おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ダーティハリー3

2024-06-03 07:10:27 | 映画
「ダーティハリー3」 1976年


監督 ジェームズ・ファーゴ
出演 クリント・イーストウッド タイン・デイリー
   ハリー・ガーディノ ブラッドフォード・ディルマン
   アルバート・ポップウェル デヴェレン・ブックウォルター
   ジョン・クロフォード ジョン・ミッチャム

ストーリー
サンフランシスコ市警殺人課のハリー・キャラハンは、相棒のフランクと市内をパトロール中、酒屋に押し入った強盗事件に駆り出された。
現場に直行したハリーは強盗一味の要求の一つである車に乗るやいなや、そのまま店の中に突っ込み、慌てふためいている犯人たちにハリーの愛銃マグナム44を見舞った。
ところが、ハリーの事件処理の仕方が乱暴だということで刑事課長に怒鳴られ、人事課に配属されてしまった。
そんなある日、ボビー・マックスウェルをリーダーとする若い過激派グループが、陸軍の兵器庫に押し入り、ダイナマイト、自動小銃、新型バズーカ砲を盗み出した。
しかも、パトロール中に異常に気付いたフランクに重傷を負わせ、そのまま逃走した。
殺人課に戻ったハリーのフランクに替わる相棒として、刑事に昇進したばかりの女性、ムーアが付けられた。
過激派の行動は意外に早く開始され、警察署のトイレが爆破された。
その直後、ハリーは不審な黒人を発見、大追跡の後にムーアの協力も得て逮捕した。
黒人の過激派が絡んでいるとにらんだハリーは、スラムの指導者ムスターファの棲家へ乗り込んだが、彼は事件に無関係であることが判った。
だが、ハリーが帰った後、刑事課長が指揮する警察隊が、ムスターファを首謀者として逮捕。
この迅速な犯人逮捕によって、ハリーとムーア、そして刑事課長は、市長から表彰されることになったが、ムスターファが主犯でないと確信しているハリーは、表彰されるのを拒否し独自の調査を開始した。
しばらくして、過激派グループは、白昼、市長を誘拐し、莫大な活動資金を要求した。
捜査にあせりを感じてきたハリーに、彼のおかげで釈放されたムスターファが犯人たちの情報を提供した。


寸評
ハリーとコンビを組む新米の女性刑事ムーアが登場しなかったら全くの駄作になっていたと思う。
ストーリーは単純、人物の描き方も通り一辺倒で面白みに欠けていて、唯一彼女の存在に助けられている。
ムーアは女性だし、刑事に昇格したばかりの新米刑事で、ハリーにとっては足手まといにしかならない相棒だ。
ただし記憶力は良さそうだし、法律にも明るく事務能力には長けていて、刑事としてやる気満々だ。
自分を女性として見なくていいと「お構いなく」を連発する。
一所懸命に奮闘する姿がいじらしくもあり、この映画にエンタメ性をもたらせている。
その姿に徐々にハリーが相棒として認めていくようになるのはお決まりのコースだ。

今回はテロリストを装った金目当ての集団が相手なのだが、彼らがとんでもない武器を奪うことと、市長を人質にとって身代金を要求していることが新しい視点となっている。
市長は権威の象徴であって、表彰状を与えることでその権威を保持している。
また市長は女性活用を訴えていて、任命した女性刑事のムーアにでっち上げの手柄を作り、彼女を表彰することで自分の人気を得ようとしているイヤ味な男である。
そして、能力もないのにその市長に媚びて地位を得ているのが刑事課長のマッキーで、彼がハリーと対立するのもシリーズとしてお決まりのコースだ。
シリーズも3作目となると、そのお決まりがだんだんと子供じみてくる。
犯人グループはすぐに人を殺す悪人集団だが、ただ単に人を殺しているだけで動機づけもない。
スゴイ犯人であるはずなのに、やっつけられるのはいとも簡単だ。
アルカトラズ刑務所を舞台にしたクライマックスが見所なのだろうが、そこでもその場所設定が生かされていなかったように思う。
捜査を進めることで犯人グループを徐々に追い詰めていくというサスペンス性にも乏しかった。

不審な黒人によって警察署のトイレが爆破されるが、その犯人の追跡劇は異様に長い。
迫力がないので長いと感じてしまう。
ここでの追跡劇はムーアの足の速さを表現したかったのか、歳の割にはスタミナのあるハリーを見せたかったのかよくわからないけれど、ビルの屋上をやたらと追いかけまわしているだけのもので間延びした。
よくわからなかったのはもう一つ、冒頭での犯人たちの行動だ。
何のための殺人だったのだろう?
彼等の非情性を示しておきたかったのだろうか。
その後に起きる人質立てこもり事件でのハリーの荒っぽいやり方には毎度ながらスカットさせられる。
それを非難されるのもシリーズを見続けていると毎度のこと。
マンネリともいえるが予想した通りに事が運ぶのがシリーズのいいところで安心してみることが出来る。

助かった市長がハリーに感謝して「表彰状をやろう」と言うのは精一杯の権威批判だったのだろう。
バカ刑事課長がヘリコプターで現金を運んでくるのもまたしかりであった。
あげればきりがないのだが、シリーズファンとして楽しむならこれで十分だろう。


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