末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

草原の実験

2015-10-31 08:14:19 | 映画のはなし
美しいおとぎ話の、残酷な終焉。

10月30日(金)まで、シアター・イメージフォーラム にて
上映されていた「草原の実験」を見てきました。

とにかく "絵" としての画面の美しさに、引き寄せられました。
見渡すかぎりの緑の平原に、ぽつんと建つ一軒の小さな家。
何かの象徴であるかのような一本の立ち枯れた木と、どこまでも広がる空。
父と暮らす、美しい娘。馬を駆る幼馴染みの少年と、異国から来た金髪の少年。

登場人物の台詞をいっさい排し、風や水、鳥の囀りといった
自然音のみの中で展開される情景は、素朴さゆえに普遍性を増して、
ナウシカやラピュタの頃の宮崎駿作品が実写化されたとしたら、
きっと、こんな風だろう、と思いながら鑑賞していました。

"衝撃の.." と言われている本作品の結末ですが、
実は、私はネタバレ状態で見たにも関わらず、とてもショックでした。
事前に知っていたことが、"緩衝材になって寧ろ良かった" と思えたほどです。

(私のネタバレ元は、海外版と、昨年の第27回東京国際映画祭版の予告編です。
 勘の鋭い方だと、タイトルと、各種映画サイトの作品紹介で触れていた "ある部分"
 とから、予想可能なようですが、その時点では、私は分かりませんでした)

物語中にも、確かに、暗に伏線が張られており、
日本で暮らしている、ある程度の年齢以上の人ならピンとくるだろう物も
映っていたので、ネタバレを知らなくても、途中、薄々気づいたかもしれません。

ささやかな日常の幸福が続くことの "奇跡" と、その "不確かさ" 。
小品ながらも、鮮烈な印象を残す作品でした。

*~*~*~*~*~*~*~*~*

   映画 『草原の実験』

  ◇原題:Ispytanie
  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ
  ◇鑑賞日:2015.10.29. 映画館にて


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