時間って残酷だなぁ。前回のテーマであった結婚のことを考え、息子が誕生してから進学、就職をして家を出るまでの30年を思うとき、娘が誕生してから結婚して、家を出るまでの30年を思うとき、またその間、私と歩調を合わせるように齢を重ねてゆく連れ合いの姿を思うとき、彼女と二人だけになった屋根の下で、私はつくづくそう思う。――いや、こう書くといろいろ語弊があるから、さっそく訂正して、話題を私一人に限定し、その上でもっと当り障りのない、一般的な書き方をすることにしよう。
(ブログって、だれの目に触れるかわからないから、書き方が難しいよね、ホント。)
というわけで、改めて書き始めると、エヘン、時間とは残酷なものである。
時間はだれからも等しく大切なものを奪ってゆく。時間とともにだれもが失う大切なもの、――なかでもその根っこにあるのは、若さであろう。
私も年を食い、失った若さを――過ぎ去った青春を、いつか懐かしむ年齢になった。
ああ!青春!―― 人は一生に一時しかそれを所有しない。 残りの年月はただそれを思い出すだけだ(A・ジイド)
とか、
青春は短い。宝石の如くにしてそれを惜しめ(倉田百三)
といった言葉が、私の胸に響くようになったのである。
だが、私が懐かしく思うその青春とは、実のところ何なのであろうか。私が取り戻したいと願う青春の、その内実は一体どういうものだったのか。
改めてこの問いに向き合ってみると、答えを見つけるのは難しいように思われる。
(つづく)