おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

007/ロシアより愛をこめて

2021-04-29 06:44:57 | 映画
今も人気のある007シリーズですが、
初代ボンドのショーン・コネリーと
現在のボンド役ダニエル・クレイグから1本づつ。

「007/ロシアより愛をこめて」 1963年 イギリス


監督 テレンス・ヤング
出演 ショーン・コネリー
   ダニエラ・ビアンキ
   ロバート・ショウ
   ペドロ・アルメンダリス
   ロッテ・レーニャ
   マルティーヌ・ベズウィック

ストーリー
英情報部長Mのもとにトルコ支局長ケリムから、ロマノワというソ連情報部の娘がロンドンに連れて逃げてくれたらソ連の暗号解読機を盗み出すといって来たのでボンドはイスタンブールへ飛んだ。
ロマノワも現われ解読機も呆気ないばかりに盗み出せた。
彼女は飛行機での脱出を拒み、急行列車を望んだ。
ケリムが護衛を買って出たがソ連情報部の刺客に襲われて死んだ。
次の駅でMから派遣されたグランドが乗り込んだ。
彼はその夜ロマノワを睡眠薬で眠らせ、ボンドを襲った。
彼は、秘密結社の第一級暗殺者だったのだ。
だが、ボンドの勝利に終った。
列車が急停車した。
グラント出迎えのトラックが線路上にわざと止っていたのだ。
ボンドはロマノワを連れてそのトラックを奪い、快速艇を奪ってベニスへ・・・。

国際的犯罪組織スペクターが仕組んだ、英ソ間を巻き込む陰謀との闘いを描く。
オリエント急行で繰り広げられる、R・ショウ演じるロシアの殺し屋との戦いや、ヘリやボートを駆使した機動的なアクション・シーン、ボンドガール歴代No.1の呼び声も高いD・ビアンキの魅力などなど、エンタテインメントの要素がフルにつまった、これぞ007の代表的傑作。
マット・モンローの歌う主題歌も大ヒットとなった。


寸評
1964年4月の日本公開時の日本語タイトルは「007危機一発」だった。
髪の毛一本の僅差で生じる危機的状況を意味する「危機一髪」と銃弾の「一発」をかけた一種の洒落だったが、あまりにもヒットしたため、四字熟語の試験問題で危機一発と誤答する者が続発したことを思い起こす。

兎に角オープニングからワクワクさせる。
007のテーマ曲が流れ、イスタンブールの踊り子と思われる女性のボディにクレジットタイトルが照射される。
ゆらゆらと映し出されるタイトルを見ただけで007の世界に引き込まれてしまうのだ。
007のタイトルバックは兎に角凝っていて、このタイトルバックを見ることも楽しみの一つだった。

ショーン・コネリーが演じたボンド・シリーズでは最高の出来で、歴代シリーズでも上位にランクされるであろうと思われる。
その後の007シリーズの方向性が本作で確立された感があるのも評価を押し上げる。
例えばダニエラ・ビアンキが、知性の中に色気とチャーミングさを覗かせ、その後のボンド・ガールの方向性を示している。
さらにはボンドに支給される秘密兵器がクライマックスで重要な役割を果たすこと(今回はアタッシュケース)。
何よりもオープニング・テーマの前に「プレ・アクション」が入るようになったことなどは後続作品に踏襲されているパターンだ。
今回はグラントという凄腕の男の腕前が披露され、ちょっとしたドッキリも盛り込まれている。
マンネリとも思われかねない約束事を有しているのがシリーズ物の特色で、それが観客を安心させるのだと思う。

冒頭でチェス大会があり、No5が頭脳明晰なのだと暗示するが、最後にはそれが逆転する。
顔は映し出されないNo1の男の前で、その男と同席するのがNo3のオバサンで、とてもスゴイ女とは思えないのだが、何年たっても記憶に残るのがこのオバサンの足技なのだから不思議だ。
作中に登場する車は自動車電話付きで、ポケットベルで呼び出しを受けたボンドがこの電話で本部と連絡を取っている。
どちらも、当時としてはまだ珍しいものだったのだが、今見ると懐かしい。
ライオネル・バートが作曲し、バラード・シンガーのマット・モンローが唄う同名タイトルの主題歌は歴代007シリーズの中でも一番ではないかと思う。
ショーン・コネリーはこのヒット・シリーズで世に出た俳優だが、あまりのヒットで長くボンドイメージから脱却するのに苦労していた。
その彼も年を経るごとに貫録が出て渋い役者になっていった。

以下余談。00のナンバーを持つ男は殺人を認められた諜報員の代名詞のようになっていて、テレビでは「0011ナポレオン・ソロ」が放映され人気となった。
こちらもロバート・ボーンのナポレオン・ソロとデビッド・マッカラムのイリヤ・クリアキンのコンビが人気を博し、最初は9時からの放映だったが、シリーズを重ねるごとに放送時間が遅くなっていった。


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