末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

それでも夜は明ける

2014-04-27 21:25:26 | PJ版:役者のはなし
うっかりしていたら、上映終了間際での
駆け込み鑑賞となってしまいました。

1841年、米国北部で暮らす自由黒人が拉致され、
南部で奴隷として売り飛ばされてからの苛酷な12年間と、
奇跡的に救われた実話に基づく作品です。

美しい映像で、静かに、淡々と描かれていきますが、
それが、却ってリアル感を増し、重たい気分になります。

残酷な場面をじっと見つめているうちに、
こうした、奴隷制度が当たり前だった時代に生きていたら、
自分はどう振る舞うことができたただろうかと、考えさせられました。

 もし、白人側の立場だった場合。
 南部では黒人を所有物扱いし、虐げるのが多数派だった当時、
 私もその慣習に迎合していたのではないかと思います。
 やはり、人は本能的に、自分を守ろうとするから。

 逆に、黒人側にいた場合は、
 " 自分だって同じ人間なのに ・・ " と思いながらも、
 絶望して、何も行動しないのではないかな。
 多分、無為に、死が訪れるまでを過ごすだけ。

ソロモン・ノーサップが、最後に救い出されたのは、
彼が、元々は "自由黒人" だったから。
「人間として、自分の意志で生きる」ことが可能だと
知っているからこそ、カナダ人大工と出会った時に、
躊躇い、恐怖と闘いながらも、行動できたのだと思います。

もちろん、言葉で云うほど、簡単なことではないですね。

救出され、北部に暮らす家族の元に戻って来たときの
ソロモン・ノーサップの姿を見て、
奴隷として生きるしかなかった12年という歳月が
彼から奪ったものの大きさと、その重さとが、
痛いほどに伝わってきました。

これは、アメリカ合衆国の南北戦争前の出来事です。
南北戦争(1861年~1865年)を経て、
同国は法律上、奴隷制度を廃止しました。
しかし、その後、時代が変わっても差別自体は無くならず、
1960年代の公民権運動後も、問題は山積しています。

また、視野を世界に広げれば、
奴隷問題自体が、形を変えて、まだまだ残っています。
夜明けには程遠い「現実」が、そこにはあります。

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   映画 『それでも夜は明ける』

  ◇原題:12 Years a Slave
  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ
  ◇鑑賞日:2014.4.23. 映画館にて
       ♪Benedict Cumberbatch / Ford