ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

失われた青春を求めて(その3)

2015-09-13 11:39:09 | 日記

  青春とは、奇妙なものだ。 外部は赤く輝いているが、内部ではなにも感 じられないのだ。
 
 これはサルトルの言葉だが、「外部は赤く輝いている」というのは、歳月を経て外側からそれを眺めれば、という意味であろう。「内部ではなにも感じられない」というのは、その只中にいる当人にとっては、という意味に違いない。けれども青春の只中にいた当時の(17歳の)私の心の内部には、不安に似た黒い鬱々としたものが巣くっていた。私は「青春は楽しい」などと思わなかったし、「自分は今、青春の只中にいるのだ」という実感も意識も持たなかった。ただ重たい心を引きずりながら、毎日を深い霧の中にいるみたいに生きていた気がする。
  当時の私は、無性に友人が欲しかった。とりわけ異性の友人が……。ガールフレンドが欲しいのに、男子だけの校舎と自宅の間を往復して、女性とは全く縁のない毎日を送っている内向型高校生の自分が、私は嫌でたまらなかった。私はドラマや映画に描かれる、精悍で屈託のない外向性の若者のようでありたかった。
 (つづく)
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする