Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<亮と静香>高校時代(29)ーその日(1)ー

2016-03-10 01:00:00 | 河村姉弟3<向けられた背中~後日録>
その日、学校にて、静香が血相を変えてこんなことを言い出した。

静香は焦っているのか、早口で捲し立てる。

「あたし‥なんか不安になって、あのチビ追っかけたの。

そしたらアイツ、ちょくちょく淳ちゃんにチクってんのよ!」




「アイツあたし達のポジ狙ってんじゃないの?!

ちょっとどうにかしてよ!アンタのせいでしょ?!」




それを聞く亮の視線は、静香ではなくとある人物に注がれていた。

壁の向こうから顔を出した、張本人のその彼に。



”ショパン”は、亮と目を合わせずに、小さな声でこう言った。

「お前‥授業終わったらちょっと出て来いよ」



彼が亮に敵対心を持っていることは、先日のやり取りでとうに分かっていた。

今静香が言ったことも合わせて、一度決着をつけねばならないだろう。

その契機が向こうからやって来た、そう感じた亮は、彼の申し出を引き受ける。

「おお。オレもちょっとお前に話あんだわ」

「ちょっと!こっち来なさいよ!アンタでしょ?!あの噂流したの!」



静香がショパンに向かって大声で叫んだが、彼はそれには答えず、そそくさと二人に背を向けた。

「工事中の別館に来いよ‥」



そのどこかオドオドした彼の態度を見て、静香は余計頭に血がのぼったようだ。

「ちょ‥なんなのよアイツ!!あたしと喧嘩しても負けそ‥うっ?!」



吠える静香の口を、亮は無言のまま手の平で塞いだ。

ショパンが去った方向を見ながら、チッと舌打ちする。

「うううーーっ!」



突如、嫌な胸騒ぎがしたが、行くしか道は無い。

そして放課後亮は、指定された別館へと向かった。






そこで待ち受けていたのは、想像より遥かに悪い状況であった。

岡村泰士をはじめ、腕っ節の強い五人もの男が亮を囲んでいる。



岡村が用意したであろう、恥も外聞もない今の状況。思わず亮は笑ってしまった。

「あー‥はは‥」



「副級長の兄貴まで呼ぶとはな、ご立派なこって」

「おお。手を借りたぜ。なりふりかまっちゃいられねぇ」



中心でふんぞり返っている岡村だが、その顔面は亮にやられた傷で痛々しいほどだった。

「乞食野郎が、力だけ無駄に強ぇんだからよぉ‥クソが

つーか言ったろ?俺の弟見下してんじゃねぇってよ」




「アイツの前でたっのしそーにピアノ弾いてたらしいじゃねーか」

「は?泣きながら弾くヤツなんている?」



その亮の返しに、副級長の兄‥城崎は、ウケるwと言って笑っていた。

しかし岡村は、亮の何もかもが気に入らない。



とりわけ不満なのが、亮のその態度だった。

「つーかよぉ、お前どうしてこんな堂々としてんの?」



男達は亮を囲みながら、亮の素行や態度についての文句を口にし出す。

「もうシッターもいねーことだし、ここいらが限界なんじゃねーの?

テメーがあまりにもしぶといから、こんな人数でシメなきゃいけなくなったんだからな?」


「教授だったっつーお前のジイさん、とっくの昔に死んだらしいじゃん」

「そんじゃ今までずっと青田に寄生して生きてきたんかよ」「リアルにシッターだったなw」



「つかお前、不法滞在なんじゃねーの?一回役所行って確認しねーとw」



小さい頃からいつも聞かされてきた罵詈雑言。

亮は無言のまま、繰り返されるその貧弱なレパートリーにウンザリしていた。

しかし尚も岡村は彼への中傷を続ける。

「は‥結局何も持ってねぇ乞食野郎が、今まで青田頼みで調子乗ってたっつーことだよな。

つーか俺の乞食の概念が崩壊してんだけど。

乞食って、どこでもペコペコ頭下げてへりくだるモンじゃなかったっけ?」


 

「それが世の中の道理ってモンじゃねーのかよ?」



岡村は亮に顔を近づけ、下からメンチを切った。

しかし亮は尚も無言のまま、上から岡村を見下すように睨み続ける。



‥だが実際は違った。

亮は今、ピンチに直面して焦っているのである。

あー‥クソッ 終わった



睨む姿勢は崩さぬまま、今の状況を冷静に踏まえて考える。

今日は人数も多いし、まず勝てねぇな



岡村とその仲間だけならまだしも、悪で有名な城崎とその仲間が居ては勝ち目が無い。

亮は頭の中ですばやく算段を立てた。

つーかむしろ適当に相手して負けとくか。

したら今後そうそう喧嘩ふっかけては来ねーだろ




そろそろ限界だし、手にだけ気をつけて‥



ぐっと拳を握り、その長い指を守る。

亮は岡村から顔を逸らしながら、ふぅと一息息を吐いた。

「今日こそは容赦しねーぞコラ」



岡村のその言葉が、ゴングを鳴らした。

亮は今までとは比較にならぬ程の眼力で彼を見据える。



そして岡村達五人vs亮の、最後の戦いが始まった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<亮と静香>高校時代(29)ーその日(1)ー でした。

遂にこの日がやってまいりました。。

結論が分かっているだけに過程を見るのすら辛い。

けれどここが終わりであり、始まりでもありますね。

次回も続きます。

<亮と静香>高校時代(30)ーその日(2)ー です。

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5 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2016-03-10 01:30:27
亮さんは雪ちゃんと幸せになってほしい。
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Unknown (めぐ)
2016-03-10 04:14:55
本当に辛すぎる…でも見届けたいです!
手を気遣う亮さん…
あと少しだけ、何かが違っていれば…
でも、違っていればユキちゃんとの出会いは無かったわけですしね!
心して次回を待ちます!
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Unknown (まぁ)
2016-03-10 08:38:38
淳も辛かったし、亮のこと許せなかったと思うんだけど、それでも亮のこと見放さないで欲しかったな~
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Unknown (くうが)
2016-03-10 17:05:14
ピアノくんてこういうキャラだったんですね…。てっきり健気な苦学生で、恩がある淳に体よく利用された可哀想なひと的に思ってました。
何か自分からガンガン仕掛けてます?
未練がましくコンクール会場に居たのはたしかに彼だし、静香の言う通りなのかも。。静香の嗅覚は結構信じてます。
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Unknown (Yukkanen)
2016-03-10 22:35:08
Wunknownさん
二人が幸せになる道は‥険しそうですよね‥。強烈な姉ちゃんいますしね‥。
本当亮さんには幸せになってもらいたいです。

めぐさん
本当ですね。この事件が無ければ、亮が雪に出会うことはなかったのかもしれません。
人生に無駄な筋書きは無いってことですかね‥。

まぁさん
最後には助ける淳であって欲しかったですよね‥。うう‥切ない‥。

くうがさん
ピアノ君、胸の内にジャックナイフを秘めていた男‥。
劣等感と亮に対する恨みが、彼を狂気に駆り立てたんですかね‥。おお‥怖い‥。
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