末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

PJ版を振り返る:ビルボ・バギンズ 編

2005-09-22 22:55:06 | PJ版:指輪物語

Bilbo Baggins
“ I think I'm quite ready for
  another adventure! ”
               ( 映画 LOTR:RotK より )


9月22日は旦那方のお誕生日ですね。
ビルボ、フロド、お誕生日おめでとう。

そして、「 登場人物別 :PJ版を振り返る 」 の最終回は、
偉大なるホビット、ビルボ・バギンズについてです。

*~*~*~*~*~*~*~*~*

PJ版三部作を観ていると、
原作の方が断然素晴らしい! と思える人物がいる一方で、
映画と原作では別人だけど、どちらも、
それぞれに良いところがあるなぁ。。と納得できる人物もいます。
そして、私の中でいちばん < 原作 >=< 映画 > で “ 好き ” だったのが、
サー・イアン・ホルムの演じた、ビルボ・バギンズでした。

『 ホビットの冒険 』 の主人公だったビルボは、
『 指輪物語 』 では “ 重要人物 ” ではあるものの、
彼が登場するシーン自体は、残念ながらそう多くはありません。
そのため、原作を読むときには、ビルボの場面は 一字一句読み落とすまい
PJ版の鑑賞でも、ビルボの 一挙手一投足すら見逃すまい として、
へんに肩に力が入ってしまうものだから、
ビルボの登場シーンのほとんどがFotR ( しかも前半! ) ということで、
まだまだ長丁場のほんの出だしに過ぎないというのに、
ペース配分が、いつも大変なことになってしまいます (苦笑)

PJ版でビルボが登場するエピソードは、基本的には全部好きです。
特にFotRは、“ もっと見せて欲しいんですけど~ ” っていうくらい、
イイ場面ばかりだったなぁと思います *^-^*
旧友ガンダルフとの、袋小路屋敷での懐かしい再会や、
二人で満足そうにパイプ草をふかす場面はもちろんのこと、
互いにとって唯一の家族である、フロドとのやり取りも、
ビルボがいかにフロドを気にかけているか、
フロドがどれだけビルボを慕っているかが伝わってきて、大好きなんですよ。
( ・・と書いていたら、ものすごくFotRが見たくなってきました。。 笑 )

だから、スクリーン上で久々にビルボに会うこととなる
RotKのエピローグは、とても楽しみにしていたのですが、
ビルボの、あの特殊メイク、あれは 絶対やりすぎ だから!
確かに、“ 一つの指輪 ” が消滅したことで、
それまで堰き止められていた、何十年にもわたる < 時 > が、
一気に彼のなかへと流れ込んできたことを表現した、
という理屈はわかるんですけどね。。
加算される最終的な分量 ( この場合は “ 年数 ” ) が同じであっても、
自然の摂理にそって、ゆるやかに重ねていくのと、
人為的に歪められていた反動で、いち時にその影響を受けるのとでは、
及ぼされる力の作用が違うということで、PJ&WETAの皆さんともども、
そのあたりのビジュアルには、マニアックにこだわりそうですもんねぇ (泣笑)

でも、エピローグで描かれた、
馬車のなかでのビルボとフロドの会話は、とても良いシークエンスでした。
この時のビルボには、もはや、指輪にまつわる忌まわしい記憶が
一切なくなっているように見えます。

「 フロド 編 」 でも書きましたが、“ 一つの指輪 ” を持つ者は、
死すべき定めの種族であっても死にません。
これは一見、“ 幸運なこと ” のようにも思えますし、
確かに、肉体的な老いからは逃れることができるかもしれません。
しかし、永遠にこの世のしがらみに縛り付けられることは、
精神的な面からすれば、とても虚しく恐ろしいことで、このことは、
< 指輪を所有すること >=< 指輪の誘惑に屈してしまったこと > に対する罰、
つまり、神による賜わり物の “ 剥奪 ” であると、私は考えてしまうのです。

馬車内でのビルボが、幸せな記憶だけが残されていた ように描かれていたことは、
自然の摂理に反してしまったことへの、肉体的な戒めからは解放されなかったけれども、
代わりにビルボへと与えられた、< 許し > であったのではないかなぁと、
そのあたりが表現されているようで、観ていてジ~ンときてしまいました。
ビルボは “ 一つの指輪 ” の所持者ではありましたが、
彼はそれを手にしても、他者への憐れみを忘れることはなかったですし、
ガンダルフの助力が必要だったとはいえ、自らの意志で、
“ 指輪 ” を手放すという困難を為しえた、唯一の人物でもありました。

・・ そして、この場面では、
  そうした事のすべてを静かに受けとめるかのようにして、
  ビルボをいたわるフロドの姿が、また、いいんですよね ・・


  I think I'm quite ready for
  another adventure!


灰色港で海と船を目にし、実に喜ばしげな表情を浮かべるビルボは、
老いても、やはりなお、ビルボ・バギンズその人でした。

ところで、インターネットの普及により、
自力ではとても読むことのかなわなかった、未邦訳の関連書籍について、
解説いただける機会にも恵まれましたが、その際に、
定命の者は西方の地に行っても、不死にはならないことを教えていただきました。
彼の地に渡ってからの、ビルボに残された時間はどれくらいあったのでしょうか。

死すべき定めの者にとっては、
未知の世界でしかない西の地での日々を、
ビルボには、フロドとともに幸せに過ごしてほしいなぁと思います。

*~*~*~*~*~*~*~*~*

ということで、「 登場人物別 :PJ版を振り返る 」 は、
今回をもって終了です。
第1回目の 「 フロド 編 」 が7月1日付だったので、
2ヶ月半以上かかってしまったわけですね。。
当初の予定では、“ 短期集中を目指したい ” などと考えていたのですが、
全然、“ 短期 ” ではありませんでした (>_<)

同じ映画を何度も観るために、映画館へ足を運ぶ。
それも、少しでも音響やスクリーンの状態が良い上映館を求めて、
あちこちへと出向いてしまうような作品になんて、
そうそうお目にかかれるものではないですし、
もともと原作が好きだったうえに、さらに映画も好きになってしまったということで、
これはやはり、自分の言葉で、何かしら書きとめておかねば。。
と思っていたことが、「 登場人物別 :PJ版を振り返る 」 を書くきっかけでした。

で、どうやって書こうかなぁ。。
とても長い作品だから、いちばん困るのは、
どこで区切りをつけながら、まとめていくかだよなぁ。。となり、
登場人物別だったら、私にも何とかなるかもしれないなぁと、
それこそ、単純に考えていた のですが、認識が 甘かった ようです ;
『 指輪物語 』 は主要人物だけでも、その数が多かったのでした (苦笑)
「 登場人物別 :PJ版を振り返る 」 で、感想を書いたのは20名ですが、
それでもまだ、ケレボルン、ハルディア、木の鬚、蛇の舌グリマ、ナズグル、
サウロンなどの、“ 主要人物 ” といえる人たちが残っているわけです。。
対象となるのはPJ版とはいえ、作品を語るための切り口ひとつを選ぶことすら、
『 指輪物語 』 は手強い存在なのだなぁと、あらためて思いました。

でも、とりあえず最後まで書くことができて、正直ホッとしております。
なかなか書き進めることができず、四苦八苦したのがバレバレな人物もいれば、
その人物とは関係のない話で、感想の大半がまとめられている内容もあったりして、
結局、自己満足以外の何物でもない状況となっているのは否めないのですけれど。。
それでも、ビルボとフロドの誕生日に書き終えることができたことは良かったです。
・・ ホントは、特に意図していたわけではないんですけどね (笑)
  その偶然のお蔭で、余計に嬉しくなっているのは確実なようです ♪

そして、いつも長すぎる独り言を書いているかのような
拙ブログを訪れてくださっている皆さま、
「 登場人物別 :PJ版を振り返る 」 をお読みくださって、
どうもありがとうございました <(_ _)>
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