Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

抜け出した二人

2014-04-26 01:00:00 | 雪3年3部(太一への陰謀~甘い記憶)
「も、もう行きましょ!」



雪はわざとらしいほど大仰にそう言うと、先輩の背を押して店の外へと歩を進める。

「先輩送ってくるから!」



そんな二人を見て、雪の母親はもう行くのかと残念がった。

お茶でも、と勧める母に対して、蓮は「この店にお茶なんてあったっけ?」と笑い、父は無口に彼らを見送る。

「それではまた。失礼致します」



淳は最後まで丁寧に頭を下げ、そして二人は店を出て行った。

笑顔で手を振る雪母と蓮、そしてムッツリと黙り込んだ雪父。早く行きましょうと急かす雪の声が外で聞こえる。



そして入り口の扉が閉まったのと同時に、蓮が大きな声で息を吐き笑った。

「いや~マジか~!淳さんって思ってたよりスペック高し?!姉ちゃんの意外な才能が!」

「‥まさか結婚するんじゃないだろうな?」

「それは知んないけどさぁ、もしそうなったらマジ玉の輿じゃん!」



「‥住む世界が違うだろ」

そんな現実問題を口にする旦那に、雪母は溜息を吐いて言った。もし超大企業の子息と結婚なんてことになったら、

私達にとっては万々歳で文句を言う立場も理由もないわ、と。

「えぇ~?父さん反対なのぉ?それじゃあ亮さんは?!仲良さげだけど‥クク」



そう口にする蓮に、両親の鉄槌が下される。

「何言ってんだ!」「バカ言わないの!」



息の合った赤山夫婦アタックは見事蓮の頭にキマリ、蓮は思わず涙目だ。

不平を鳴らす蓮に両親は、嫌ならアメリカに帰れと冷たい返事‥。







「?」



後にした店から微かに騒ぎ声が聞こえ、雪は不思議そうに何度か振り返りつつ、彼と肩を並べて歩いた。

先輩の方に向き直り、気になっていたことを尋ねる。

「お父さんの質問‥困っちゃいましたよね?」



彼の家についての、父親の直球な質問に雪は内心申し訳なく思っていた。しかし淳は首を横に振る。

「大丈夫だよ。完全に秘密にしてるわけじゃないから」



そんな彼の言葉に、「それなら良かったけど‥」と雪は口にして彼の隣を歩いた。

淳が彼女の歩幅に合わせ、少しゆっくりと歩を進める。



涼しい風が頬をかすめる、秋の夜道。

淳は雪に向かって口を開く。

「そういえば、雪ちゃん大学でもバイトだっただろう。それに家でも仕事して、大変だなぁ」



昼間電話で話をした時、彼女は図書館でのアルバイト中だった。

清水香織のことで頭を悩ませ、無くなったライオンの人形を未だ気にしていた‥。



淳は今日が記念すべきインターンの初日であり、もう夜も遅かったが、どうしても彼女が気がかりだった。

だからこんな時間に関わらず、店へと車を走らせたのだ‥。




一方雪は彼を見上げて、改めてその容姿を見つめていた。

髪を短く切りスーツを着た彼は、今までの先輩とはまた一味違って見えた。

なんかかっこいいかも‥



と思ってみた雪だが、彼の真価はそこではないことに思い至り、その考えはそこで終わりにした。

雪が本当に嬉しかったのは‥

これからあんまり会えなくなると思ったのに、こうして来てくれて‥。家も遠いのに‥



姿形の優れた点よりも、雪には彼のそんな気遣いが嬉しかった。今日一日しんどかった分、尚更だ。

雪は言葉には出さなかったが、自然と彼に近寄って笑った。そんな彼女を見て、淳も微笑む。

「あはは」「えへへ」



暫し和やかに笑い合う二人であったが、不意に雪の脳裏にとあることが思い浮かんだ。

身体がカッと熱くなり、思わず唇を手で押さえる。

!ぁああああああああ!!



蘇る記憶が、モヤモヤと脳裏に浮かんで雪は赤面した。

そうだ、先輩と顔を合わせるのは、昨夜のアレ以来なのだ‥。



改めてその事実を思い出してみると、隣で何でも無いように笑う彼が、不可思議に見えてきた。

てか‥!何でこの人こんなに緊張感が無いの?!

も、もしや酔って記憶が無いとか?!‥だって私達‥昨日‥!




ゴクッと生唾を飲み込んで、雪は昨日の出来事を心の中で言葉にしようとした。

キッ‥キッ、キッ、キッ‥!



しかし心臓がバクバクして、心の中でさえその言葉を口にすることが出来ない。

そしてそんな矢先、彼と雪の身体が密着した。



まだ薄着の初秋の季節。

触れた腕の温もりが、微かに伝わってくる。



雪は彼への強烈な意識を持つあまり、ヒッと息を飲んで身を強張らせた。

そして見るからにドギマギしている彼女に、淳が気づいて視線を寄越す。

「どうしたの?」



彼の後ろで光る街灯や店の明かりが、その瞳に映って透けるようだった。

短くなった前髪のお陰で、深く蒼がかったような彼の瞳がはっきり見える。



ドクン、と雪の心臓が一つ跳ねた。

まるでスローモーションのように、彼が自分に近付いて来る。

「雪ちゃん」



視線はいつの間にか、彼の唇へと注がれていた。

雪の脳裏に浮かぶ、昨夜のあの光景。



ドクン、ドクン、と鼓動は更に早くなっていく。

雪は彼の唇から目が離せなかった。

「は‥はい?」



昨夜自分の唇に触れたその感触が、蘇ってくるような気がした。

雪は無意識に身を固くして、高鳴る鼓動に耐えるように両手を握り締める。



ちょっと、と淳が雪に声を掛けた。

身長の高い彼が背を屈め、雪の顔近くに自分の顔を近づける‥。



「飲み物でも買って行かない?仕事疲れたでしょ?」



しかし淳は後ろにあるコンビニを指差すと、平然とそう提案した。

雪は思わずポカーンである。

「あ、ハイ」 「行こ行こ」



そう言って淳はコンビニに入ろうとするが、雪は魂が抜けたような顔でその場に固まっていた。

「何飲む?あったかいのがいい?」「いえ‥私はアメか何か‥」



深い思考はストップしたまま、雪はぼんやりとアメのリクエストをした。

やはり淳は平然と、ニッコリ笑ってそれに了承する。

「はーい」



そして彼はコンビニに入って行った。

雪はあのポカン顔のまま、暫し彼の帰りを待ったのだった‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<抜け出した二人>でした。

ここの雪のお母さんの台詞↓ 直訳すると‥。

「ったくこのダンナは何言ってんだか!結婚するなら光化門の真ん中で平伏しなきゃ!」



と言ってました。

光化門、こちらですね。



*CitTさんより教えて頂きました。

この人目の多い場所で平伏(韓国式の心からの感謝を表す振る舞い)するくらい、淳との結婚は我々にとってありがたいこと、

という意味だそうです。CitTさんコマウォヨ~~!


しかし結婚を言及する父‥まだ付き合って二ヶ月なんですが‥^^;気が早いよ!

そして何気に亮をすすめる蓮君。亮盛り上げ隊の皆様の祭り囃子が聞こえてくるようですw


次回は<騒がせるもの>です。

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5 Comments

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Unknown (Unknown)
2014-04-26 02:03:07
蓮の驚きは淳が車で来たからじゃなくて、雪母が「お茶でも飲んでから行けばいいのに~」のせいです。
「この店にお茶(多意語。「車」と同じ単語使い)があったっけ?」ですって。
そして雪母の「もし結婚が決められたら、大十字路の真ん中で平伏することでしょ?」のは、「超大企業の子息様が結婚してくれたら、私達は感謝すべきことでしょ?文句言う立場も理由もないでしょ?」です。どうやら父が予想したのが母には想像つかなかったみたいです。社会経験の差があるのかな?

平伏はね、日本では深い誤りですが(ですね?土下座。)、こっちでは大人への特別な挨拶で、現代になってはnew years dayやkorean thanksgivingに祖親への挨拶とか、結婚式で義親への挨拶など位です。
Yukkanen様はきっと今の平伏を結婚式の筋の一つとして取りましたね。でも今雪母の話は、「人通りの多い場所で、人目構わず、見上げる視線で感謝の挨拶」。

それにしても、お金問題で少し悩んでるのに娘の心配をするお父さん。

蓮への溺愛を見せるお婆ちゃんやお父さんは
読者達から散々責められてますが、
彼らは(家族として)そんなに酷いかな?と疑問を持ちます。
人間関係で、100%甘いだけの関係や100%辛いだけの関係って存在するのでしょうか。
後者はあるかも知りませんが、前者は存在し難いと思います。例え家族でも。
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コマウォヨ! (Yukkanen)
2014-04-26 06:18:11
CitTさん(ですよね?)
ありがとうございます!「チャ」を車の方だと思ったこの勘違い‥orz お恥ずかしい‥^^;

そして雪母の台詞はそういう意味でしたか~!
深い平伏、ドラマで見ました!新年の挨拶の場面でしたわ~あのことを言っていたのですね。
勉強になりました。いつもありがとう!

万国共通かどうかは分かりませんが、父と娘って、えてして理解し合うのは難しいですよね‥。
男尊女卑的な考えのある赤山家は、確かに疑問に思う点が多々有ります。ただ父は父なりに娘のことも息子のことも可愛がっていて、その表現の仕方が違うだけなのかなと思います。
雪ちゃんがいつか電話でお母さんに本音をぶち撒けたように、お父さんにももっと本音を晒せればまた違う気がしますねぇ。まぁ娘と父親って得てして難しいものかと‥う~む
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ええ、1番目コメは私です(汗 (CitT)
2014-04-26 08:34:28
昔は城の出入り口だった大門達。
今はhistoric buildingとして残ってます。
(一つは燃えましたが。)
Capital cityを選ぶ目は今も昔も大差ないらしいじゃないですか。
交通の中心地もそんなもんかな?
何故か今も大門達の側には十字路や電鉄(電車)駅が。

別の話ですが、
去る時「ではまた」と言う先輩。また来る気かよ。
「どうしたの?」と、目が笑ってる先輩。
絶対知らんぷりですよ、この人。
さすが遠い所から走って来た人。楽しんでますね。
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どてら ()
2014-04-26 23:24:58
ところで、この場面のソルちゃんの衣装。

好意的に解釈してたぶん、カーディガンだと思うんですけど、私の眼には「どてら」にしか見えないのです。

ttp://store.shopping.yahoo.co.jp/fuwari/kurume250.html

季節的にどてらを着るのは冬のはずですから、そぐわしくないとは思うのですすが。

ちなみに、CitTさんが説明されている韓国式の大仰な挨拶「クンジョル」は、下の番組のオープニングで出演者がやってます。これは新年の挨拶になりますね。
(中国のサイトなので、日本からアクセスすると重いかも知れません。)

ttp://v.youku.com/v_show/id_XMzQ1OTkzNjgw.html

そして、「光化門の真ん前で」というのは、日本でいえば「皇居前広場のど真ん中で」くらいの感じですかね。光化門はかつての王宮・景福宮の正門ですので。
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Unknown (りんご)
2014-04-29 21:45:57
おつかれさまです。

青さん。
好意的に解釈してたぶん、カーディガン…
すんません、ツボに入りました~あはは
青さん、なんとおやさしい…!

ドテラ、またはハンテン、ちゃんちゃんこ。
ハンテン仕様のいいだしっぺはちょびこ姉です。
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