「婚前特急」 2011年 日本
監督 前田弘二
出演 吉高由里子 浜野謙太 杏 石橋杏奈
青木崇高 宇野祥平 吉岡睦雄 吉村卓也
白川和子 榎木孝明 加瀬亮
ストーリー
24歳のOL池下チエ(吉高由里子)は時間を有効に利用して人生を堪能するために、5人の男と付き合っている。
仕事の愚痴を言うのは包容力のあるバツイチの西尾みのる(加瀬亮)、旅行に行くのはリッチな年上の三宅正良(榎木孝明)、スカッとしたいときはバイク乗りの出口道雄(青木崇高)、癒されたいときは年下の野村健二(吉村卓也)、ラクしたいときは気取らずにいられる田無タクミ(浜野謙太)と、TPOに応じて様々なタイプの彼氏がいた。
そんなある日、親友の浜口トシコ(杏)が長年付き合っていた彼氏の子供を身ごもり、結婚することに。
トシコはチエにも結婚を勧めるが、チエはまだその気になれない。
しかし結婚式でトシコ夫妻の幸せそうな姿を見たチエは、自分の彼氏たちを査定する。
チエが男たちのメリットとデメリットを手帳に書き込んでいると、トシコから電話が入る。
トシコから、査定して残った男との結婚を勧められたチエは、最後に残った人が自分の“ほんとうの相手”かもしれないと思う。
まず、デメリットだらけの田無と別れることにしたチエだったが、田無はチエと付き合っていると思っていなかった。
田無にフラれたことに愕然としたチエは、思い切り自分に惚れさせてフッてやる、と憤る。
そんななか、他の男たちともしっくりいかなくなる。
ある日チエは、トシコ夫妻の家に泊まる。
朝食の準備をしながら交わす夫婦の何気ないやりとりを見たチエは、自分のほんとうの相手を探そうと決心する。
そんな時チエは田無がミカ(石橋杏奈)という女性にゾッコンなのを知って、ふたたびプライドを傷つけられてしまう…。
寸評
なかなか楽しいラブコメディで全編に笑いどころが満載。
ベタなネタや強引な笑いで爆笑させるのではなく、人を食った笑いでクスクスと笑わせるコメディだ。
主演の吉高由里子のコメディエンヌぶりも堂に入っていたと思う。
ただし、観ている間は楽しいけれど後に残るものがあまりないので、観終わってからの物足りなさが残る。
チエが同時に5人の男と付き合う設定は面白いものの(しかもそれが吉高由里子だ)、ストーリー自体は極めてありがちなもの。
彼女が5人のうちの誰かとくっつくまでを描いているけれど、その相手が誰かは最初から想像がつく。
想像が確信に変わるのは、その男の登場シーンが一番多いことを感じ取った時。
だれでもわかる運びなので田無の名前を明かしたところでネタバレとはならないと思う。
映画は5股をかけているチエと男たちのスッタモンダが軽快なテンポで明るく描かれ笑いを誘っていく。
明朗快活、ヤリマンなどという言葉が小学生からも発せられる以外はどぎつい場面はない。
登場人物の内面に切り込むようなことはなく、チエと男たちの関係もキス程度でベッドシーンなどは出てこない。
最初はいかにも恋愛の主導権をとっているように見えたチエなのに、それがいつしかどんどん空回りして主導権はとられていたと焦る姿が笑える。その究極が田無に言われる「俺たち付き合っていたっけ?」だ。
チエはノートに彼等の長所と短所を書き綴っている。
長所は自分にとって都合のいいことばかりだが、彼らはチエのためにそうしているわけではない。
普段はチエの機嫌を取っているが、いざとなれば自分を押し出して譲ることはしない。
今はスピーカーに凝っている出口は、チエが耳を押さえていても無視してボリュームいっぱいで音響を楽しむ。
美容院を経営している三宅も海外旅行の約束を妻を理由にして反故にする。
学生の野村は自分の運転ミスをチエのせいにしてキレる。
西尾は一番冷静のようだが、別れた妻との間に男の子がいて、チエには分からないこともあるのだと突き放す。
ドラマは田無がミカと親しくなるところから転機を迎えるが、とんでもない展開を見せるわけではない。
田無のアパートで壁を突き破って転がり込んだ隣の老婆から諭されるが、結局これだったのかな。
老婆の死んだダンナは奥さんに合わせてくれて、奥さんの言うことは何でも聞いてくれたいい人だったが、倒れる前にコップを投げつけて「俺はずっと我慢してたんだ」と怒鳴ったらしいのだ。
老婆は、だから「生きているうちにおおいに喧嘩したほうがいい」と諭す。
そしてその老婆の教えに従って「二人が自分に正直になってくっつきました」とエンディングを迎える。
我慢をはずして、言いたいことを言って夫婦関係を保ち続けることって結構難しいと思うんだけどね…。
上から目線で、出来ちゃった婚をバカにしていたようなチエも、出来ちゃった婚らしいことをほのめかして、ユニークなキャラクターの二人に平凡な結婚をさせる。
そんなありきたりな…と思ってしまう。
吉高の尻軽女ぶりもよかったけれど、彼女を振り回す田無のボケっぷりが秀逸。
イライラする演出の稚拙さもない作品で、それ以上でもそれ以下でもない映画だった。
気軽に楽しむのには最適な作品だ。
前田弘二のコメディは次回作を見てみないと何とも言えない。
監督 前田弘二
出演 吉高由里子 浜野謙太 杏 石橋杏奈
青木崇高 宇野祥平 吉岡睦雄 吉村卓也
白川和子 榎木孝明 加瀬亮
ストーリー
24歳のOL池下チエ(吉高由里子)は時間を有効に利用して人生を堪能するために、5人の男と付き合っている。
仕事の愚痴を言うのは包容力のあるバツイチの西尾みのる(加瀬亮)、旅行に行くのはリッチな年上の三宅正良(榎木孝明)、スカッとしたいときはバイク乗りの出口道雄(青木崇高)、癒されたいときは年下の野村健二(吉村卓也)、ラクしたいときは気取らずにいられる田無タクミ(浜野謙太)と、TPOに応じて様々なタイプの彼氏がいた。
そんなある日、親友の浜口トシコ(杏)が長年付き合っていた彼氏の子供を身ごもり、結婚することに。
トシコはチエにも結婚を勧めるが、チエはまだその気になれない。
しかし結婚式でトシコ夫妻の幸せそうな姿を見たチエは、自分の彼氏たちを査定する。
チエが男たちのメリットとデメリットを手帳に書き込んでいると、トシコから電話が入る。
トシコから、査定して残った男との結婚を勧められたチエは、最後に残った人が自分の“ほんとうの相手”かもしれないと思う。
まず、デメリットだらけの田無と別れることにしたチエだったが、田無はチエと付き合っていると思っていなかった。
田無にフラれたことに愕然としたチエは、思い切り自分に惚れさせてフッてやる、と憤る。
そんななか、他の男たちともしっくりいかなくなる。
ある日チエは、トシコ夫妻の家に泊まる。
朝食の準備をしながら交わす夫婦の何気ないやりとりを見たチエは、自分のほんとうの相手を探そうと決心する。
そんな時チエは田無がミカ(石橋杏奈)という女性にゾッコンなのを知って、ふたたびプライドを傷つけられてしまう…。
寸評
なかなか楽しいラブコメディで全編に笑いどころが満載。
ベタなネタや強引な笑いで爆笑させるのではなく、人を食った笑いでクスクスと笑わせるコメディだ。
主演の吉高由里子のコメディエンヌぶりも堂に入っていたと思う。
ただし、観ている間は楽しいけれど後に残るものがあまりないので、観終わってからの物足りなさが残る。
チエが同時に5人の男と付き合う設定は面白いものの(しかもそれが吉高由里子だ)、ストーリー自体は極めてありがちなもの。
彼女が5人のうちの誰かとくっつくまでを描いているけれど、その相手が誰かは最初から想像がつく。
想像が確信に変わるのは、その男の登場シーンが一番多いことを感じ取った時。
だれでもわかる運びなので田無の名前を明かしたところでネタバレとはならないと思う。
映画は5股をかけているチエと男たちのスッタモンダが軽快なテンポで明るく描かれ笑いを誘っていく。
明朗快活、ヤリマンなどという言葉が小学生からも発せられる以外はどぎつい場面はない。
登場人物の内面に切り込むようなことはなく、チエと男たちの関係もキス程度でベッドシーンなどは出てこない。
最初はいかにも恋愛の主導権をとっているように見えたチエなのに、それがいつしかどんどん空回りして主導権はとられていたと焦る姿が笑える。その究極が田無に言われる「俺たち付き合っていたっけ?」だ。
チエはノートに彼等の長所と短所を書き綴っている。
長所は自分にとって都合のいいことばかりだが、彼らはチエのためにそうしているわけではない。
普段はチエの機嫌を取っているが、いざとなれば自分を押し出して譲ることはしない。
今はスピーカーに凝っている出口は、チエが耳を押さえていても無視してボリュームいっぱいで音響を楽しむ。
美容院を経営している三宅も海外旅行の約束を妻を理由にして反故にする。
学生の野村は自分の運転ミスをチエのせいにしてキレる。
西尾は一番冷静のようだが、別れた妻との間に男の子がいて、チエには分からないこともあるのだと突き放す。
ドラマは田無がミカと親しくなるところから転機を迎えるが、とんでもない展開を見せるわけではない。
田無のアパートで壁を突き破って転がり込んだ隣の老婆から諭されるが、結局これだったのかな。
老婆の死んだダンナは奥さんに合わせてくれて、奥さんの言うことは何でも聞いてくれたいい人だったが、倒れる前にコップを投げつけて「俺はずっと我慢してたんだ」と怒鳴ったらしいのだ。
老婆は、だから「生きているうちにおおいに喧嘩したほうがいい」と諭す。
そしてその老婆の教えに従って「二人が自分に正直になってくっつきました」とエンディングを迎える。
我慢をはずして、言いたいことを言って夫婦関係を保ち続けることって結構難しいと思うんだけどね…。
上から目線で、出来ちゃった婚をバカにしていたようなチエも、出来ちゃった婚らしいことをほのめかして、ユニークなキャラクターの二人に平凡な結婚をさせる。
そんなありきたりな…と思ってしまう。
吉高の尻軽女ぶりもよかったけれど、彼女を振り回す田無のボケっぷりが秀逸。
イライラする演出の稚拙さもない作品で、それ以上でもそれ以下でもない映画だった。
気軽に楽しむのには最適な作品だ。
前田弘二のコメディは次回作を見てみないと何とも言えない。
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