2019/1/1より始めておりますので10日ごとに記録を辿ってみます。
興味のある方はバックナンバーからご覧下さい。
2019/9/1は「青春の殺人者」で、以下「青春の蹉跌」「関の彌太ッペ」「セッション」「切腹」「接吻」「瀬戸内少年野球団」「セルピコ」「ゼロ・ダーク・サーティ」「戦場にかける橋」と続きました。
「ブルース・リー/死亡遊戯」 1978年 香港
監督 ロバート・クローズ
出演 ブルース・リー ギグ・ヤング ディーン・ジャガー
コリーン・キャンプ ヒュー・オブライアン
カリーム・アブドゥル=ジャバー ダン・イノサント
ストーリー
人気最高のスター、ビリー(ブルース・リー)は熱狂的なファンのアイドルであり、また国際的犯罪シンジケートの注目をあびていた。
シンジケートのボスであるランド(ディーン・ジャガー)は、人気タレントを食いものにしようとしている。
そして彼の右腕のスタイナー(ヒュー・オブライエン)は、一見紳士風であるが執念深い男であり、今日も撮影所でビリーと会い、シンジケートと契約を結ばせようとしていた。
ビリーは人気歌手でもある恋人のアン(コリーンC・キャンプ)のことが気になっていた。
ある日、ビリーに対して苛立っていたランドは最後通告として、スタンナーに彼を襲わせた。
ビリーは古くからの友人でUPIの特派員ジム(ギグ・ヤング)に相談するが、彼も頼りにならない。
そんなビリーを、ランドの部下でカラテのチャンピオン、カール(ロバート・ウォール)が襲う。
これ以上受身になっているわけにもいかず、ついにビリーは闘う決心をし、アンに身の安全のため一時アメリカへ帰国することを勧める。
愛する人をほっておいて、帰国することは出来ないアンはビリーと共に撮影所入りする。
しかし、そのクライマックスの撮影日、ビリーは撃たれた。
どうにか一命はとりとめたものの、ビリーはこれを逆手にとり、死んだことにして、ランドと対戦しようとした。
影の存在となり、ビリーはランドを襲ったが、それが失敗に終わり、ランドはビリーが生きていることを知る。
ビリーとアンの電話を盗聴していたランドは、その約束の場所でアンを捕えた。
寸評
ブルース・リーが1972年秋にクライマックスのアクション・シーンのみを撮影した後に急逝したことにより未完となていた作品にリーの代役としてユン・ワーやユン・ピョウを使って追加撮影して完成させた作品なので、これをブルース・リー主演作品とするには無理があるだろう。
過去の作品フィルムなどを組み合わせて何とか体裁を繕っている。
冒頭のビリーが「ドラゴンへの道」を撮影している場面で、撮影中に天井から照明が落下してきてビリーが狙われていることが示され、ストレートに悪の組織の暗躍が描かれる。
「ドラゴン怒りの鉄拳」のラストシーンの撮影中にビリーが空砲ではなく実弾により顔を撃たれるなど、彼の主演作品が取り込まれている。
ビリーが死んだことにして盛大な葬儀が執り行われるが、このシーンは彼の死を悼んで葬儀に集まったファンを映した実写と思われる。
顔を怪我したという設定だし、ブルース・リーがすでに他界していたので、ここからのビリーの役は代役で、変装させたりヘルメットをかぶらせたりしてごまかしている。
そう思って見ているわけではないが、カンフーの動きは全く別人を思わせるもので淋しさを感じる。
違和感を感じた時、攻撃前のポーズや動きは彼独特のものだったのだと気付く。
怒りを体いっぱいに表す力強い腕の動きと、顔の表情は彼独特のもので、それが欠如しているので興味半減なのだが、代役とあっては致し方のないことだろう。
ビリーはドクター・ランドの誘いを断っているので、彼の配下によって度々襲われている。
襲ってくるのがチンピラのような存在なのに、相手の人数が多いとはいえ予想に反して倒されている。
それがビリーの見せかけなら納得するのだが、見ている限りにおいてはビリーがやられたように見える。
滅茶苦茶強いビリーという感じではない。
そのビリーが最後で強敵を次々倒すのは、あまりにも変わり過ぎではないのかと茶々を入れたくなる。
映画最大の見せ場は長身のハキムとの死闘である。
そのハキムを演じているカリーム・アブドゥル=ジャバーはもとNBAのレイカーズで活躍していた名選手である。
リーがアメリカ時代に拳法を教えていた弟子で、たまたま香港に休暇の為に滞在中に、リーから出演依頼を受けての出演だったらしい。
ハキムを絞め殺すシーンのリーのアップでは過去のフィルムが使われているが、やはりリーによる怒りの表情は彼しか出来ないものだと分かる。
ハキムに比べれば残ったスタイナーは物の数ではないし、ボスのドクター・ランドに至っては年齢もあり戦う相手ではない。
したがってドクター・ランドの最後は彼に相応しいもので、その演出に違和感はない。
とは言え、余韻を残すラストシーンにしてほしかったと言う望みはあるのだが、リーが故人となってしまっていては望むのが無理なのかもしれない。
最後は彼への惜別をファンに送るように、主演作の数々のシーンがエンド・クレジットと共に挿入される。
一時期におけるブームと人気だったが、映画史に残るスターだったことは間違いない。
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