ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

「米艦防護」はどうなのか(その2)

2017-08-23 14:05:01 | 日記
日米安保の象徴とも言うべき「米艦防護」に対して、我々はどういう姿勢
で臨んだらいいのか。ーーこの問題を通して、日米安保の意味を考える朝
日新聞のシリーズ「安保考」の、その続編が、きょうの本ブログの検討材
料である。きのうは「米艦防護」に懐疑的な姿勢をとる柳沢協二氏の見解
を見たが、きょうは積極派の香田洋二氏の登場である。香田氏の略歴は、
「1949年生まれ。元海将。防衛大学校を出て、72年に海上自衛隊に入る。
統合幕僚会議事務局長などを経て2007〜08年に自衛艦隊司令官」とある。

さっそく香田氏の見解を見ていこう。
ざっくり言うと、(1)米艦防護にコミットすれば、「日米安保の協力体制が
強まり、抑止力を高める効果がある」が、(2)逆に、米艦防護にコミットし
なければ、「米軍を見殺しにすることになり、日米安保が吹っ飛ぶ恐れが
現実のものとなる」というのが、氏のおおよその見解である。

きのう見た柳沢氏の見解の第一の論点は、「米艦防護にコミットすると、
日本は戦争の当事国になるのではないか」ということであった。この懸念
に対して、香田氏は次のように答える。
「海自がするのはミサイルの迎撃であって、ミサイルを撃った本体を攻撃
するのは米軍」である。だから、日本は戦争の当事国にはならない、と。
香田氏の優等生的な回答をうけて、インタビュアーの記者がこう挑発す
る。
「たしかに、法制上は、自衛隊は一発撃ったら退避することになってい
る。だがそういうふうにして、途中で米軍を見捨てる形になったら、日米
の安保が吹っ飛ぶのではないか」
香田氏はこの挑発を平然と聞き流し、こう答えている。
「いいえ、自衛隊は米軍を見捨てません。米軍が危機を脱するまでは、自
衛隊は防護活動を行えるのです」
暖簾(のれん)に腕押し、糠(ぬか)に釘。インタビュアーはさらにこう
挑発して、食い下がろうとする。
「でも、でもですよ。米軍は、本格的な戦闘に発展するリスクをおかして
まで、日本を守ろうとするでしょうか?」
返ってきたのは、香田氏からの意外な答えである。
「なぜ米国は自国の若者の血を流してまで、日米安保を維持して日本を守
り、相手国を攻めるか。それは、日米安保と日本の存在自体が、米国の国
益そのものだからです」
ええっ?ホント?「アメリカ・ファースト」のトランプ自己中政権が、自
国民の血を流してまで日本を守ろうとするだろうか。
香田氏は、自分の個人的な願望を、客観的な事実だと勘違いしているので
はないだろうか。

要するに、ここにあるのは、単なる幻想である。「アメリカさんは、自分
の血を流してまで日本を守ってくれようとしている」。そう思うから、日
本側の武将も「それ相当の覚悟でアメリカさんの艦艇を防護しなければ」
と考える。こういう(幻想に基づく)思い込みが日米安保の同盟関係を支
えているとすれば、日米安保を支えているのは所詮、根拠のない幻想だと
言わなければならない。

この幻想、シャボン玉のようにはかなく消えてしまわなければよいのだが・・・。
コメント
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