「若草物語」 1949年 アメリカ
監督 マーヴィン・ルロイ
出演 ジューン・アリソン マーガレット・オブライエン
エリザベス・テイラー ピーター・ローフォード
ジャネット・リー メアリー・アスター
C・オーブリー・スミス ロッサノ・ブラッツィ
ストーリー
アメリカ東北部の町コンコードのマーチ家には、メグ、ジョー、エミイ、ベスの4人の姉妹がいた。
父は南北戦争に出征していて留守宅は貧しかったが、やさしい母と平和に暮らしている。
マーチ家の隣は大金持ちのロウレンス家だが、姉妹たちにとっては恐そうなおじいさんの独り暮らしゆえ、交際はなかったのだが、クリスマスの朝にジョーが家の前で出会ったのは先日から来ていたロウレンス老の孫ロウリイと、その友人ブルックの二人だった。
姉妹の中でも一番快活なジョーが、ある朝ロウリイの部屋の窓に雪だまを投げ彼と友達になったことから、マーチ家とロウレンス家の親交は急速に深まった。
ある日、ロウレンス家で開かれたパーティーに姉妹は招かれ楽しい時を過ごしたが、ジョーがロウリイと踊ったことが来客の嫉妬の的になり、清い友情を信じていたジョーの心は傷つけられた。
やさしいベスは気むずかしやのロウレンス老と仲好しになり、好きなピアノを弾くことができるようになった。
出征中の父が負傷し、ワシントンで入院したので、母が看護にゆかねばならなくなった。
母の留守中、ベスは貧しい近所の娘の病気を看護したことから猩紅熱に冒され、命はとり止めたものの彼女の小さな体は胸を蝕まれていた。
ベスの病中ロウレンス家との交際はますます深まり、長女メグはブルックと結婚することになった。
結婚式の日、ジョーはロウリイに愛を打ちあけられたが承諾することはできなかった。
心に空虚を抱いてジョーは、かねての希望の作家としての勉強のためニューヨークへゆき、カーク夫人の家で家庭教師となった。
夫人の家でドイツ人の音楽教授バールと知り合い、2人の友情は清い愛へと成長していた。
叔母の家に引きとられていたエミイは欧州へ旅立つことになった。
寸評
次女のジョーの方が長女のメグよりも年上に見えてしまうのは致し方がないと思うが、それでも次女ジョーのジューン・アリソンが快活な女の子を演じていて魅力たっぷりである。
ジューン・アリソンはこの時32歳だったらしいが年齢を感じさせていない。
物語の中で悪人が一人も出てこないので安心して見ることができる健康的な作品だ。
次女のジョーを中心とする四姉妹の物語だが、四人の性格が全く違うのでそれぞれのエピソードに変化がある。
マーチ家はかつては裕福だったが父親が投資に失敗して苦しい生活を強いられている。
貧しい家庭なので何かあると伯母さんからお金を工面してもらっているが、画面からは本当にお金に困っているようには感じ取れない。
多分、四姉妹の仲が良くて楽し気に暮らしているからそう感じるのだろう。
姉妹の間に確執など存在しない実に微笑ましい姉妹である。
次女のジョーと4女のベスは正反対の性格である。
ジョーは活発な女性で誰に対しても物おじしないのだが、ベスは引っ込み思案で人見知りも激しく、人前でピアノを弾くとも出来ない。
老人からピアノをプレゼントされた内気なベスが一人でお礼を言いに行くエピソードはじーんとくる。
元気はつらつなジョーに対して、ベスは猩紅熱にかかったこともあり病弱である。
ジョーは作家志望で、後にベスをモデルに小説を書くことになる。
三女のエミイを演じているのが、後に大女優となるエリザベス・テイラーで、その美貌は群を抜いている。
さすがに後年は貫禄十分な体型になったが、この頃は美人女優と言えばエリザベス・テイラーだった。
彼女は伯母さんのヨーロッパ旅行に同行し渡航先で結婚するのだが、このエピソードを描きこめば作品が重くなってしまうためなのか全く描かれておらず結果報告で終わっている。
長女のメグは隣の裕福な家に来ていたブルックと結婚することになるが、4人の中ではメグのジャネット・リーが一番影が薄い。
長女の性格設定によるのかもしれない。
不幸な出来事はあったが、マーチ家は絵にかいたような家庭である。
母親は賢婦人であり、姉妹たちは母親思いだし、父親を愛している。
お小遣いを供出して母親へのクリスマスプレゼントを用意したり、自分の髪を売って旅費を工面したりしている。
ハッピーエンドに向かって最後には家族が全員そろうことになる。
メグには双子の子供が生まれている。
エミイは思わぬ人と結婚して帰ってくる。
ジョーはベスの事を描いた本が出版されることになり、それを届けてくれたバールと結婚をするようだ。
ジョーは上流社会が好きでないし、小説を書く自分を理解してくれない人とは一緒になる気がなかったのだが、バールはジョーにとって条件を満たす人だ。
何もかもが上手くいき、めでたしめでたしで終わるのは、古き良き時代の映画の描き方だったように思う。
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