おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ハスラー2

2020-01-09 13:40:31 | 映画
「ハスラー2」 1986年 アメリカ


監督 マーティン・スコセッシ
出演 ポール・ニューマン
   トム・クルーズ
   メアリー・エリザベス・マストラントニオ
   ヘレン・シェイヴァー
   ジョン・タートゥーロ
   フォレスト・ウィテカー

ストーリー
かつてのハスラー、エディ(ポール・ニューマン)は50代になり、頭には白いものがまじっていた。
酒のセールスで生計をたて、恋人のジャネル(ヘレン・シェイヴァー)との老後の生活のことなども考えていた。
ある日、エディは若いハスラー、ヴィンセント(トム・クルーズ)と出会った。
天性の閃きを感じさせる腕の冴えにエディは若い頃の自分の姿を重ね合わせた。
数カ月後にアトランティックシティで、ナインボールの大会がある。
エディとヴィンセントはチームを組んでその大会に参加することにした。
ヴィンセントの恋人カルメン(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)も加わって、3人の旅が始まった。
この旅で、エディはどうしてもヴィンセントを一流のハスラーに仕立てあげようと思った。
ゲームの勝ち方、負け方、そして負けて金をかせぐ方法etc……。
トラブルも起こった。
カルメンとエディの仲を疑って、分かれ分かれになった時期もあった。
アトランティックの大会に参加して勝ち上がっていった2人は、準決勝で顔を合わせた。
凄まじい激戦ののちエディはヴィンセントを破った。
打ちひしがれて床に崩れ落ちるヴィンセント。


寸評
僕がポール・ニューマンのファンであることを割り引いても本作でのポール・ニューマンは渋い。
若いころから渋みのある俳優だったが、歳をとるごとに色気のある渋みが増して、際立った存在感を見せるようになって来たのはファンとしては嬉しかった。

若い頃に実績を残した自負があっても年齢を重ねると能力が落ちて来るし、時代の変化についていけない自分に気づき始める。
歳をとってもその時のプライドだけは残っているし、まだ自分はやれるのだとの思いもある。
勝負の世界に生きていなくても実社会で経験したことだ。
エディもそんな立場にいるのだが、才能ある若者の指導に生きがいを見出す一方で、しかしまだまだ自分の力に対する自信が残っている。
そんな彼が若者によって自らの力の衰えを自覚させられることで映画はストーリー的な深みを出していく。
エディは相手の心理を読むことに長け、自分のハスラーとしての能力に自信を持っている。
自分の力を過信するカモを見つけだし、その相手から掛け金をせしめる駆け引きをヴィンセントに教え込む。
若いヴィンセントは自信たっぷりである。
エディの恋人ジャネルが「生意気だ」と言うように、謙虚なところが全くない。
しかし強いものは強い。
エディは大会の準決勝に勝利し、得も言われぬ高揚感を感じる。
会場の外に出て人目を避けて「やった!」とこぶしを振り下ろす場面などはその気持ちがよく出ていた。
しかしそれは自分の真の実力で勝ち取ったものではなかった。
エディはそのことを知らされ、尚且つその事に気がつかなった自分の衰えを感じる。
その前にもエディは若者によって叩きのめされている。
衰えというものを非情に描いていく筋運びはなかなか巧みだ。

人は必ず歳をとる。
やがて老兵は消え去るのみといった心境を味わうことに出くわしたりする。
その時、淋しさと同時に辛さも思い知らされる。
まさしくエディの立場はそのような状況下に追い込まれた者の姿だ。
しかし、この映画のいいところは、エディがそれでも最後までプライドを持ち続けていたことで、それを教科書通りに描きながら、エディの不屈の闘志を表現したことだ。
エディは台頭してきた若者に挑戦し続けることを宣言する。
負けたら次の大会で再挑戦する。
そこで負けたらさらに次の大会で挑戦すると決意表明する。
そして叫ぶ! 「復活だ!」
拍手して応援したくなるエンディングだ。
僕が年齢を重ねたために感じたポール・ニューマンのカッコよさかもしれないが、さすがのトム・クルーズもポール・ニューマンの前にかすんでいたように思う。


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