すきむブログ

東北地方のとある町での暮らしをつづります。
四季折々の花や野山の風景など。
お菓子や田舎料理のレシピも紹介します。

孤宿の人(上下)

2009-12-17 22:54:35 | 読書
宮部みゆきさんの時代小説。


江戸時代、11代将軍家斉公のころ。

北は瀬戸内海に面し、南は山々に囲まれた讃岐の国
丸海藩。
江戸から金毘羅代参に連れ出された九歳の「ほう」。
この地に捨て子同然に置き去りにされた女の子が
主人公。
名前の由来は阿呆のほう。

「ほう」の面倒を見てくれていた、藩医を務める井上
家の娘琴江が毒殺されてしまう。
折しも流罪となった幕府要人・加賀殿が丸海藩に入領
しようとしていた。
領内では不審な毒死や謎めいた凶事が相次ぐ。

加賀様は悪霊だ。
丸海に災厄を運んでくる。
妻子と側近を惨殺した咎で幽閉された加賀殿の祟りを
恐れる領民たち。



このような重苦しい背景のなかで、主人公「ほう」と
引手見習い(江戸でいう岡っ引き)の宇佐は姉妹のように
暮らしている。
やがて加賀殿の幽閉されている屋敷に下女として入った
「ほう」は、頑なに心を閉ざす加賀殿と気持ちを通わす
ようになるが。

讃岐の国の小藩の存亡を賭した秘策が、宇佐やほうの
運命も変えてゆく。。


「ほう」の健気さに、最後は涙が止まらなくなりました。


ハッピーエンドという内容ではないけれど、宮部さんの
書く丸海藩の風景の美しさ、引手の宇佐の人物描写は
とても良いなっておもいました。