、小野武彦の袴田が道化役として登場し実働部隊を引っ掻き回して混乱に輪をかける。
この三人が「踊る大捜査線シリーズ」の映画としての性格付けを行っている。
深津絵里も絡ませて硬派な刑事物ではない、喜劇的要素を加味した気楽な作品でテレビ向きではある。
張り込み捜査をしている青島達の犯人逮捕と思わせておいて、実は警視副総監の接待に駆り出されていたという出だしから半分喜劇の様相を呈している。
それが副総監誘拐の伏線となっているとは言え、このバカバカしさがこの映画を肩の凝らない娯楽作に押し上げていて、観客は理屈をこねずに単純に楽しまないといけない。
猟奇事件は添え物的だが、その犯人をこの人がやるのかと驚かされる。
そしてこの犯人は「羊たちの沈黙」におけるレクター博士を多分に意識した描きかたをしている。
いわば知っている人には分かる楽屋落ちだ。
襲われて監禁された和久さん(いかりや長介)の居場所を発見するシーンは黒沢明の「天国と地獄」で、こちらは青島が「天国と地獄か・・・」と言葉を発している。
作り手が楽しんでいる感じだ。
署内で起きた窃盗事件は猟奇事件の犯人逮捕と、領収書紛失の顛末を描くために挿入されているという印象で、騒ぎの割には軽い扱いだ。
制服を着ていればだれも疑わないと言う揶揄が面白い。
複数事件を同時進行で描いて、警察庁本部と違って所轄警察がバタクサイ事件を何件も必死で解決しようとして走り回っている姿を感じさせてる。
それは捜査本部に陣取って本庁の上司の命令を受けながら指示だけ出しているエリートとの対比でもある。
室井はその板挟みになっている立場なのだが、和久さんが自分と副総監の関係を話すことで青島と室井の溝を埋めるている。
和久さんはたたき上げの刑事の象徴である。
「何がマニュアルだ!」と言って、禁止されている現場の聞き込み捜査をやっている。
青島も決め台詞である「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」という叫びも同様で、本当に働いているのは下っ端の人間なんだという主張である。
下っ端の代表格が青島なのだ。
青島が重傷を負っているという報告を聞かずに解散してしまう上層部に対し、下っ端の警察官たちが敬意をもって青島を迎えるシーンが感動を呼ぶ。
で、犯人だが、こういうバカを何とかしてほしい。
同じ悪さでも、やっていいことと悪いことの判別がつかない輩が増殖しているような気がする。
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